山田一雄、大坂センチュリー交響楽団との「エロイカ」ライヴ
晴れのち曇り。今日は暖かい。
昨日の富士山、良い天気で宝永火口が良く見えた
山田一雄(1912~1991)の「エロイカ」を聴く。
大阪センチュリー交響楽団(現日本センチュリー交響楽団)の第4回定期演奏会ライヴ。
山田一雄急逝5か月前の記録。
・交響曲第3番 変ホ長調op.55『英雄』 :ベートーヴェン
・歌劇「イドメネオ」のためのバレエ音楽K.367~ガヴォット :モーツァルト
山田一雄(指揮)
大阪センチュリー交響楽団
録音: 1991年3月15日 大阪、ザ・シンフォニーホール(ライヴ)
数多くの名曲の本邦初演で知られる山田一雄だけれど、一般的な名曲の類の録音は意外なほど少ない。
CD化されている晩年の録音の多くはライヴ録音。
その中でも「エロイカ」は4種の録音が残されている。
・1988年 4月4日 日本フィルハーモニー管弦楽団
・1989年11月20日 札幌交響楽団
・1990年 6月7日 新星日本交響楽団
・1991年 5月10日 大阪センチュリー交響楽団
全てライヴ録音。
山田一雄は好きな指揮者でこの4種とも架蔵している。
札幌交響楽団との録音は全曲録音が計画されていながら、山田一雄の急逝により第1番のみが録音されなかった。
全集では矢崎彦太郎指揮の第1番が収録されていた。
新星日響とのベートーヴェンは交響曲第5番と第9番が残されている。
そして大阪センチュリーとのライヴ。
大阪センチュリー響は1989年に大阪府が運営していた吹奏楽団の大阪府音楽団を発展的に解消する形で発足。
橋本知事下の2011年に大阪府からの補助金を全面的にカットされ、日本センチュリー交響楽団に楽団名を変更して活動を続けている。
このライヴはオケ発足まもない頃の録音。
最初の二つの和音を聴いた瞬間、響きとして練れていない座りのよくない音が聞こえてきた。
こりゃハズレかなと思っていたら、演奏が進むにつれオケの音がしだいにひとつの方向に凝縮していく。
ぐいぐいをオケを引っ張っていく山田の棒、それに懸命に応えるオケ。
煌びやかにして情熱的な山田一雄独特の音楽が自然な流れで聞こえてくる。
聴いていてただただ圧倒されるばかり。
あふれる熱気と巨匠の風格。
第1楽章の半ばあたりから聴いていて涙が出そうになってきた。
「エロイカ」を聴いてこんなに感動するのは久しぶりだ。
第2楽章へ入る前の長いインターバルでは、尋常でない演奏にシーンと静まりかえる客席の様子が伝わってくる。
唸りを上げて突き進む怒涛のフィナーレ後半も圧倒的だ。
アンコールはイドメネオのバレエ音楽からガヴォット。
こちらも優雅にして美しい神のような演奏。
Youtubeは山田一雄のモーツァルト、「ジュピター」から第4楽章
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コメント
日比谷公会堂 山田一雄 新星日響 労音第九合唱団 郡司博 遠藤猛 勝部太 1975年前後 遠藤先生のグループで練習を重ね、合同練習を迎え山田一雄さんとの初対面。指示も解りやすく安心して本番を迎えた。フィル唱時代の先輩から誘われて参加しました。フィル唱を退団した各パートの猛者達も参加。遠藤グループを引っ張って、特にアルトは本番では一列目に陣取り凄まじい迫力でした。本番には、フィル唱の指揮者山口貴先生が客席にいたそうです特にダブルフーガの出だしのアルトパートは心からの叫び、圧巻の歌声でした。本番では郡司先生がすぐ近くで歌ってました。公演終了後、数寄屋橋の交差点で郡司先生のリードでフィル唱仲間と歓喜の歌を歌い更に感激しました。
半世紀近いおぼろげな記憶が蘇りました・
図書館で借りたバロック音楽の名曲のなかでイタリアのカリッシミをYoutubeで検索の結果ここにたどり着きました。
投稿: 笠原正 | 2023年2月12日 (日) 00時29分
笠原さま。
山田一雄さんの指揮で第九を歌われたのですね
山田さんの実演は一度きりしか体験できませんでしたが、音楽に対する情熱に圧倒されました。
投稿: 山本晴望 | 2023年2月15日 (水) 21時07分