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2022年10月10日 (月)

レ・ヴァン・ロマンティーク・トウキョウ 管楽器の祭典

曇りのち雨その後快晴。

三連休最終の月曜日。

午後から晴れて気温が上昇。おかしな天気だ。

 

昨日は東京で「王宮の花火の音楽」オリジナル版の日本初演に行ってきた。

場所は王子の「北とぴあ 桜ホール」。


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オケは国内著名演奏家たちの集団「レ・ヴァン・ロマンティーク・トウキョウ 」


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ホルンの福川伸陽、トランペットの斎藤秀範、オーボエの三宮正満、ファゴットの村上由紀子、パーカションの菅原淳をリーダーとするピリオド楽器の国内最高峰の人たち。

沼響がトレーナーとしてお世話になっている下田太郎先生も参加している。


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圧巻のコンサートで鳥肌が何度も立った。


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管楽合奏版の「王宮の花火の音楽」は若き日のマッケラス指揮のPye盤LPで親しんでいたけれど、まさか実際に聴ける日が来るとは思わなかった。

しかもピリオド楽器で。

 

日中は帰省している孫と遊んだ後に、東海道本線沼津15時13分発熱海行きに乗車。

熱海で上野東京ライン高崎行きに乗り換え上野経由で王子到着は18時。

夜の東京は雨。

駅近くの蕎麦屋でかつ丼を食べてホールに向かう。

 

東京でのコンサートは久しぶりで2年前のN響以来。

 

ホールに着くと開場の30分近く前なのにかなりの人。

今回は全部自由席。

入り口前のスペースが狭いので並んだ列も曖昧、入場整理をする係員もなく混沌としている。

開場時間が近づくにつれて人がどんどん増えてきてかなりの密。

後から来た人がそのまま前の方に行ったりしていて、人々のイライラがピークに達する寸前に開場となった。

 

それにしてもクラシックのお客さんは紳士淑女。

皆さん整然と入場されていた。

 

プログラムはスザートなどのルネサンス時代の音楽からルイ13世、14世時代の作者不詳の音楽に加え、ブルボン王朝の行事である騎馬試合や狩場で演奏されていた音楽など。


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作曲はリュリやフィリドールなどのかつてモダン楽器のパイヤールなどの音盤で親しんでいた曲が並ぶ。


休憩を挟んでヘンデルの「アリア」に「王宮の花火の音楽」ほか。


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・ダンスリー舞曲集より「パヴァーヌ」(スザート)

・ルイ13&14世の音楽/フィリドールコレクションより「オーボエバンドの音楽」
「2対の太鼓のためのマーチ」

・国王の騎乗パレードのためのトランペット・太鼓・オーボエのエール(リュリ)

・ホルン、2本のオーボエと通奏低音のためn協奏曲 変ホ長調 (作曲者不詳)
  ほか

・アリア HWV410&411 (ヘンデル)
・王宮の花火の音楽 HEV351

 アンコール
  王宮の花火の音楽から」「歓喜」

 

オーボエ
三宮正満、荒井豪、小花恭佳、森綾香、前橋ゆかり、大山有里子、尾崎温子、小野寺彩子、倉田悦子、杉本明美、篠原由桂、小野智子、曽田耕平、小倉悠樹、岡本千里、船津美雪、尾上愛実、北康乃、中村恵美佳、倉澤唯子、志村樺奈、笹平幸那、本岡華菜、冨永和音

ホルン
福川伸陽、日髙剛、大森啓史、下田太郎、根本めぐみ、向なつき、塚田聡、伴野涼介、熊井優

ファゴット
村上由紀子、向後崇雄、鈴木禎、河村有紀、長谷川太郎、永谷陽子、淡島宏枝、首藤元、中田小弥香、北山木乃香、黒田紀子、奈波和美、岡本あけみ

打楽器
菅原淳、幸多俊、佐野響平

トランペット
斎藤秀範、井上直樹、川田修一、内藤知裕、高見信行、犬飼伸紀、村上信吾、池田英三子、金子美保

MC  朝岡聡

 

MCはテレビでおなじみの朝岡聡氏。


プログラムには曲目解説がなくて朝岡氏が演奏者とのトークを交えながら解説していく。

 

編成は曲によって自由自在。

ルネサンス期の音楽ではオーボエ族の前身であるショーム、ファゴット族の原型であるカータルを使用、福川氏はツィンクを吹いていた、

 

ルイ王朝期の音楽になるとバロックオーボエ、バロックファゴットに楽器を変えて、ここではナチュラルホルンも登場。

狩の音楽ではホルン9人による狩猟ホルンのアンサンブル。

MCの朝岡氏もブロックフレーテで1部の曲で参加。

氏はブロックフレーテ歴50年だという。

 

スザートの「パヴァーヌ」では20人近くのダブルリード族と太鼓による壮大な響きに鳥肌が立ってきた。

 

圧巻は第1部最後の作曲者不詳の「ホルンと2本のオーボエ、通奏低音のための協奏曲」

ここでの福川氏のナチュラルホルンの超絶技巧には驚いた。
通常のホルンで吹いても相当難しそうな曲をなんなく吹いていく。

福川氏がホルンのミュートを付けたままステージに出てしまって、最初からやり直すというアクシデントが会場の笑いを誘っていた。

 

そして後半はいよいよ「王宮の花火の音楽」。

物干し竿を立てたような天を衝く巨大なバロックコントラファゴットが一際目を引く

編成はオーボエ24本、ファゴット13本、ホルン9本、トランペット9本、ティンパニ3対。

これは初演に最も近い編成だという。

 

ティンパニのロールに始まる序曲。
ダブルリード族の太く奥行きのある深い響き、嚠喨(りゅうりょう)と吹き鳴らされるナチュラルホルンの音を割った音

「あぁ、これだよなぁ・・・」

 

まさにピリオドの管楽器特有の、それぞれの楽器が異なった個性で響く雑然とした音。

各楽器がお互いに共鳴しあい熱いものを中に秘めて野性味を感じさせている

アンコールは3曲目「歓喜」を演奏。

 

演奏している人たちのもう楽しくてしょうがない、という気持ちが自然に伝わってくる。

会場のお客さんたちの驚きと真剣にステージを見つめる表情が印象的だった。

日本初演という歴史的なコンサート。
正確な歴史的な考証の中に遊び心もあって非常に楽しめた。

第一線で活躍する多忙な人たちばかりなので大変だと思いますが、第二弾もお願いします。

 

Youtubeはピリオド楽器による「王宮の花火の音楽」

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