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2024年3月12日 (火)

ドビュッシーと魅惑のフランス音楽、萩原麻未と工藤重典のデュオコンサート

3月も半ばになり今日は朝から冷たい雨。

オフィスの建物の地面に咲いていたハナニラの白い花。


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外来種とのこと。

今季は沼響の広報誌の編集担当。記事が出来上がったので印刷会社にネットで発注。

安い金額で手軽に印刷ができる良い世の中になった。

 

ドラゴンボールや、ドラクエのキャラクターで世界的に知られた漫画家の鳥山明氏死去。

死因は「急性硬膜下血腫」とのこと。

自分が暮から患ったのが「慢性硬膜下血腫」。

同世代だし他人事とは思えない。

 

40年以上前、自分が学生だった頃に鳥山氏を目撃したことがある。

1981年2月のことで場所は北海道のデパート。

その日中古レコード市をやっていて珍しいレコードをしこたま買い込んでいた。

この隣接していた会場で鳥山氏のサイン会が開かれていた。

ちょうど「Dr.スランプ」が売れ始めていた頃だった思う。

鳥山氏は色白で優男風のごく普通の人に見えた。

なぜかその時の氏の表情まで覚えている。

 

日曜は三島市民文化会館主催のコンサート、

2004パリ・オリンピックにちなんだ「ドビュッシーと魅惑のフランス音楽

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地方都市とはいえ興味深い内容のコンサートが二日間にわたって開かれていた。

二日とも行きたかったけれど土曜は仕事が入ってダメ。

 

ホールロビーには三島プラザホテル所蔵の高田博厚作のコクトーやロマン・ロランほかの塑像が飾られていた。

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聴いたのは萩原麻未工藤重典のデュオコンサート。

 

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第一部の前半は萩原麻未のピアノソロでドビュッシー
なお2曲目は「デルフィの舞姫」に変更。

後半から工藤重典のフルートとのデュオでサン・サーンスとフォーレ

第二部はプーランクのフルートソナタにフランクのヴァイオリンソナタのフルート版というもの。

 

この二人ならば、と期待して行ったけれど期待以上の素晴らしい内容だった。

萩原麻未は、1位をなかなか出さないことで有名なジュネーヴ国際音楽コンクールの優勝者。このコンクールの優勝者にはミケランジェリやアルゲリッチなど錚々たる名が連なっている。

ちなみにポリーニは2回出場して2回とも2位だった。ホルンのバボラークも1位なしの2位。

 

最初のドビュッシーは「月の光」。

曲の初めの二つの音で「は!」と心を奪われた。

なんと柔らかで繊細な美しい音。

続いて前奏曲集第一巻からの数曲。

工藤重典が入ってからは工藤氏による簡単な曲解説付き。

 

そして後半のプーランクとフランクが圧巻だった。

プーランクのフルートソナタは、工藤氏の師であるランパルのフルートとプーランク自身のピアノにより、ストラスブール音楽祭で1957年6月18日に初演されている。。

 

初演時の面白いエピソードを工藤氏が紹介してくれた。

このとき音楽祭の出演のため大ピアニストのルービンシュタインがストラスブールに滞在していた。

ルービンシュタインはこの曲をどうしても聴きたかったのだが、あいにく初演の前日までしか滞在することができない。

そこでランパルとプーランクは、ルービンシュタインのために公式な初演の前日にこの曲を演奏したのだという。

観客はルービンシュタイン一人。

 

工藤氏のプーランクはまさに入魂の演奏だった。

祈りのような深い思いに満ちた第2楽章のカンティレーナ。

おそらくこの曲の演奏に関しては、今はこれ以上の演奏はないだろう、と思えるほど。

 

フランクの名作はフルートで演奏すると東洋的なテイストが感じられる。

オルガン弾きのフランクが書いた曲は一つ一つの旋律の息が長い。

フルートで吹くとブレスも含め相当な技を必要とするはずだけれど、工藤氏は苦も無く吹いていた。

 

萩原さんのピアノもドビュッシーの時とは異なるがっしりとした音色と力強い打鍵。

フルートに寄り添いながら時として対等に渡り合うスリリングな演奏を展開。

フィナーレも圧倒されました。

 

アンコールはラヴェルの「ハバネラ形式の小品」

このラヴェルを演奏を聴いているうちに、70年代のはじめの中学生の時に聴いたイタリアのフルーティスト、セヴィリーノ・ガッゼローニの演奏会のことを思い出した。


場所は昭和20年代に建てられた古い沼津の公会堂。

中学の音楽の先生から声をかけられて聴きに行ったと記憶している。

もう半世紀も前のことだ。

自分が聴いた初めての世界的な音楽家がガッゼローニだった。

 

そして、その時のアンコールがラヴェルの「ハバネラ形式の小品」。


伴奏ピアニストはブルーノ・カニーノ

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工藤氏の演奏を聴いているうちに、ガッゼローニの表情や前のめりになって弾くカニーノの姿が半世紀の時を超えて蘇ってきた。

 

ガッゼローニのコンサートの前半はヘンデルやヴィヴァルディ、後半は福島和夫やペトラッシ、シュトックハウゼンらの現代音楽だったと思う。

これらの曲を中学生の自分がどれだけ理解できたのかは疑問だけれど、ヴィヴァルディよりもペトラッシの「スーフル」や福島和夫の「冥」の演奏は今でも印象に残っている。

松平頼暁の「ガッゼローニのための韻」では最後にガッゼローニ自身が発する「ガ!・ゼ!・ロー!・ニ!」の言葉で曲を締めくくっていた。

こんなことも思い出した。

 

音楽は古い過去の記憶を呼び覚ます。

 

今回の三島のコンサートは客の入りはよくなかったけれども、世界最高水準の演奏が気軽に聴けることができてありがたかった。

 

このような意欲的な催しをこれからも続けていって欲しいと思う。

 

Youtubeは萩原麻未の弾くラヴェルのピアノ協奏曲ト長調第1楽章、ジュネーヴ国際音楽コンクールの本選ライヴ

 

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コメント

おはようございます。萩原麻未さんですが、先月横浜でフランクのソナタを聴きました。辻彩奈さんのヴァイオリンともども素晴らしいものでした。最近はソロばかりでなく合わせものにも取り組んでいるようですね。生きる道を地道に模索しておられるのでしょう。他の方も含めて、最近の若手は賢いなと思います。

投稿: ぶりちぶり | 2024年3月13日 (水) 06時24分

ぶりちぶりさん。
萩原さんの実演は初めて聴きました。

ソロもデュオも、曲によって音色や歌い方を微妙に変化させていて音も美しく、素晴らしいピアニストだと思いました。

投稿: 山本晴望 | 2024年3月13日 (水) 21時37分

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