モーツァルトの2台のピアノのための協奏曲
晴れ時々雨。蒼い夏空の合間に熱帯のスコールのような短くも激しい雨。
地球温暖化で日本も亜熱帯のようになってきた。
夕刻にも突然の雨、東の空に先日と同じような虹。
昼食は「千楽」南口店のハヤシライス。
先日沼津市で行われた将棋の「棋聖戦」第3局で藤井七冠が勝負メシとして選んだのが姉妹店の「千楽」北口店のカツハヤシだった。
カツハヤシはかなりのボリュームでここしばらく食べていないけれど、町の洋食屋ならではの独特の風味のハヤシライスは時々食べたくなる。
モーツァルトの2台と3台のピアノのための協奏曲集を聴く。
PHILIPSから出ていたモノラルLP。
・2台のピアノのための協奏曲 変ホ長調 K.365 (316a)
・3台のピアノのための協奏曲 ヘ長調 K. 242
デユオ・シュナーベル(ピアノ)
イルゼ・アルペンハイム(K242)
ベルンハルト・パウムガルトナー(指揮)
ウィーン交響楽団
録音 1955年頃
K.365はモーツァルトとその姉ナンネルが弾くために書かれた。
このLPの解説によれば同時代の作曲家、ヨハン・サミュエル・シュレーター(Johann Samuel Schröter, 1753 - 1788)の一連の複数の独奏楽器のための協奏曲に影響を受けた曲で、曲の中にはシュレーターの作品と似た主題が出てくるのだという。
モーツァルト自身もシュレーターのいくつかの協奏曲のためにカデンツァを作曲している。
編成は独奏ピアノ2台に、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、弦五部。
この曲には後にクラリネット2、トランペット2、ティンパニを追加した版も存在する。
ただし追加版はモーツァルトの自筆譜は残されていない。
追加版がモーツァルト自身の手になるものとすれば、モーツァルトの協奏曲でクラリネットを使用した最初の曲となる。
K.242は貴族ロドロン家伯爵夫人アントニーナとその令嬢アロイジアとジュゼッパのために作曲されたもの。
3人の女性の技術レベルに合わせた、所詮貴族のアマチュアピアニスト向けの作品なのでかなり制約がある中での作曲。
中でもジュゼッパのために書かれた第3ピアノパートは、ジュゼッペの実力に合わせ比較的シンプルに書かれている。
後にモーツァルトは2台のピアノのために書き変えている。
デユオ・シュナーベルは20世紀前半の大ピアニスト、アルトルール・シュナーベルとその長男カール・ウルリッヒ・シュナーベルによって結成された。
父シュナーベルの没後はカールとその妻エレーネによって引き継がれている。
この録音は息子シュナーベル夫妻によるもの。
K.365はシュナーベル父子の録音も存在する。
第3ピアノのイルゼ・アルペンハイムはハンガリー出身の名指揮者アンタル・ドラティ夫人。
ドラティとの共演でハイドンのピアノ協奏曲やフランクの交響的変奏曲、ドラティ自身のピアノ協奏曲の録音などもある。
この2つの演奏の主導は指揮のパウムガルトナー。
快適なテンポの中で澱みなく流れていくモーツァルト。
ピアノはパウムガルトナーの指揮に導かれてそのまま同化し美しい音色で聴かせてくれる。
K.365はトランペットが入らぬ版。
録音はモノラルながら良い音だ。
YoutubeはピリスとアルゲリッチによるK.365のコンチェルト
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