ハワード・ミッチェルのラヴェル
11月最後の週は雨模様。
夜遅くに風雨強し、なぜか風は暖かい。
ワールドカップサッカーは初戦ドイツ戦での勝利で大いに盛り上がったものの第二戦に苦杯を喫し、ドイツはスペイン戦を引き分けに持ち込み混戦模様。
いよいよ先が見えなくなってきた。
サッカーは点が入りにくい競技なだけに、実力が均衡しているワールドカップでは試合をやってみなければわからない。
昨日オフで母を胃腸科クリニックに連れて行ったりしていた。
そして先日植木屋に頼んで伐採した柿の老木の跡に散乱している柿の葉の後始末。
自分が子供のころから馴染んだ柿の木だっただけに名残り惜しかったけれど、大きくなりすぎて付近の電線に枝が接触してきたのと、ここ数年はほとんど実を付けなくなっていた。
不思議なことに今年は今まで経験しなかったような沢山の実を付けた。
植物にも感情があるのだろうか。
切らないように懇願しているかのように思えたけれど毎年の落ち葉の量がものすごかったのと、その木の種から育ったもう一本の柿の木があるので先週お別れすることにした。
本日出勤
オフィス近くのハンバーグ専門店「とんちんかん」で昼食。
ハンバーグだけでも20種を超えるバラエティに富んだメニューで、何年も前から通っている店だけれど未だに全部を食べきれていない。
今日は「焼肉風ハンバーグ」。
焼肉の下にハンバーグが隠れている。
アメリカの指揮者、ハワード・ミッチェル(1911-1988)。
聴いたのは日本ビクターが出した幼い子向けのクラシック音楽の紹介LP。
「名曲、絵とお話から」(日本ビクター SRA2064)
昨年末に地元のハードオフジャンクコーナーからの救出品。
米RCA盤のタイトルは「For the Young in Heart / Music to Tell a Story By」
この時同じシリーズのLPをもう一枚ゲットしている。(SRA2062)
ミッチェルはアメリカのメジャーオケ、ワシントン・ナショナル交響楽団の首席指揮者だった。(1949-1969)
ナショナル響はミッチェルのあとのアンタル・ドラティの時代に飛躍的に進歩したので、ミッチェル時代のナショナル響は低迷していた時代と言われる。録音も少ない。
手持ちでは、この2枚のほかはショスタコーヴィチの交響曲第5番とポール・クレストンの交響曲第2番その他くらい。
正直なところあまり印象に残っていない。
ミッチェルはナショナル響の首席指揮者時代に、子ども向けのコンサートを積極的に開いてクラシック音楽の啓蒙とアメリカの作曲家たちの作品の紹介に力を注いていた。
このレコードも同じ目的で製作されたものだろう。
内容がちょっと凝っていて、いわゆる子ども向け名曲コンサートのアルバムとは一線を画す。
チャイコフスキーの「眠りの森の美女」のほか、アメリカの作曲家マクダウェルやコープランドなどがさりげなく入れてあったりする。
・バレー「眠りの森の美女」から長靴をはいた猫、白い猫、ワルツ :チャイコフスキー
・組曲「インディアン」から戦いのときに :マクダウェル
・組曲「マメールロア」からパゴダの女王レドロネット、美女と野獣の会話 :ラヴェル
・組曲「ペール・ギュント」から山の魔王の宮殿にて :グリーグ
・組曲「火の鳥」からカッチェイの踊り :ストラヴィンスキー
・組曲「ビリーザキッド」から国境の町の街道で :コープランド
・交響詩「中央アジアの草原にて」 :ボロディン
・歌劇「ヘンゼルとグレーテル」序曲 :フンパーディンク
ハワード・ミッチェル(指揮)
ナショナル交響楽団
演奏は正直なところあまり期待していなかったけれど、曲によっては大当たりもあった。
中でもラヴェルは特大ホールラン級の名演。
儚く繊細でいながら色彩も豊か。
音楽の流れも自然で、これは全曲を残して欲しかった。
ミッチェルのラヴェルでは私家盤の非売品で「ダフニスとクロエ」第2組曲のライヴもあり是非聴いてみたいもの。
マクダウェルもリズムも鮮やかな名演だ。
入手したもう1枚SRA2062の内容はより一層凝っていて
・組曲「ハーリ・ヤーノシュ」王の入場、音楽時計 :コダーイ
・組曲「イタリアの印象」からロバに乗って :シャルパンティエ
・カイピラの小さな汽車 :ヒナステラ
・組曲「展覧会の絵」から殻を付けた雛の踊り :ムソルグスキー ラヴェル編
・組曲「動物の謝肉祭」~白鳥 :サン・サーンス
・組曲「物語」から白い小さなろば :イベール
・組曲「ローマの松」ボルゲーゼ荘の松 :レスピーギ
・花のある庭 :ティラー
・組曲「ハンガリアンスケッチ」村の夕暮れ :バルトーク
・組曲「死の谷」~砂漠の水 :グローフェ
・雪がおどっている :ドビュッシー
・交響詩「海」から波のたわむれ :ドビュッシー
イベールとドビュッシーの1曲は原曲がピアノ曲だが編曲者のクレジットはない。
実はこのSRA2062の内容は日本独自の企画らしい。
米RCA盤のミッチェル録音では、よりグレードの高い名曲紹介シリーズとして「Adventures In Music」という一連のシリーズがあり、Grade 1からGrade 6まで各2枚合計12枚のLPが出ていた。
SRA2062はこの「Adventures In Music」シリーズからのピックアップ盤だった。
番号が飛んでいるのでSRA2063もあったのだろうか。
ちなみに「Adventures In Music」に登場する作品は実に多彩。
アメリカの作曲家ではゴットシャルク、ハンソン、メノッティ、ヴァージル・トムソンにカーペンター、「展覧会の絵」のオケ編もあるルシアン・カイエ。
その他の国ではミヨー、バルトークのミクロコスモスのオケ版、ホルストの「どこまでもバカな男」、
そしてブラジルの作曲家Mozart Camargo Guarnieri(1907-1993)。
この名前は本名で、彼の父親が名付けてしまったのだが、後に作曲家として名を成したときにあまりにも恐れ多いのでMozartを削除して活動している。
ちなみに彼の3人の兄弟の名はロッシーニ、ヴェルディとベッリーニだった。
「Adventures In Music」の内容は古い時代の作曲家のリュリ、コレルリから20世紀のウェーベルンまで。
とても子ども向けとは思えない内容だ。
アメリカ盤にはかなり詳細な解説書も付いていたらしい。
最近音盤購入の意欲が薄れがちだったけれど、「Adventures In Music」をコンプリートで聴いてみたい欲望がフツフツと湧き上がってきた。
Youtubeはミッチェルの「Adventures In Music」からモートン・グールドの「アメリカン・サリュート」
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