東京都美術館の「ボストン美術館展」
10月最初の日曜日、本日快晴。
9月30日に初冠雪を記録した富士山頂にはうっすら白いものが見える。
昨日は会期が今日までとなった東京都美術館で開催中「ボストン美術館展」に家内と行っていた。
2020年開催予定だったのがコロナ禍で延期になっていたもの。
週末の上野恩賜公園は大層な賑わい。
マスク姿がなければ、コロナ禍以前とほとんど変わらぬ風景。
時間予約制で午後3時半からの入場。
美術館前にはかなりの人。
こんなに人気なのか・・・と思ったらさにあらず。
同じ会場で開催中のデンマークのインテリアデザイナー、「フィン・ユールとデンマークの椅子」展の入場整理券の配付に遭遇したのであった。
それにしてもすごい人。
このデザイナー、こんなに人気なのかなと思っていたら10月1日は都民の日で、この展示会は入場無料とのこと。(ボストン美術館展は無料ではありませんでした)
ボストン美術館は10万点を超える日本美術のコレクションで知られる。
かなり著名な作品があるものの、それらがいつも常設されているとは限らない。
実際知人がボストン美術館に行った時には、平治物語絵巻を見ることができなかったという。
今回の「ボストン美術館展」のお目当ては歴史の教科書にも出てくる鎌倉時代の「平治物語絵巻 三条殿夜討の巻」そして平安時代に書かれた「吉備大臣入唐絵巻」
いずれも国内にあれば国宝級の逸品。
平治物語絵巻のうち「六波羅行幸の巻」はかつて東京国立博物館で見ている。
三条殿夜討の巻も保存状態も良くて炎の色も鮮やかだ。
登場人物ひとりひとりの表情が全部異なるのも凄い。
人物と建物、牛車や牛馬の配置も絶妙。
建物に燃え移る紅蓮の炎と血しぶきほとばしる中庭での死闘、そして混乱の中で暴走する牛車に押しつぶされる人のリアル感。
詞書も丁寧な漢字交じりの筆跡でなんとなく読むこともできる。
「吉備大臣入唐絵巻」は遣唐使として唐に渡った吉備真備が幽閉され、鬼となった阿倍仲麻呂の助けを得ながら皇帝からの次々と降りかかる無理難題を、空中を飛んでカンニングしたり囲碁の試合では石を飲み込んだりと、ズルしながら切り抜けていくという筋書き。 ここで驚いたのは奥書に書かれた吉田兼好の文字。
この奥書は寛永十三年、権大納言烏丸光広の手によるもの。
この絵巻の詞書は吉田兼好によって書かれた、と烏丸光広が江戸期になって鑑定したということらしい。
そして伊勢長島藩のお殿様だった増山雪斎の孔雀図。 伊藤若冲にも匹敵するような鮮やかな色彩と精密な描写。
鮮明な赤も印象に残る。
その他展示品は日本のものだけでなく、エジプトや古代中国、ヴァン・ダイクによる肖像画などの西洋絵画の数々もあったけれど、やはり厳選された日本コレクションの質の高さが目立っていた。
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