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2022年10月に作成された記事

2022年10月30日 (日)

フックスの皇帝レクイエム

本日快晴、朝から暖かな日曜日。

狩野川河川敷からの富士山。

カルガモの鳴く声が聞こえてきた。


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近くの小学校のグラウンドでは子供たちがサッカーの練習中。


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コロナ禍も3年の時を経てようやく峠を越えた様子。

平和で穏やかな風景。

少しずつ日常が戻りつつあるけれども、この3年間で日本の古くからの慣習やしきたり、ごくあたりまえのようになっていた日常の常識が大きく変わった。

 

ウィーン・バロックの作曲家ヨハン・ヨーゼフ・フックス(1660-1741)の「皇帝のレクイエム」を聴く。


Arte Novaから出ているCDで「皇帝レクイエム」ほかフックスの様々な作品を集めたもの。


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・ 2つのヴァイオリンのための3声のソナタ ニ調 K342
・オルガンのためのシャコンヌ K403/2
・グラーヴェ ~3声のソナタ ニ調 K342より
(2つのトロンボーン、オルガン、ヴィオローネ)
・メディア・ヴィータ・イン・モルテ・スムス(我らは死の只中に生き)
 コラール、ダーフィト・グレーゴル・コルナー「カトリック大聖歌集」(ニュルンベルク、1625)のヴァージョンによる
・デ・プロフンディス(深き淵より) K130 モテット
・オルガンのためのアダージョ K400 ~ソナタ第3番より
・レクイエム・エテルナム(永遠の安息を) ~キリエ(主よ憐れみたまえ)
・ディエス・イレ(怒りの日)
・モテット:リベラ・メ(我を解き放ちたまえ) K54
・ラルゴ ~2声のカノンE66より(2つのトロンボーン、オルガン、ヴィオローネ)
・ドミネ・イェズ・クリステ(主イエス・キリストよ)
・サンクトゥス(聖なるかな)
・アダージョ K400 ~ソナタ第3番より(2つのトロンボーン、オルガン、ヴィオローネ)
・アニュス・デイ(神の子羊)/ルクス・エテルナ(永遠の光)/レクイエム・エテルナム(永遠の安息を)

  ルネ・クレマンシック(指揮)
  クレマンシック・コンソート
  ヒロ・クロサキ(コンサート・マスター)

            録音:1991年5月 ウィーン

フックスはウィーンのシュテファン大聖堂の第一楽長を経て神聖ローマ帝国の宮廷楽長に就任。以後終生その地位に留まる。

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フックスが著した対位法教本「グラドゥス・アド・パルナッスム」はハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンも学んでいる。

この教本は今でも現役

ちなみにドビュッシーのピアノ組曲「子供の領分」の第一曲「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」は同名のクレメンティが作曲したピアノ練習曲集のパロディ。

 

このCDには皇帝レクイエムの前に小編成の器楽とオルガンのための作品が配されている。

「皇帝レクイエム」は皇帝レオポルト1世の皇太后エレオノーラの葬儀(1720年)のために作曲された。

深く敬虔な祈りの心が美しいメロディに乗って聞こえてくる。

 

バロック期の音楽というよりも、時代を先取りした古典的な格調の高さの中にロマンティックさも宿した名品だ。

クレマシック一党の演奏も非常に良い。

Youtubeはフックスの「皇帝レクイエム」

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2022年10月28日 (金)

NAXOSのフレンチフェスティバル

曇りのち晴れ、比較的過ごしやすい金曜日。

庭の柿の実を採ったりしていた。

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庭の2本ある柿の木のうち樹齢50年を超える老木は今年で切ることに。

幼い頃からお馴染の柿の木だけれど昨年はほとんど実をつけなかったし、なによりも巨大になってしまって冬場の落ち葉の処理が大変になってきた。

切ると決めたとたんに今年は沢山の実がなっている。

画像は小さい方の木。

 

NAXOS初期のCDから「French Festival」を聴く。
様々なフランスの作曲家の著名曲を集めたもの。

指揮はかつて新星日本交響楽団の首席指揮者として頻繁に来日していたオンドレイ・レナールド(Ondrej Lenárd, 1942~)とアメリカの指揮者キース・クラーク(Keith Clark 1944 ~)。

オケはブラチスラバのスロヴァキア放送交響楽団。

両者ともにNAXOSに数多くの録音がある。

 

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「フレンチ・フェスティバル」

・楽しい行進曲 :シャブリエ
・亡き王女のためのパヴァーヌ* :ラヴェル
・組曲「ペレアスとメリザンド」~シシリエンヌ
・パヴァーヌ*
・子守歌*             以上フォーレ
・歌劇「ジョスラン」~子守歌      :ゴダール
・前奏曲集第2巻~月の光がそそぐテラス :ドビュッシー
・ベルガマスク組曲~月の光*      :ドビュッシー(アルフレッド・リード編)
・ジムノペディ第1番          :サティ(ドビュッシー編)
・ジムノペディ第2番          :サティ(ドビュッシー編)    
・歌劇「ホフマン物語」~間奏曲と舟歌* :オッフェンバック
・交響詩「死の舞踏」*         :サン・サーンス

 オンドレイ・レナールト指揮
 キース・クラーク指揮 *
 スロヴァキア放送交響楽団(ブラチスラバ)

   録音 1988年6月 ブラチスラバ スロバキア放送コンサートホール

 

NAXOSのCDが出た最初の頃はほとんど無名の演奏家たちばかりだったけれど、小品集の編曲ものなどには他には聴くことができない驚きの音源がさりげなく入っていた。

ヨアヒム・ラフがオケ編曲したバッハのイギリス組曲第3番などが思い浮かぶ。

このCDも例外にもれず、原曲が有名なピアノ曲のドビュッシーの2曲は「月の光」のオケ版が比較的知られたアンドレ・カプレ編ではなく、吹奏楽界の巨匠アルブレッド・リードのオケ編なのが非常に珍しい。

リードにはバッハなどの吹奏楽へのアレンジはあるものの、ピアノ曲のオケ編は初めて聴いた。

 

「月に光そそぐテラス」もオケ編曲版、残念ながら編曲者のクレジットはないけれど後にNAXOSが出した準メルクルのドビュッシー管弦楽全集中のコリン・マシューズ編や単独で出したブレイナー編のものとは異なるもの。

フォーレの「子守歌」はアンリ・ラボーのオケ編があるピアノ連弾の組曲「ドリー」作品52の中の「子守歌」ではなく、作品16のヴァイオリン曲の「子守歌」。

こちらも編曲者のクレジットはない。

 

個別の著名曲には、他にもっと優れた演奏はあるけれども、この中ではジョスランの子守歌の編曲が非常に美しく(こちらも編曲者のクレジットはなし)演奏も良い。

先日沼響で実際に演奏したばかりの「死の舞踏」はヴァイオリンソロが達者なのと、クラークの幾分荒れ気味の指揮ぶりがかえって怪奇性を高めていて面白い。

 

このCDを購入した当初はさらっと聞き流してしまっていた。

じっくり聴くといろいろな仕掛けが見えてくる。

 

NAXOS恐るべし。

 

Youtubeはオンドレイ・レナールト指揮の「ジョスランの子守歌」

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2022年10月26日 (水)

浦川宣也のモーツァルト

本日快晴、朝は冷えたけれど日中は気温上昇、最高気温は22度。

昨日は12月なみの最高気温13度。

今日はストーブを出し、灯油を近くのホームセンターに買いに行くと18ℓ2缶で3,960円。

高くなったなぁ・・・

ついでに壊れてしまった電動ポンプ980円。

午前中母の介護用品の世話をしてくれているKさんが来訪。

その後畑でオクラとピーマンを収穫。


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収穫を待つサツマイモ、ここ数年失敗しているので今年の出来が気になるところ。

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浦川宣也のモーツァルト。

カイルベルト時代のバンベルク響のコンマスだった浦川宜也のモーツァルトを聴く。

Fontecから出ていたCD4枚組。

疑作とされている第6番第7番や、いくつかの断章や協奏交響曲など、モーツァルトによって書かれたヴァイオリンとオーケストラのための作品のほぼすべての作品を収録。


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モーツァルト:
CD1
ヴァイオリン協奏曲 第1番 変ロ長調 K.207
ヴァイオリン協奏曲 第2番 ニ長調 K.211
ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216
CD2
ヴァイオリンと協奏曲 第4番 ニ長調 K.218
ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調「トルコ風」 K.219
ヴァイオリンと管弦楽のためのアダージョ ホ長調 K.261
CD3
ヴァイオリン協奏曲 第6番 変ホ長調 K.268
ヴァイオリン協奏曲 第7番 ニ長調 K.271a
ヴァイオリンと管弦楽のためのロンド 変ロ長調 K.269
CD4
2つのヴァイオリンのためのコンチェルトーネ ハ長調 K.190
ヴァイオリン、ヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364
ヴァイオリンと管弦楽のためのロンド ハ長調 K.373

  浦川宜也(ヴァイオリン)
  エヴァルト・ダネル(ヴァイオリン)、ミラン・テレツキー(ヴィオラ)
  林千尋(指揮)、スロヴァキア国立放送交響楽団ブラチスラバ

    【録音】1992年12月8-19日 スロヴァキア国立放送局ホール

浦川のモーツァルトにはヴァイオリンソナタ全集もある。

最初の第1番から聴き始めたときは、音楽の流れが、時々立ち止まるかのような違和感があった。

技巧的に危ういというのではなく、浦川の渋い音楽造りに馴染めなかったのだと思う。

聴き慣れた第3番あたりからは気にならなくなってきた。

 

中では偽作とされる6番と7番の2つの協奏曲を面白く聞いた。

この2曲は同じ偽作でも、この2曲はかつて第8番とも呼ばれた「アデライーデ」とは一線を画する佳品だ。

 

第6番にはティボーの絶対的とも言える名演があり、この浦川のCDの解説にも第6番を取り上げた理由として書かれている。

実際聴いてみると、伴奏オケのホルンの扱いなどがモーツァルトの時代ではなくよりロマン的な響きの厚さを感じさせる。

メロディのティストもモーツァルトさはあまり感じられない。

 

第7番に関しては、もともとオリジナルがモーツァルトの作品であったのが、後世の人が19世紀風のスタイルに書き換えてしまったとの説もあるようだ。

 

いずれの曲にも浦川の曲への愛情が感じられ心地よい安息感を聞き手に与える。

 

渋く落ち着いたモーツァルト。

じっくり何度でも聴きなおしたい味わい深い名演の数々だ。

 

Youtubeは矢代秋雄の「ヴァイオリンのためのセレナーデ」、浦川宣也のヴァイオリン。

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2022年10月25日 (火)

佐渡裕の「VIVA!バーンスタイン」

今日は冷えた。


昨日から大気が不安定となり県西部では竜巻を観測。

朝、出勤時に見た富士山は裾野まで真白。


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それにしてもこの寒さ、今年の秋は短いようだ。

 

昨日はオフで抜いたモロヘイヤをまとめたり、サツマイモの蔓を切ったりしていた。

オクラは未だに実を付けてくれている。

 

佐渡裕のバーンスタイン。


ワーナーから出ているCDで「キャンディード」や「波止場」などを収録。

オケは手兵ラムルー管。


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・「キャンディード」序曲
・「キャンディード」~アイ・アム・イージリー・アシミレイテッド
                   (私はすぐになりきっちゃうの)
・「キャンディード」組曲 (ハーモン編)
・「オン・ザ・タウン」~アイ・キャン・クック・トゥー (私は料理もできるのよ)
・「オン・ザ・タウン」~3つのエピソード:タイムズ・スクウェア
・「波止場」交響組曲
・「ウェスト・サイド・ストーリー」~サムウェア (どこかに)

 佐渡裕(指揮)
 ラムルー管弦楽団
 キム・クリズウェル(ゲストシンガー)

     録音:2001年5月、パリ

バーンスタインが作曲した4曲のミュージカルから3曲を選び、有名なナンバーをセレクト。
さらに唯一の映画音楽となった「波止場」の音楽を加えている。

このCDは最初関係者のみに配布された非売品だった。

内容の良さで評判を呼び後に一般発売となったもの。

この中では著名な曲をオーケストラ用組曲としてコンパクトにまとめた「キャンディード」組曲が最もよい。

有名な「キャンディード」序曲には聴き慣れない音が聞こえてくる。

何度も改訂された曲だけにこの序曲にもいろいろな版があるのだろうか。

 

ホルンのもの憂げなソロで始まる組曲「波止場」は好きな曲だけれど、この曲にはバーンスタイン自身の強烈な演奏の録音が残されていて比べてしまうと分が悪い。

リズム処理の鈍重さが気になってしまった。

Youtubeはクリスチャン・リンドベルイ指揮スペイン放送響による組曲「波止場」

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2022年10月23日 (日)

ぬまきょうファミリーコンサート、本番終わる

芸術の秋、ここ数日良く晴れて今日の日中は半袖で十分なほど。

金曜から娘と孫が帰省していて賑やかな日々。

昨日自宅からの秋の空

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今日は沼響ファミリーコンサートの本番。

コロナ禍で2年延期になりようやく実現したもの。

 

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今回は10月末のハロウィンにちなんで「おばけ」がテーマ。


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ハロウィンにちなんで団員それぞれ趣向を凝らしての仮装。

中世の修道僧の服をアマゾンから取り寄せたり、モーツァルト風のカツラや全身をその時代のコスチュームで整えたり、中にはカボチャをくりぬいた仮面を用意したり・・・

自分は事前にドンキに行ってハロウィングッズを物色。

カリブの海賊風のハットを格安(紙製50円!)で見つけたのでそれを着用。


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曲は

◎第一部
映画『E. T.』より飛行のテーマ
歌劇「ヘンゼルとグレーテル」より序曲
交響詩「はげ山の一夜」

◎第二部
交響詩「死の舞踏」  
操り人形の葬送行進曲
リメンバー・ミー
組曲「展覧会の絵」よりバーバ・ヤーガ、キエフの大門

指揮 松川 智哉

 

客層はやはり幼い子供達を連れた親子連れが目立っていた。

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中にはハロウィンにちなんだ仮装の幼い子供も多数入場。

ファミリーコンサートとはいえ、なかなか中身の濃いプログラムになっていたので小さな子供には難しかったかな・・・

途中で飽きたのか、子供たちの大きな声がホールを飛び交うなかでのコンサート。

 

演奏後の知人の感想では「死の舞踏」と「展覧会の絵」が良かったとのこと。

自分はウクライナのことが目に浮かび、「キエフの大門」にいつもと異なる思いを感じながら演奏していた。

団員の皆も同様だったのか、ことさら熱いものを感じさせる演奏になっていたと思う。

 

市長さんも来場されて好意的な感想をSNSに上げてくださっていた。

充実の一日。

 

Youtubeはレオ・フンテク編曲の「展覧会の絵」、ラヴェル編と似ていますがこちらの方が先に編曲されました。
演奏はアシュケナージ指揮スウェーデン放送響

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2022年10月20日 (木)

キングスコンソートの「王宮の花火の音楽」

今日は雲一つない快晴。朝、車のフロントガラスに水滴がびっしり。
放射冷却で冷えたようだ。

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昨日はオフで午前中は母を眼科に連れて定期健診。

母は数年前に白内障の手術をしてからは定期的に眼科に通っている。

今回はいくつかの検査に疲れた様子。

この医院近くの薬局の薬剤師は高校の同級生。

部活も同じ吹奏楽部で彼女はクラリネットを吹いていた。

ご主人も高校の同級、しばしの近況報告。

お互い還暦過ぎても現役時代とさほど変わらぬ毎日。

 

午後は庭の柿を収穫。

庭のキンモクセイも盛んに咲いている。

先週植えたレタスの苗が虫にやられてほとんど溶けた状態だったので100均で買った不織布のシートを被せたりしていた。


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モロヘイヤは葉が小さくなり実が成りはじめたので終わりにする。

オクラは未だに花を咲かせているけれども実の成長のスピードがかなり鈍ってきた。

深まる秋。

 

引き続き「王宮の花火の音楽」管楽合奏版

今日はピリオド楽器による演奏でキングスコンソートによるもの。

Hyperionから出ていたCD。

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・ジョージ2世の戴冠式のためのアンセム
・王宮の花火の音楽 (オリジナル版)

 ロバート・キング指揮
 キングズ・コンソート
 オックスフォード・ニュー・カレッジ合唱団

     録音1989年1月

「王宮の花火の音楽」とも関係が深いジョージ2世戴冠のアンセムとのカップリング。

王宮の花火の音楽」はピリオド楽器初録音とライナーノートには書いてある。

 

比較的遅めのテンポと穏やかな音色。

ピリオド系の演奏をいろいろ聴いた今となっては、この演奏はピリオド楽器使用とはいえ、モダン楽器時の影響を未だに引き摺っている印象。

戴冠式アンセムは格調高く輝かしさに満ちた名演だ。

 

Youtubeはキングスコンソートのパーセル、「メアリ女王の誕生日のためのオード」

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2022年10月18日 (火)

パイヤールの「王宮の花火の音楽」

曇り時々雨。

気温の寒暖差が大きく、今週後半は大きく気温が下がる予報。

出勤途中に見たたわわに実った柿。


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秋は実りの季節

娘と孫が帰ってしまってまた家の中が寂しくなった。

1歳半の孫が知らぬうちにパソコンのUSBメモリを外して、どこかに持って行ってしまった。

トホホ・・・

 

まだまだ続く「王宮の花火の音楽」管楽合奏版。

フランスの指揮者パイヤールで聴く。
手持ちはエラート原盤、日本ビクターから出ていたLP.

ジャケットには1979年6日12日購入のメモが入っている。

 

今から40年以上前の自分が学生だった頃、日本ビクターから発売されたエラートのシリーズで、この時千円の価格で20枚ほどが発売された。
いずれも定評のあった名盤ばかり。

発売直後にこの「王宮の花火の音楽」とヘンデルのハープ協奏曲、ランスロの吹くモーツァルトとブラームスのクラリネット五重奏曲、モニク・アースの弾くドビュッシーなど4枚ほどを購入し、アパートの1室の貧弱なオーディオ装置で聴いていた。

そのころはとにかく聴ければよいと思っていたので、学生協で一番安いアナログプレーヤーとアンプを贖い、スピーカーは家にあったTRIOの4チャンネルステレオ装置の小さなリアスピーカー2本を持ち込んでいた。

 

そんなことを思い出していた。

 

今は再生環境が一変している。


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・組曲「王宮の花火の音楽」(原典版)*
・トランペット協奏曲 ニ長調**
・オーボエ協奏曲  変ロ長調***   :以上ヘンデル

 モーリス・アンドレ(トランペット)**
 ジャック・シャンボン(オーボエ)***
 ジャン・フランソア・パイヤール(指揮)
 管楽アンサンブル*
 パイヤール室内管弦楽団

   録音 1961年

マッケラスとほぼ同時期の録音。

カップリングはヘンデルのトランペット協奏曲ニ長調とオーボエ協奏曲。

協奏曲のソリストはトランペットのアンドレとオーボエのジャック・シャンボン

この2曲の協奏曲は、ヘンデルのいろいろな作品からピックアップして協奏曲の体裁を整えたもの。

 

トランペット協奏曲の第1楽章は「水上の音楽」の序曲にトランペットソロパートを加えたものだし、残りの2つの楽章もヘンデルの他の作品からの借用。
解説には書かれていないけれども第2楽章がどこかで聞いたことがある。

オーボエ協奏曲も同じようなもの。
実際聴いてみると2つのヴァイオリンとオーボエとのトリプルコンチェルトのような曲だ。
このような旧作の使い回しは当時普通におこなわれていた。

ただこの2曲はヘンデル自身が編んだのかどうかも定かでない。

 

「王宮の花火の音楽」は管楽合奏版。

同じモダン楽器の管楽版でもサヴァリッシュの演奏とはかなり印象が異なる。

フランスの明るいダブルリード属の音はよりピリオド系の音色に近いように感じられる。

編成もサヴァリッシュ版よりも大きいようだ。

 

外盤に記載されているメンバー表では

Oboe
– Emile Mayousse , Fernand Eche , Jacques Chambon , Vaillant, Jean Dupin ,
Maurice Bourgues, Paul Taillefer , Pierre Pierlot, Rene Heurtefeux , René Thuillier Robert Toffart

Bassoon
– Amaury Wallez, Jean Louchez , Michek Eck , Paul Hongne , Raymond Droulez,
Serge Berdie
Contrabassoon – Michael Delage

Trumpet
– Jacques Mas , Lucien Akoka, Lucien Picavais , Marcel Lagorce , Maurice André
Pierre Pollin

Horn
– Daniel Dubar, Georges Barboteu , Gilbert Coursier , Paul Bernard, Pierre Dumont Xavier Delwarde

Timpani
– Jacques Rémy
Drums
– Jacques Delecluse , Jean-Pierre Jacquillat, Pierre Berlioz , Rene Hanicot

tp6, hrn6, ob11, fg6, コントラfg1, timp1, 太鼓4

 

オーボエのピエール・ピエルロ、ジャンク・シャンボン、トランペットのモーリス・アンドレ、ホルンのジュルジュ・バルボトウ、ダニエル・デュバルら、名だたるフランス系の名手が参加している。

親しき仲間たちが集ってガヤガヤ演奏しているようなにぎやかな雰囲気が楽しい。

 

サヴァリッシュのスクエアできっちり室内楽風の演奏とは対照的だ。

1963年フランスディスク大賞盤

録音はいささか古くなった。

Youtubeはリチャード・エガー指揮hr響の「王宮の花火の音楽」

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2022年10月17日 (月)

本日の練習、日曜練習いよいよ本番近し、そしてサヴァリッシュの「王宮の花火の音楽」のことなど

曇り時々雨。

今日はオフで雨の合間に畑作業。

茄子を始末したりして冬に備え畑の環境を整えていた。

 

帰省している娘と孫を連れて家内と隣町の「毎日牧場」で昼食。

早い時間だったので一番乗り。

ここのサラダバーはメニューが豊富なので幼児にも食べさせることができる。


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ポイントカードの日付を見たら前回訪問は3年前。

ランチメニューその他、随分と高くなった。

 

昨日の日曜日は良い天気だった。

青い空に穏やかな狩野川の流れ。


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昨日は仕事が入り夜はそのままオケの練習。

いよいよ一週間後の本番へ向けての追い込み。

 

木曜に引き続き米田先生の指揮。


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先生が仕事の都合で来るのが遅れ最初はインペクのTさんの指揮で数曲。


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先生到着後は「ET」と交響詩「死の舞踏」そのほか。

 

 

手持ちの「王宮の花火の音楽」管楽合奏版をいろいろ聴いている。

N響の名誉指揮者として度々来日していたウオルグガング・サヴァリッシュの指揮によるもの。

EMI録音の東芝LP.

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・組曲「王宮の花火の音楽」 (管楽合奏版) :ヘンデル

・ディヴェルティメント第46番 変ロ長調Hob.II.46 :伝ハイドン

・セレナード第10番「グラン・パルティータ」から第1、第7楽章
                      :モーツァルト

 ウオルフガング・サヴァリッシュ(指揮)
 バイエルン国立歌劇場管弦楽団

    録音 1973年7月

ヘンデル、ハイドン、モーツァルトの管楽合奏による作品を収録。

ハイドンの作品は正確には「フェルトパルティエン(野外のための組曲)第6番」でその第2楽章が「聖アントニウスのコラール」として知られる。


後にブラームスがこのテーマから「ハイドンの主題による変奏曲」を作曲している。
編成は2本のオーボエ、ホルン、ファゴット、セルパン。

実はこの曲がハイドンの作品かどうかは疑問が持たれている。

 

「王宮の花火の音楽」は管楽合奏とはいえこの演奏は初演版とは大きく異なり、オーボエやファゴットなど、おそらくダブルリード族は通常のオケの編成に若干増強した程度だと思う。


実演で聴いた「レ・ヴァン・ロマンティーク・トウキョウ」や同じモダン楽器によるマッケラス、ソマリー盤などの録音比べても響きはかなり薄い。

序曲あたりは音の厚みがもの足りない。

他のナンバーでは透明な響きがそれなりに楽しめる。

特に第2曲は細かな表情付けが見通しの良い演奏になっている。
アンサンブルも精密だ。

きちんと整った生真面目で室内楽的な演奏。

サヴァリッシュらしいな。

 

Youtubeはチェンバロ連弾の「死の舞踏」

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2022年10月15日 (土)

ソマリーのヘンデル、「王宮の花火の音楽」オリジナル版

本日快晴、最高気温27度で半袖で一日を過ごす。

娘と孫が帰省中。

深夜に目覚めたら絵画を鑑賞中の我が家のヤモリクン発見。


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痩せてるなぁ。。


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小林一茶の名句が頭に浮かぶ。
「やせ蛙負けるな一茶これにあり」

 

日々気温が下がりオクラの成長が止まってきた。
モロヘイヤも葉が大きくならない。

夏野菜もいよいよ終わり。

 

今日も「王宮の花火の音楽」オリジナル編成。

アメリカの指揮者ヨハネス・ソマリー指揮の「王宮の花火の音楽」を聴く。

米vangurdのLP。

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・組曲「王宮の花火の音楽」 (オリジナル初演版)
・組曲「水上の音楽」

 ヨハネス・ソマリー(指揮)
 イギリス室内管弦楽団

ソマリーはバロックからプロコフィエフまで、かなりの量の録音を残しているけれども、多くは米のマイナーレーベルのVangurdへの録音だったりして、さほど話題にならぬまま終わってしまったように思う。

国内盤CDではエヴァンゲリオンクラシックとかのシリーズで「メサイア」が出ていた。

 

ディスコグラフィーを見ると比較的ヘンデルの録音が多い。

「メサイア」のほか「テオドーラ」「マカベウスのユダ」などいくつかのヘンデルのオラトリオの全曲録音を残している。

この「王宮の花火の音楽」は70年代初めの録音。
 
編成はオーボエ24本、ファゴット13本、ホルン9本、トランペット9本、セルパン2本、ティンパニ3対。

イギリス室内管となっているけど、このLPにはメンバー表が記載されている。

Bassoon –
Brian Sewell (曲: A1 to A5), Deirdre Dundas-Grant (曲: A1 to A5), Howard Etherton (曲: A1 to A5), Patrick Milne (2) (曲: A1 to A5)
Bassoon [Solo, Principal], Soloist – Martin Gatt (曲: A1 to A5)
Contrabassoon – Nicholas Reader* (曲: A1 to A5)
Contrabassoon [Principal] – Kenneth Cooper (2) (曲: A1 to A5)

French Horn
– Anthony Catterick (曲: A1 to A5), Anthony Randall (曲: A1 to A5), Derek Taylor (3) (曲: A1 to A5), Ifor James (曲: A1 to A5), James Beck (5) (曲: A1 to A5), Nicholas Hill (3) (曲: A1 to A5), Robin Davis (曲: A1 to A5), Terence Johns* (曲: A1 to A5)
French Horn [Solo, Principal], Soloist – Alan Civil

Harpsichord – Harold Lester

Oboe
– Catherine Smith (5) (曲: A1 to A5), Celia Nicklin (曲: A1 to A5), Christine Gear (曲: A1 to A5), Derek Wickens (曲: A1 to A5), John Barnet* (曲: A1 to A5), John Clementson (3) (曲: A1 to A5), Michael Dobson (曲: A1 to A5), Neil Black (3) (曲: A1 to A5), Paul Mosby (曲: A1 to A5), Sara Barrington (曲: A1 to A5), Tess Miller (曲: A1 to A5)
Oboe [Solo, Principal], Soloist – Peter Graeme (曲: A1 to A5)
Oboe [Solo], Soloist – Derek Wickens, James Brown (10) (曲: A1 to A5)

Percussion
– David Johnson (15) (曲: A1 to A5), Terence Emery (曲: A1 to A5)
Percussion [Principal] – David Corkhill (曲: A1 to A5), Michael Skinner (2) (曲: A1 to A5)

Serpent
– Alan Lumsden (曲: A1 to A5), Christopher Monk (曲: A1 to A5)

Trumpet
– Graham Whiting (曲: A1 to A5), Iain Wilson* (曲: A1 to A5), Ian Mackintosh (2) (曲: A1 to A5), Malcolm Hall (曲: A1 to A5), Michael Laird (2) (曲: A1 to A5), Norman Archibald (曲: A1 to A5), Peter Reeve (曲: A1 to A5), Philip Jones (曲: A1 to A5)
Trumpet [Solo, Principal], Soloist – John Wilbraham

 

トランペットのジョン・ウイブラハム、フィリップ・ジョーンズ、マイケル・レアード
ホルンのアラン・シヴィル、アイファー・ジェイムズなどなど

ロンドンのメジャーオケの首席奏者たちがずらりと並んで壮観。

 

さすがに凄い音が聴ける。

これ国内で発売されたことがあるのだろうか。

 

Youtubeはエマニュエル・ハイム指揮ベルリンフィルの「王宮の花火の音楽」

 

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2022年10月14日 (金)

本日の練習、本番まであと10日

10月も半ばの金曜日、曇りのち晴れ。

日の最高気温、23度。

画像は火曜の昼食、オフィス近くの台湾料理店「萬品香」のオムカレープラス半台湾ラーメン。


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このお店は中華料理店だけど、なぜこのオムカレーはなかなかいける。

 

今日の午前中は、先週木曜に転倒し後頭部を負傷した母を病院に連れて行き抜糸。

水曜日には同じ病院の脳外科で定期健診が入っていて、この時は10時に病院に入って終わったのは午後の2時。

今日も覚悟していたけれど抜糸のみだったので早く終わった。

 

このところ慢性的な睡眠不足で、集中力の欠ける日々。

 

昨晩はオケの練習。

練習前にホールの自販機でお茶を買おうとしたら、お金を入れたけれどもボトルが出てこない。

?????

足りなかったのかな?

返金のレバーを回しても出てこない??
試しにもう一度新たにコインを入れたけれどもダメ・・・・

さすがにこれは変だと気づいて事務所に行く。

職員は皆、よく知る顔ぶれ。

事の次第を説明すると返金してくれた。

最近、ドリンクが値上がりして自販機の設定を調整をしたとのこと。

 

なんとなく練習前に出鼻を挫かれた思い。

 

練習が始まりマスクを外したらマスクのヒモが切れた・・・

嗚呼・・・今日は一体。

休憩時間に車まで予備マスクを取りに行こうとしたら雨が降っていた・・・

傘はなく車まで走る。


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本番まであと10日。

 

米田先生の指揮で「展覧会の絵」、「はげ山の一夜」その他
場所は大ホール。

自分は甚だ集中力に欠け、不本意な出来。


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練習用のメガネを忘れて譜面がよく見えん。

最悪の一日。

Youtubeはイギリスの名指揮者サー・エイドリアン・ボールトの「はげ山の一夜」、かなり改変されたボールト版の演奏。

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2022年10月11日 (火)

マッケラスとマゼールの「王宮の花火の音楽」

本日秋晴れ、気持ちの良い朝。

母をディサービスに送り出してそのまま出勤。

狩野川河川敷からの富士山。

細部まで明瞭なのは空気が澄んでいるからかな。


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昨晩の満月は美しかった。

 

「レ・ヴァン・ロマンティーク・トウキョウ」の興奮冷めやらず、手持ちの「王宮の花火の音楽」の音盤を聴きたくなった。

最初に取り出したのは、管楽合奏版のおそらく世界初録音だったマッケラスの演奏。


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・組曲「王宮の花火の音楽(大編成の管楽合奏によるオリジナル版)」

 サー・チャールズ・マッケラス(指揮)
 ウィンド・アンサンブル
           録音 1959年4月13,14日、聖ガブリエル教会

・二重協奏曲 ヘ長調(マッケラス編曲版)
 サー・チャールズ・マッケラス(指揮)
 プロ・アルテ管弦楽団
      録音:1959年3月25日、聖ガブリエル教会

手持ちは70年代にティチクが出したクラシックバロックコレクションからの1枚。
このシリーズは当時千円で発売された廉価盤(後にオイルショックの影響で1200円になった)

このシリーズ、なかなか凝った内容で、当時珍しかったバロック音楽のさまざまな音源を提供していた。

発売点数が多くなかったのか中古市場でも他の廉価盤LPに比べて遭遇する機会は少ない。

おそらくこのマッケラスの演奏は国内初出ではなかろうか。

今はTestamentから花火と大砲入りの別バージョンも加えた形のCDが出ている。


モダン楽器による演奏だが初演に加わっていたセルパンも入っている。
(今回の日本初演ではさすがにセルパンは入っていなかった)

なおマッケラスは後に2種類の録音を残している。


70年代にロンドン響を振った録音はほぼ同じ編成。
イギリス室内管とのNovalisへの録音は弦楽器入りのようだ。(現物未確認)

ただしいずれもモダン楽器による演奏。

 

さて久しぶりの視聴、最初の序曲のゆったりとした演奏に驚いた。

こんな演奏だったのかと正直困惑。

昨晩のパリッとした躍動感があまり感じられない。

個別の奏者の腕前はさすがに達者だが。

 

もう一枚はモダン楽器の演奏も聴いてみた。

マゼール指揮のベルリン放送交響楽団(現ベルリンドイツ交響楽団)による演奏。

手持ちはPHILIPS盤LP


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・組曲「王宮の花火の音楽」
・「水上の音楽」組曲

 ロリン・マゼール(指揮)
 ベルリン放送交響楽団、

   録音:1964年 ベルリン

マゼール若き日の録音。
ベルリン放送響首席指揮者時代の録音で、自分はこの時期のマゼールが一番好きだ。

今聴き直してみると、意外とロマンティックに傾斜しすぎているようにも聞こえ時代を感じさせる演奏だった。

ただこの時代はこのスタイルが一般的だった。

 

Youtubeはカール・リヒター指揮の「王宮の花火の音楽」、モダン楽器による往年のスタイル。

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2022年10月10日 (月)

レ・ヴァン・ロマンティーク・トウキョウ 管楽器の祭典

曇りのち雨その後快晴。

三連休最終の月曜日。

午後から晴れて気温が上昇。おかしな天気だ。

 

昨日は東京で「王宮の花火の音楽」オリジナル版の日本初演に行ってきた。

場所は王子の「北とぴあ 桜ホール」。


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オケは国内著名演奏家たちの集団「レ・ヴァン・ロマンティーク・トウキョウ 」


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ホルンの福川伸陽、トランペットの斎藤秀範、オーボエの三宮正満、ファゴットの村上由紀子、パーカションの菅原淳をリーダーとするピリオド楽器の国内最高峰の人たち。

沼響がトレーナーとしてお世話になっている下田太郎先生も参加している。


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圧巻のコンサートで鳥肌が何度も立った。


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管楽合奏版の「王宮の花火の音楽」は若き日のマッケラス指揮のPye盤LPで親しんでいたけれど、まさか実際に聴ける日が来るとは思わなかった。

しかもピリオド楽器で。

 

日中は帰省している孫と遊んだ後に、東海道本線沼津15時13分発熱海行きに乗車。

熱海で上野東京ライン高崎行きに乗り換え上野経由で王子到着は18時。

夜の東京は雨。

駅近くの蕎麦屋でかつ丼を食べてホールに向かう。

 

東京でのコンサートは久しぶりで2年前のN響以来。

 

ホールに着くと開場の30分近く前なのにかなりの人。

今回は全部自由席。

入り口前のスペースが狭いので並んだ列も曖昧、入場整理をする係員もなく混沌としている。

開場時間が近づくにつれて人がどんどん増えてきてかなりの密。

後から来た人がそのまま前の方に行ったりしていて、人々のイライラがピークに達する寸前に開場となった。

 

それにしてもクラシックのお客さんは紳士淑女。

皆さん整然と入場されていた。

 

プログラムはスザートなどのルネサンス時代の音楽からルイ13世、14世時代の作者不詳の音楽に加え、ブルボン王朝の行事である騎馬試合や狩場で演奏されていた音楽など。


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作曲はリュリやフィリドールなどのかつてモダン楽器のパイヤールなどの音盤で親しんでいた曲が並ぶ。


休憩を挟んでヘンデルの「アリア」に「王宮の花火の音楽」ほか。


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・ダンスリー舞曲集より「パヴァーヌ」(スザート)

・ルイ13&14世の音楽/フィリドールコレクションより「オーボエバンドの音楽」
「2対の太鼓のためのマーチ」

・国王の騎乗パレードのためのトランペット・太鼓・オーボエのエール(リュリ)

・ホルン、2本のオーボエと通奏低音のためn協奏曲 変ホ長調 (作曲者不詳)
  ほか

・アリア HWV410&411 (ヘンデル)
・王宮の花火の音楽 HEV351

 アンコール
  王宮の花火の音楽から」「歓喜」

 

オーボエ
三宮正満、荒井豪、小花恭佳、森綾香、前橋ゆかり、大山有里子、尾崎温子、小野寺彩子、倉田悦子、杉本明美、篠原由桂、小野智子、曽田耕平、小倉悠樹、岡本千里、船津美雪、尾上愛実、北康乃、中村恵美佳、倉澤唯子、志村樺奈、笹平幸那、本岡華菜、冨永和音

ホルン
福川伸陽、日髙剛、大森啓史、下田太郎、根本めぐみ、向なつき、塚田聡、伴野涼介、熊井優

ファゴット
村上由紀子、向後崇雄、鈴木禎、河村有紀、長谷川太郎、永谷陽子、淡島宏枝、首藤元、中田小弥香、北山木乃香、黒田紀子、奈波和美、岡本あけみ

打楽器
菅原淳、幸多俊、佐野響平

トランペット
斎藤秀範、井上直樹、川田修一、内藤知裕、高見信行、犬飼伸紀、村上信吾、池田英三子、金子美保

MC  朝岡聡

 

MCはテレビでおなじみの朝岡聡氏。


プログラムには曲目解説がなくて朝岡氏が演奏者とのトークを交えながら解説していく。

 

編成は曲によって自由自在。

ルネサンス期の音楽ではオーボエ族の前身であるショーム、ファゴット族の原型であるカータルを使用、福川氏はツィンクを吹いていた、

 

ルイ王朝期の音楽になるとバロックオーボエ、バロックファゴットに楽器を変えて、ここではナチュラルホルンも登場。

狩の音楽ではホルン9人による狩猟ホルンのアンサンブル。

MCの朝岡氏もブロックフレーテで1部の曲で参加。

氏はブロックフレーテ歴50年だという。

 

スザートの「パヴァーヌ」では20人近くのダブルリード族と太鼓による壮大な響きに鳥肌が立ってきた。

 

圧巻は第1部最後の作曲者不詳の「ホルンと2本のオーボエ、通奏低音のための協奏曲」

ここでの福川氏のナチュラルホルンの超絶技巧には驚いた。
通常のホルンで吹いても相当難しそうな曲をなんなく吹いていく。

福川氏がホルンのミュートを付けたままステージに出てしまって、最初からやり直すというアクシデントが会場の笑いを誘っていた。

 

そして後半はいよいよ「王宮の花火の音楽」。

物干し竿を立てたような天を衝く巨大なバロックコントラファゴットが一際目を引く

編成はオーボエ24本、ファゴット13本、ホルン9本、トランペット9本、ティンパニ3対。

これは初演に最も近い編成だという。

 

ティンパニのロールに始まる序曲。
ダブルリード族の太く奥行きのある深い響き、嚠喨(りゅうりょう)と吹き鳴らされるナチュラルホルンの音を割った音

「あぁ、これだよなぁ・・・」

 

まさにピリオドの管楽器特有の、それぞれの楽器が異なった個性で響く雑然とした音。

各楽器がお互いに共鳴しあい熱いものを中に秘めて野性味を感じさせている

アンコールは3曲目「歓喜」を演奏。

 

演奏している人たちのもう楽しくてしょうがない、という気持ちが自然に伝わってくる。

会場のお客さんたちの驚きと真剣にステージを見つめる表情が印象的だった。

日本初演という歴史的なコンサート。
正確な歴史的な考証の中に遊び心もあって非常に楽しめた。

第一線で活躍する多忙な人たちばかりなので大変だと思いますが、第二弾もお願いします。

 

Youtubeはピリオド楽器による「王宮の花火の音楽」

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2022年10月 8日 (土)

ベルリオーズのオペラ「トロイアの人々」

薄曇りの土曜日、あいかわらず気温は低い。

朝は比較的晴れて狩野川河川敷からは富士山が良く見えた。


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先月末に初冠雪を記録したけれどこの2日では積雪がなくて黒っぽい富士山。

 

ベルリオーズのグランド・オペラ、歌劇「トロイアの人々」を通勤の車中で聴いている。

演奏はゲルト・アルブレヒトがウィーン国立歌劇場を振ったライヴ録音。

Gala classicsから出ているCD3枚組。


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・歌劇「トロイアの人々」

 ゲルト・アルブレヒト (指揮)
 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、合唱団

 ギュイ・ショーヴェ(テノール)
 クリスタ・ルードウィッヒ(メゾソプラノ)
 ヘルガ・デルネシュ(メゾソプラノ)
 ウオルフガング・シェーネ(バリトン)
 マルガリータ・リロワ(メゾソプラノ)

    録音 1978年10月17日 ウィーン (ライヴ)

 

このオペラはベルリオーズが作曲を試みた8曲のオペラのうち、現存する3曲の中で最も長大な曲。

全五幕、4時間半になんなんとする巨大オペラ。

編成も大きい。

通常の3管編成のオケにハープ4台(ウイキでは6-8台との記載有り)のほかバンダと呼ばれる別動隊を配置。

このバンダでは3本のトロンボーンのほか各種のサクソルン属が活躍する。

現代の上演ではこれだけの種類のサクソルンを調達するのは難しかろう。

さらにウイキの記事によると、本体とは別に各種打楽器にサンダーマシーン、ハープ2台・・・・本当か?

 

初演は最初の2幕がカットされた状態でおこなわれた。

3年後の全曲初演の際は二日に分けて演奏されたという。

その後演奏される際もいろいろとカットされて上演されていたようだ。

 

全曲譜の出版はベルリオーズ没後100年の1969年。


今では全曲のディスクはいくつかあるしDVDでも複数の上演を視ることができる。

ちなみに全曲の日本初演は2011年。

 

聴いたのはゲルト・アルブレヒトの演奏。ウィーン国立歌劇場でのライヴの記録。

こちらもカット版による演奏。(それでも3時間を超える)

歌手はクリスタ・ルードウィッヒ以下当時のウィーン国立歌劇場のメンバー。

曲そのものにあまりなじみがないので、どの部分がカットされているのかはわからない。

 

この長大な作品の筋をリアルタイムで追う気力もないので、あらすじを理解して車の中でベルリオーズの素晴らしいオーケストレーションと音楽のみを拝聴。

フォルティシモでのベルリオーズ独特の低音の聞いた凄みのある響きが印象的。

 

ここにベルリオーズのエッセンスのすべてがあると思う。

歌手は女声陣、特にルードウィッヒが素晴らしい。

 

アルブレヒトの指揮も各所で山場を作り上げこの長大な作品を飽きさせずに聴かせる見事な手腕。

このような曲を聴くとベルリオーズの頭の中は、常人のスケール感覚の域を超えた巨大なものであったと痛感する。

 

ワーグナーのリングにも匹敵する大作だ。

なお、このCDセットにはボーナストラックとして、この曲最初の全曲録音、1968年録音のサー・コリン・デーヴィスの録音抜粋がおまけとして入っている。

 

Youtubeはベルリオーズの葬送と凱旋の交響曲、ラトル指揮ベルリンフィル管楽器セクション

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2022年10月 7日 (金)

ケネス・ギルバートのラモー

今日は一日朝から雨。

台風で大きな被害の出た静岡市には避難指示が出るほど。

昨日から気温が下がり本日の最高気温は17度。

感覚的には秋というよりも冬の入り口の気配。

母の部屋には電気ストーヴを入れた。

 

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水曜に昼食は沼津を代表する人気店「山正」の山正丼のテイクアウトを職場の仲間達と。

 

木曜はオフで夜はオケの練習の予定が、夕方家を出る前に思わぬ事態が勃発。

母の様子を見に行ったところ部屋に倒れていて後頭部から出血。
転倒して強打したらしい・・

幸い意識が有り会話も出来る。

救急車を呼ぼうと思ったけれどとりあえず止血をして消毒。

救急当番医をネットで検索すると外科は隣町の長泉町。

ちょいと遠い。

 

その当番医に電話して症状を説明すると、脳外科の方が良いのではないかとのこと。
幸い紹介された脳外科はいきつけの病院。

電話すると「すぐに来れますか」とのこと。
「すぐに行きます!」

車椅子を車に積み込み母の頭をタオルで巻いて車に乗せる。

病院まで自宅から20分ほど。

 

車中の母はいつもより饒舌。
元気なので多少安心して病院に到着すると、救急当番医二人と看護師さんが待機してくれていた。

 

診察中に待合で待ちながらオケの仲間に欠席の連絡をしていると、かつて仕事上でお世話になった脳外科の先生が偶然通りかかった。
ちょうど帰宅するところのようだ。

「○さん、どうしたの?おかぁちゃんか・・」

「はい、実は転びまして・・・」

 

先生は引き返して白衣に着替え一緒に診てくださった。

仕事でお疲れなのにありがとうございます・・・

ただただ感謝。

母は幸い脳には異常はなかったものの8針ほど縫った。

今日は一日家で母の様子を診ていた。

 

母が寝入った合間に聴いていたのはケネル・ギルバートの弾くフランスバロック期の巨匠ラモーのクラブサン曲集。


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1976年録音だけれども少しも古さは感じられない。

 

軽いクラブサンの音色の中からラモーの深い音楽が聞こえてくる。


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多少重いけれども聴いていても少しも疲れない。

 

Youtubeはケネス・ギルバートのバッハ、トッカータニ短調

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2022年10月 4日 (火)

レーデルのヴィヴァルディ、協奏曲集

今日も晴れて平和な日常が始まるかと思っていたら朝に突然のJアラート。

北朝鮮からの弾道ミサイル発射。

 

土曜はボストン美術館に行く前に、関東圏に住む次女夫婦の家に行っていた。

この二人とは先月の台風来週時に会ったばかり。

娘宅でしばしの歓談のあとは、さいたま市内のイタリアン、ボワ・トスカーナでランチ。


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人気店らしく満席、順番待ちで6番目。

人気のケーキ店も併設こちらのケーキとセットにすることもできる。


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味もサーヴィスも良くてリーズナブル。

パスタとピザを皆でシェァして十分満足したあと娘たちと別れて上野へ。


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ボストン美術館展を見た後帰宅は夜の8時。

 

音楽は指揮者でフルート奏者でもあったクルト・レーデルのヴィヴァルディ。

エラート原盤の日本コロンビアのLP.。


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「レーデル/ヴィヴァルディ協奏曲集」

・フルート協奏曲ト短調「夜」op10-4
・フルート協奏曲ニ長調「ごしきひわ」op10-3
・2つのトランペットのための協奏曲ハ長調P16
・4つのヴァイオリンのための協奏曲ロ短調op3-10
・ヴァイオリン協奏曲ホ短調op4-2

 ゲオルグ・レティイ(ヴァイオリン)
 クルト・レーデル(指揮とフルート)
 ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団

 

クルト・レーデルとミュンヘン・プロ・アルテ管はかなり以前に実演を聴いた。

ブランデンブルク協奏曲第5番をメインとしたプログラムで、チェンバロ奏者が非常に達者だったのと、前プロで演奏されたミヒャエル・ハイドンのセレナードが絶美の演奏でその2曲の演奏の記憶は今でも鮮明だ。

 

このヴィヴァルディ、選曲の良さもあるけれどレーデルのフルートが良い。

軽く明るいヴィヴァルディではなくて燻銀のしっとりとしたフルートの響き、安定して落ち着いた音楽づくりに漂う大人の雰囲気。

70年代の廉価盤LPでモダンオケによる録音。

モノラルでもありCDにもなっておらずほとんど忘れられた録音だろう。

なおトランペットのソロ奏者の名前はない。

 

かつてはかなりの録音があったレーデルだけれど時代の流れとともにすっかり古くなってしまった。

 

Youtubeはレーデル指揮のパッヘルベルのカノン。

いくつかあるレーデルの同曲の録音のうち最後のもの

 

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2022年10月 2日 (日)

東京都美術館の「ボストン美術館展」

10月最初の日曜日、本日快晴。

 

9月30日に初冠雪を記録した富士山頂にはうっすら白いものが見える。
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昨日は会期が今日までとなった東京都美術館で開催中「ボストン美術館展」に家内と行っていた。

 

2020年開催予定だったのがコロナ禍で延期になっていたもの。
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週末の上野恩賜公園は大層な賑わい。
マスク姿がなければ、コロナ禍以前とほとんど変わらぬ風景。

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時間予約制で午後3時半からの入場。

 

美術館前にはかなりの人。
こんなに人気なのか・・・と思ったらさにあらず。

 

同じ会場で開催中のデンマークのインテリアデザイナー、「フィン・ユールとデンマークの椅子」展の入場整理券の配付に遭遇したのであった。

 

 

それにしてもすごい人。
このデザイナー、こんなに人気なのかなと思っていたら10月1日は都民の日で、この展示会は入場無料とのこと。(ボストン美術館展は無料ではありませんでした)

 

 

ボストン美術館は10万点を超える日本美術のコレクションで知られる。

 

かなり著名な作品があるものの、それらがいつも常設されているとは限らない。
実際知人がボストン美術館に行った時には、平治物語絵巻を見ることができなかったという。

 

今回の「ボストン美術館展」のお目当ては歴史の教科書にも出てくる鎌倉時代の「平治物語絵巻 三条殿夜討の巻」そして平安時代に書かれた「吉備大臣入唐絵巻」
いずれも国内にあれば国宝級の逸品。

 

平治物語絵巻のうち「六波羅行幸の巻」はかつて東京国立博物館で見ている。

 

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三条殿夜討の巻も保存状態も良くて炎の色も鮮やかだ。
登場人物ひとりひとりの表情が全部異なるのも凄い。

 

人物と建物、牛車や牛馬の配置も絶妙。
建物に燃え移る紅蓮の炎と血しぶきほとばしる中庭での死闘、そして混乱の中で暴走する牛車に押しつぶされる人のリアル感。

 

詞書も丁寧な漢字交じりの筆跡でなんとなく読むこともできる。

 

 

「吉備大臣入唐絵巻」は遣唐使として唐に渡った吉備真備が幽閉され、鬼となった阿倍仲麻呂の助けを得ながら皇帝からの次々と降りかかる無理難題を、空中を飛んでカンニングしたり囲碁の試合では石を飲み込んだりと、ズルしながら切り抜けていくという筋書き。
7eac067b71a8905359d277056579d4ef ここで驚いたのは奥書に書かれた吉田兼好の文字。
この奥書は寛永十三年、権大納言烏丸光広の手によるもの。

 

この絵巻の詞書は吉田兼好によって書かれた、と烏丸光広が江戸期になって鑑定したということらしい。

 

 

そして伊勢長島藩のお殿様だった増山雪斎の孔雀図。
Boston2022tmm_20220802232801 伊藤若冲にも匹敵するような鮮やかな色彩と精密な描写。
鮮明な赤も印象に残る。

 

その他展示品は日本のものだけでなく、エジプトや古代中国、ヴァン・ダイクによる肖像画などの西洋絵画の数々もあったけれど、やはり厳選された日本コレクションの質の高さが目立っていた。

 

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