パイヤールのコレッリ、合奏協奏曲
凍れる日曜日。
朝には車のフロントガラスが凍結していた。
2019年の今日、市内内浦の護岸から淡島越の富士山。
この日は風もなく海はベタ凪だった。
この20日あまり後に国内初のコロナウイルス感染者の発生が発表された。
今日はクリスマス。
イタリア、バロック期の作曲家アルカンジェロ・コレッリ作曲の合奏協奏曲集作品6を聴く。
この曲集の第8番が有名な「クリスマス協奏曲」。
演奏はジャン・フランソワ・パイヤール指揮の室内管弦楽団。
手持ちはエラート原盤の日本コロンビア盤LP2枚組。
・合奏協奏曲集 作品6 ―全曲― :コレッリ
ジャン・フランソワ・パイヤール(指揮)
パイヤール室内管弦楽団
アンヌ・マリー・ベッケンシュタイナー(クラブサン)
ジャン・マルク・ブルフェ(オルガン)
アンヌ・ヴァン・ロワイヤン(リュート)
録音:1971年1月、5月 パリ、ノートルダム
ヴィヴァルディやバッハ、ヘンデルにまで影響を与えたコレッリの残された作品は生前の名声に比べて非常に少ない。
残されているのは有名な「ラ・フォリア」を含むヴァイオリンソナタ集(全12曲)と各12曲から成る4つのトリオソナタ集くらい。
作品番号は6までしかない。
(全て12曲なのは意図したものかしらん)
合奏協奏曲集作品6はコレッリの死後出版されている。
作品はいずれも完成度の高い珠玉の作品ばかり。
トリオソナタと合奏協曲という形式はコレッリによって完成された。
優れたヴァイオリン奏者だったコレッリの作品は、作品2のトリオソナタ集の中のトランペットソナタ1曲を除いて全て弦楽器のための曲。
コレッリ自身がヴァイオリンの名手だったにもかかわらず、残された作品はさほど高度な技術を要求してはいないという。
コレッリは自己に厳しく、ストイックで高潔な人物だったのではなかろうか。
多くの人に演奏され、後世に残す水準に足る作品だけを厳選し出版したのだろうと想像する。
自分としては今までコレッリといえば「ラ・フォリア」と「クリスマス協奏曲」を軽く聞き流す程度の存在でしかなかったけれど、作品6の合奏協奏曲集を通して聴いてみて、これは大変な作曲家だったのだということをあらためて痛感。
全12曲、豊かな響きの中に美しさだけではない、格調の高さと練りに練った緻密さが感じられ、どの曲も変化に富んでいて同じようには聞こえない。
古楽器隆盛の今となってはモダン楽器のパイヤールの演奏は時代遅れの感はあるけれど、通奏低音にクラブサンのほかオルガンやリュートも加えていて古さは感じられない。
演奏の良さもさることながら、コレッリの作品に時代を超えた懐の深さがあるからだと思う。
発売当時ディスコフィル大賞、エディソン・インターナショナル賞を受賞している名盤。
Youtubeはコレッリの作品6の合奏協奏曲から第4番
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