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2023年3月10日 (金)

ペーター・マークのモーツァルト

曇りのち晴れ。連日最高気温20度を超える暖かな日々。

先週の金曜あたりから咳がひどく喉が痛い。
熱はない。

月曜日にいきつけのクリニックで診てもらい咳止めとアレルギーの薬を処方してもらった。

ついでにコロナの検査もしていただいた。

陰性。

 

火曜日以降仕事には出ていたけれどひどくなるばかり。

木曜のオケは休んでしまって今日は仕事を休むことに。

 

実は今日東京フィルの定期演奏会に行く予定だった。

この体調ではコンサートの最中に咳き込むことになり、周りに迷惑をかけることになりかねない。

急なことで譲る人も見つからず高価なチケットを無駄にしてしまった。

 

音楽はスイスの名指揮者ペーター・マークのモーツァルト。

Img_20230309_084314

手持ちは米VOX原盤日本コロンビアから出ていた廉価盤LP.3枚。

フェルメールの名画をあしらったレコードジャケット。

同じシリーズと番号だけれど再プレス盤は黒っぽい素朴な体裁に変わってしまった。

 

モーツァルトを得意としたマークには交響曲録音はDECCAにロンドン響を指揮した数曲があり、米VOXへはフィルハーモニア・フンガリカとの35番以降の後期交響曲集。


そして晩年にヴェネト管を振った後期交響曲集。

 

他には来日時の分裂前の日本フィルとの録音(リハーサル付き)や、都響とのライヴ録音が残されている。
全て架蔵済み。

 

ペーター・マークは都響とのモーツァルトで実演を聴くことができた。
曲は交響曲第38番「プラハ」とレクイエム。

ほどよくブレンドされた穏やかなオケの響きと鮮やかなリズムの処理。

デモーニッシュな凄みとは感じられなかったけれど暖かな雰囲気があって、聴いていて肩の力がふっと抜けるような心地よさを感じたことも覚えている。

 

マークはスタジオ録音と実演ではさほど変わりがなかったように思う。

聴いたのはこの中でも忘れられたかの感のあるフィルハーモア・フンガリカとの録音。

このオケとはマークはシューベルトの交響曲全集とロザムンデの音楽の録音も残している。

 

フィルハーモニア・フンガリカといえばドラティ指揮のハイドンの交響曲全集という偉業を残しているけれど、2001年に財政難のために解散している。

爽やかで颯爽とした若い頃のロンドン響の録音と、晩年のパドヴァ管との熟成した高級ワインのような録音との狭間の録音。

 

いずれの録音にも共通した聞き手を暖かな響きで幸福にさせるマークの芸風は、このVOX盤でもそのまま聴くことができる。

一昔前のフルオーケストラによる演奏。

高い次元でオケが鳴りきっている堂々たるモーツァルト。

特に弦楽器が美しく、最上の音が聴ける。

 

第39番フィナーレ冒頭の 一瞬戸惑うような動きから主部に入ると颯爽としたテンポへのギアチェンジ、そして 木管楽器が 順に加わり華やかさを増しながらの充実した終結部も見事。

この中ではロンドン響とでも名演を残している「プラハ」が最も印象に残った。

音楽が生き生きと躍動していて第一楽章主部に入る直前のヴィオラの生かし方は名人の域。

 

第40番と「ジュピター」だけ録音が鈍くマークの芸風を十分に捕えていないようだ。

この盤のみ逆相ではなかろうか。

 

Youtubeはモーツァルトのピアノ協奏曲第20番、マリア・ティーポのピアノ、ペーター・マークのピアノ

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