シュヒター指揮N響の放送録音
お彼岸間近だというのに連日の30度越え。
猛暑日となった地域もあり未だ夏。
ちょうど10年前の今日、亡き父の法事の時にはヒガンバナが咲いていた。
今年はヒガンバナ本体もまだ見かけない。。
一昨日の夕方、我が家2階からの美しき夕暮れ。
南西の空には金星が見えた。
N響の常任指揮者だったウィルヘルム・シュヒターの演奏。
N響を指揮したドヴォルザークを中心としたCD2枚組。
CD1
1. ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 Op.95「新世界より」
2. レスピーギ:交響詩「ローマの松」
CD2
1. ドヴォルザーク:交響曲 第8番 ト長調 Op.88
2. スメタナ:交響詩「モルダウ」
3. ドヴォルザーク:スラヴ舞曲 第10番 ホ短調 Op.72の2
ウィルヘルム・シュヒター(指揮)
NHK交響楽団
録音 :
CD1;1959年3月21日, 8月7日 NHKホール(ライヴ、ステレオ)
CD2;1959年 NHKホール(ライヴ、モノラル)
シュヒターは1957年のベルリンフィルの来日時には、カラヤンに同行しベルリンフィルを指揮している。
最後はドルトムント歌劇場の音楽監督。
N響の常任指揮者としてN響を徹底的にしごいた名トレーナー。
録音はモノラル期に通俗名曲の録音が数多くあったものの今では全く忘れ去られている。
N響常任時代のシュヒターは、徹底した鬼のような練習でしごきにしごき、楽団員の3分の1が入れ替わったとの話もある。
放送用録音の収録の際は、楽員がうんざりするほど同じ箇所を何度も何度も繰り返し演奏させ、その中から出来の良い部分のみを編集して放送するといった徹底ぶり。
だが放送された演奏は、当時のN響団員がN響とは思えない素晴らしさだったとのコメントを残している。
(このエピソードは「それゆけ!オーケストラ」石丸寛 著に詳しい)
CD1はステレオ録音で旧NHKホールでの常任指揮者就任直前の聴衆を入れたライヴ。
CD2は放送用録音。
正直なところ水準の高さに驚いた。
シュヒターのトレーニングがいかに凄かったかが如実にわかる演奏。
前任者の同じウイルヘルム、ウイルヘルム・ロイブナーのゆるい演奏と比べるととても同じオケとは思えない。
「新世界より」は厳しさの中にロマンティックに歌わせた演奏で、ウォームなオケの響きと力強さもあってなかなかの演奏だと思う。
ただ第4楽章で金管群にほころびが散見されるのは、当時のN響の限界かもしれない。
第2楽章の中間部で1番、2番ホルンがミュートで演奏する部分でなぜかミュートなしで演奏していた。
「ローマの松」は緻密にしてオケを雄大に鳴らした「新世界より」以上の世界水準の名演。
2曲ともステレオ録音なのがありがたい。
CD2はモノラルの放送用録音、おそらくテープ回しっぱなしの何度も同じ所を繰り返し演奏させ良い箇所を取りだして編集済みの放送録音。
完成度の高さは驚異的。
細かなフレーズでの各楽器のバランスが完璧、オケの歌わせ方のうまさなどCD1の2曲以上の水準。
「モルダウ」の中間部の独特のテンポの揺れも面白い。
ただ全体に重い印象なのはシュヒターの指揮に責任があるのかもしれない。
Youtubeはシュヒター指揮N響のブラームス、ハンガリー舞曲第5番
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