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2025年4月に作成された記事

2025年4月29日 (火)

ハンス・シュヴィーガーのプロコフィエフとバラキレフ

GWに入って孫たちが再び帰省。

昨日は婿殿も加わり夜は酒を酌み交わしながら近況報告。

この4月から部署も変わりなにかと気疲れの様子。

そして今日は過ごしやすい良い天気の昭和の日。


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畑の檸檬が枯れてしまったので檸檬の苗を庭に植えていた。

檸檬は風当たりの強い場所はだめらしいので、かつて庭にあった大クスノキの切り株跡に植えてみた。


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帰省していた孫が物珍しそうに見つめている。

このレモンが実をつけるのは何年先だろうか。

 

ドイツの指揮者ハンス・シュヴィーガー(Hans Schwieger 1906-2000)のプロコフィエフとバラキレフ。


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・組曲「ワルツ集」op.110
・ジプシー幻想曲op.127~バレエ音楽「石の花」  :以上プロコフィエフ
・ロシアの主題による序曲            :バラキレフ

 ハンス・シュヴィーガー(指揮)
 カンサスシティフィルハーモニー

         録音 1959年

米ヴァレーズ・サラバンドから出ていたLPでURANIA原盤。
ステレオ録音。

このLPの解説によると、フルトヴェングラーの指揮する「ウラニアのエロイカ」で有名な米URANIA社の最後の録音だという。
URANIAのLPでステレオ盤は初めて見た。

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(調べてみたら手持ちのグラーフ指揮のベルリオーズのLPに、ステレオ盤が存在することがわかりました。)

シュヴィーガーのURANIA盤ではほかにグラズノフの交響曲第4番の録音もある。
ロシア音楽が得意だったのだろうか?

プロデユーサーはトーマス・フロスト。
彼は後にCBSに移り、オーマンディ指揮フィラデルフィア管との数多くの録音を送り出している。

このLPのプロコフィエフの2曲は、CD初期になぜかフルトヴェングラー指揮のストラヴィンスキーとのカップリングで発売されている。
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ほとんど無名の指揮者とオケで、しかもマイナーな曲。
とても売れそうにもなく、やむなくフルトヴェングラーと抱き合わせたのかもしれない。

ハンス・シュヴィーガーはケルン生まれ。

マインツ州立歌劇場の音楽監督の時、妻がユダヤ人であったために辞任して渡米。
その後カンサスシティフィルの音楽監督。

ュヴィーガーはアメリカに渡る際に日本に滞在して、1937年から1年の間東京音楽学校で教鞭を執っている。

その後再来日して1974年から1976年まで東京芸術大学に在職。

 

この盤はいずれも珍しい曲で、バラキレフの曲はチャイコフスキーの交響曲第4番の終楽章に使われているロシア民謡「白樺は野に立てり」による変奏曲。

プロコフィエフのワルツを集めた組曲は、旧作のオペラ「戦争と平和」、バレエ「シンデレラ」、伝記映画のための音楽「レールモントフ」からワルツを抜き出して1946年に1つの作品にまとめた作品。

オケの響きが薄いけれども、テンポの変化に工夫を凝らしたワルツ集など、曲の良さを知るには過不足のない演奏。

録音もステレオ初期ながらまずますの音。

 

Youtubeはプロコフィエフの「石の花」

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2025年4月26日 (土)

本日の練習、本番まで3週間

4月最後の週末の土曜日。

寒暖差が大きくて朝に冬物のジャケットを出した。

一昨日クリーニング店のおばちゃん曰く、先週冬物セールをやったのにあまり集まらなかったとのこと。


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庭の純白のツツジが満開だ。

今年は例年よりも遅いようだ。

昨日は畑の雑草を取り、石灰を撒いての下準備で一日が終わる。

 

今日は朝から沼響の後援会の入会案内の印刷発注で、アップロードがうまくいかずに四苦八苦。

午後は帰省している孫たちを連れて入院中の岳父の見舞いに行っていた。
かつて同業他社で活躍していた岳父も齢90を超え、だいぶ弱ってきた。

 

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木曜日は沼津市民文化センター小ホールでオーケストラ。

沼響の本番も迫り、松川先生の指揮でシベリウスの交響曲第5番。

 

その日は仕事で遅れての到着。
しばし舞台袖でオケの音を聞いていた。


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だいぶまとまってはきたけれど、響きが曖昧模糊として混沌としたシベリウス。

自分は第2楽章最後の低音のCで四苦八苦。

 

Youtubeはハンヌ・リントウ指揮フィンランド放送響のシベリウス、交響曲第5番

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2025年4月23日 (水)

浦川宜也校訂のバッハ、ヴァイオリン協奏曲全集

雨のち午後から曇り。


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庭に咲くツツジ、そしてハナミズキ。


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近くのDIYショップでトマトとナス、ピーマンなどを購入。

今日も雨の中二人の職人さんが家の修理で作業中。

 

浦川宜也のバッハ。ヴァイオリン協奏曲全集。

FontecからのCD2枚組。


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01ヴァイオリン協奏曲ヘ短調BWV1056a
02ヴァイオリン協奏曲ニ長調BWV1053a
03ヴァイオリン協奏曲ホ長調BWV1042
04オーボエとヴァイオリンのための協奏曲ハ短調BWV1060a*
01ヴァイオリン協奏曲ニ短調BWV1052a
02ヴァイオリン協奏曲イ短調BWV1041
03ヴァイオリン協奏曲イ長調BWV1055a
042つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043

浦川宜也(ヴァイオリン)
アルブレヒト・マイヤー(オーボエ)*
ヘルマン・デヒャント(指揮)
コレギウム・プラガ・アウレア

   録音 1999年3月

 

バッハのヴァイオリン協奏曲と言えば、自筆譜の残る番号付きの2曲と2本のヴァイオリン協奏曲の3曲が一般的。

だがバッハはソロのためのヴァイオリン協奏曲を6曲作曲したとされている。

 

このアルバムは、現在チェンバロ協奏曲として編曲した形でしか残されていない4曲をヴァイオリン協奏曲に復元して演奏。

加えて2台のチェンバロのための形に編曲されていた、ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲も併録したアルバム。

 

浦川宜也はモーツァルトのヴァイオリン協奏曲も網羅的な選曲で録音を残している。

カイルベルト時代のバンベルク交響楽団のコンマスだった浦川宜也のバッハ。
古楽器のスタイルではなく、一見粗いようでいてゴツゴツとした厳しさが感じられる孤高のバッハ。

最も印象深かったのは現在チェンバロ協奏曲として伝えられているBWV.1952a.

オリジナルのヴァイオリン協奏曲になると、相当に技巧的に高度なものが要求されていたことがわかる。

ベルリンフィル首席オーボエのアルブレト・マイヤーとの相性も良い。

 

Youtubeはのベートーヴェン、ヴァイオリンソナタ第5番「春」。大ヴァイオリニスト、フリッツ・クライスラーの伴奏ピアニストだったフランツ・ルップとの録音。

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2025年4月21日 (月)

ホーレンシュタインのウィンナワルツ

ここ数日の気温の上昇で、庭の花木が一斉に咲き始めた。

ハナミズキにツツジ、そしてスズランにも似たドウダンツツジの白い花。


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先週から我が家の修繕に職人が入っている。

雨漏りの修理に入った職人さんは75歳。
高い屋根の上でもひょいひょいと身軽に作業をする姿にしばらく見とれていた。

とにかく曽祖父が建てた古い家なので、いろいろと痛みが出ている。

 

ホーレンシュタインのウィンナワルツ集

リーダーズダイジェスト社によるミュンシュ、ケンペ、ライナーら、名指揮者たちを起用した通販向け独自の録音シリーズ中の1枚。
このシリーズにはレイボヴィッツによるベートーヴェンの交響曲全集録もあり、いずれも名エンジニア、ケネス・ウイルキンソンの手になる優秀録音。

この時ホーレンシュタインは、LPにして3枚分のウィンナワルツの録音を残している。
手持ちは国内RVC盤LP。

オケはウィーン国立歌劇場管弦楽団。


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・歌劇「ジプシー男爵」序曲
・アンネン・ポルカ, Op.117
・ワルツ「酒、女、歌」, Op.333
・ワルツ「春の声」,op.410
・ワルツ「ウィーン気質」,Op.354
・ワルツ「美しく青きドナウ」,Op.314

 ヤッシャ・ホーレンシュタイン(指揮)
 ウィーン国立歌劇場管弦楽団

  録音 1966年

ホーレンシュタインはウクライナのキーウ生まれながら、幼い頃にプロイセンのケーニヒスベルク(現ロシア領)に移住し、12歳の時にはウィーンで名ヴァイオリニスト、アドルフ・ブッシュに師事。以後音楽の教育はウィーンで受けている。

この演奏は、大編成のオケでシンフォニックに壮大に歌い上げたウィンナワルツ。

いわゆるウィーン本場のワルツといった趣は感じられない。

 

ワルツとはいえストイックに問い詰めてきっちり型にはめていくホーレンシュタイン。

歌劇「ジプシー男爵」序曲など、立派な交響詩を聴いているような錯覚に陥るほど。

一方で「ウィーン気質」のような曲では、ほのかな甘いロマンの香りも漂う。

ヨハン・シュトラウスの音楽なのに、R.シュトラウスの音楽を聴かされているような気分になってきた。

50年代から60年にかけて、米WESTMINSTER、米VOX,米VANGURDなどマイナーレーベルに非常に多く登場するウィーン国立歌劇場管弦楽団。
実体はウィーンフィルやフォルクスオパーのオケだとか、いろいろ推測されている。

かつてロジンスキーが語っていた、ウィーンフィルの母体である国立歌劇場のオケと、フォルクスオパーのオケやウィーン交響楽団のメンバーなどのウィーンで活動している音楽家がその都度集り、組織された録音用オケ。

というのが実際の多くの姿だったと思うけれども、この録音を聴く限りウィーンフィルのメンバーが主体だと思う。

録音は良い。

 

Youtubeはホーレンシュタインのマーラー、交響曲第5番

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2025年4月19日 (土)

春の東京、音盤買い

本日快晴、最高気温27℃は6月なみ。

ここ数日の暖かさで、畑の雑草が爆発的に伸びてしまって昨日はほとんど草取り。

 

今月は3年ぶりの人間ドックと胃と腸の内視鏡検査。

初めての大腸内視鏡検査はおよそ20年前。

その時一緒に検査を受けたお年寄りたちは、もうあちら側に逝ってしまっているだろうな・・・

 

先週金曜の「東京春の音楽祭」の続きです。

 

未だコンサートまでは時間があるので、お茶の水のディスクユニオンに寄ってみた。

東京での音盤購入は、今年2月4日の札幌交響楽団の東京公演のついでに新宿のディスクユニオンに寄った時以来のこと。

お茶の水ユニオンは昨年6月以来10か月ぶり。

 

お茶の水駅を降りるとポツリポツリと雨が降ってきた。

店内に入る。

今回は多少時間的な余裕があるので、最初中古スコアや音楽書のコーナーを見ていた。

 

CDやLPコーナーのレイアウトは変わっていないようでいて、LPコーナーの中身は国内廉価盤や、レギュラー盤でもカラヤンやイ・ムジチどこでもあるような盤は見かけなくなっていた。その類の音盤はおそらく買い取りをしていないのだろう。

いつもながら主にLP500円以下のコーナーを順に回っていく。

興味を引くLPはほとんど架蔵済みのものばかり。
自分が貴重盤だと思っていたレコードが、500円以下コーナーに入っているのを見るとがっくり。

気を取り直して新着コーナーへ移動。

当たり前だけれど良いものは高い。

いわゆる掘り出し物は今回はなかった。

下がり続けるテンション。

500円以下コーナーと一般レギュラー盤コーナー、そして新入荷コーナーを行ったり来たりの一時間半。

 

結果はLP十数枚ほどに。

会員特典の10%もしくは20%引きのものがあったので、平均単価はほぼ500円。


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大好きなフルーティスト、ペーター・ルーカス=グラーフのLPを3枚。


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クヴァンツその他のトリオソナタ集


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イベールとドヴィエンヌのフルート協奏曲
そしてテレマンや福島和夫の「冥」を含む無伴奏フルート曲集。
全てスイス・クラーヴェス盤。


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セルジュ・ボドのサン・サーンス、交響曲第3番英エミネンス盤。

これはCDで聴いて感銘を受け、LPでも聴いてみたかった演奏。

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心優しきジョージ・ウエルドン指揮の「British Concert 'Pops'」英EMI盤。
ヴォーン・ウイリアムスのグリーンスリーヴス幻想曲のほか、グレインジャーやコーツ、
エルガーらの作品を集めた小品集。オケはフィルハーモニア管。

 

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コダーイの「ハンガリー詩編」              
他に珍しい合唱曲2曲のカップリング

A. ヨーの指揮ブタペストフィルによるもの。

 

ロジェストヴェンスキー指揮のプロコフィエフはカンタータ「名もなき少年へのバラード」
メロディア盤。


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フィッシャー=ディースカウが歌う、グリーグの歌曲集。

 

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「La Palette Orchestrale」
オーケストラで使われるさまざまな楽器の紹介のLP
仏Club National Du Disqueが出していたLPでフォーレの弟子で、ラヴェルその他多くのフランスの音楽家との交友があった作曲家にして評論家のエミール・ヴィルモーズのプロディースによるもの。


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ホルンのルシアン・テーヴェほかハープのリリー・ラスキーヌ、ファゴットのオンニュなどのフランスの名手たちが加わっている。
指揮者として名高いセルジュ・ボドが打楽器奏者として参加しているのが珍しい。
ボドの父でラムルー管の首席オーボエ奏者だったエティエンヌ・ボドの名も見える。


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デ・ブルゴス指揮ロイヤルフィルで、プロコフィエフの古典交響曲やラヴェルのボレロなど。英EMI盤。


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ヘンデルの「水上の音楽」と「王宮の花火の音楽」
指揮は水上の音楽がヴァン・ベイヌム、王宮の花火はハイティンクでオケはコンセルトヘボウ管。クリサンダー版によるベイヌムの方は、既に全曲盤を架蔵済み。

「王宮の花火」をコンセルトヘボウ管で聴きたかった。

ベイヌムの「王宮の花火の音楽」の録音はロンドンフィルだった。


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盲目のオルガニストにして作曲家のジャン・ラングレーの作品集。
「Missa salve regina」とトランペッとオルガンのためのコラール、と詩編第3番。
ピエール・コシュローのオルガンにデルモットのトランペット仏Soliste盤

 

など。

 

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2025年4月17日 (木)

本日の練習、本番まで一ヶ月

4月も半ばを過ぎ、暖かな1日。

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沼津大平地区からの少し春霞みの春の富士。

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木曜日はオーケストラ。本番まで一ヶ月を切った。

今日は松川先生の指揮で大ホール。


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曲はシベリウスの交響曲第5番。

 

聴くと演奏するのでは大違い。

先生は初稿の楽譜と改訂稿との違いを示しながら説明してくれるので、最終稿にシベリウスの円熟した作曲技法がぎっしりと詰め込まれていて、またこの曲の入れ込みの深さも、演奏していてよくわかる。


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改訂に当たってのシベリウスの迷いの箇所など、初めて知ることができた。


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ドビュッシーの曲にも似た箇所や、木管パートの一部分がバロック風に進行していく部分など、発見も多かった。

 

Youtubeはエサ=ペッカ・サロネン指揮バイエルン放送響でシベリウスの交響曲第5番

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2025年4月15日 (火)

国立科学博物館、「古代DNA日本人のきた道」のことなど

夕べの夜遅くの雨は朝には上がり、出勤の路上に蝸牛の子どもたちの異動を目撃した。
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その数、十数匹。踏まれちゃっている子もいました。

 

夕刻から気温は下がり風も強くて冬のよう。

先週金曜、ムーティ指揮のコンサートで上野行きの続き。

昼過ぎに上野公園に到着。


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公園の広場には屋台が沢山出ていて大層な賑わい。

上野恩賜公園で犬と楽しむ春フェスシタ・マチスプリングフェスタ~ウエノデワンワン2025」とのこと。


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入ってみるとワンちゃんはほとんど見かけず、外人さんばかり。

 

その足で国立科学博物館へ。

 


特別展「古代DNA日本人のきた道」 Dsc_3088

最新のDNA解析から見えた日本人のルーツの紹介展示。


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今に伝わる縄文人の痕跡が地方によって異なることなど。従来の通説を覆す驚きの事実の数々。


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日本にいるイヌやネコのルーツも合わせて紹介。


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古代人が歌を歌っているような縄文土器が面白い。


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まるで縄文時代のミュージシャン。

見たあとは館内のレストラン上野精養軒で、特別展記念デザート「キャラメルムースとリンゴのコンポート」。チョコはト音記号のような形。


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BGMはフォーレの組曲「マスクとベルガマスク」。なかなか良いです。

 

Youtubeはフォーレの組曲「マスクとベルガマスク」からガヴォット

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2025年4月12日 (土)

「東京・春・音楽祭2025」、ムーティの指揮でオール・イタリア・プログラム

春らしい暖かな4月の週末。
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昨日の雨で富士山は雪化粧。

昨日は上野で「東京・春・音楽祭2025


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場所は東京文化会館大ホール。

演奏は2009年以来頻繁にこの音楽祭のために来日している、巨匠リッカルド・ムーティの指揮。

 

10時23分沼津発の東海道線に乗り、1時少し前に上野到着。

上野公園はいつものように海外からの観光客ばかり。
ところどころに中学生の修学旅行生らしき集団。
桜はほとんど散っていた。

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コンサートは夜なので、しばし公園内を散策したのちに国立科学博物館特別展「古代DNA 日本人のきた道」へ。
その後は「お茶の水ディスクユニオン」へ。

このあたりの詳細は後日。

 

コンサートは7時開演。

6時前に着いてしまったので、どこかカフェで時間を過ごそうと思っていたら、どこも既にクローズド。


やむなく開場の6時まで文化会館のロビーでいろいろなチラシを見たりしていた。


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そして開演。

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「東京・春・音楽祭2025」

・歌劇「ナブッコ」序曲  :ヴェルディ
・歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲 マスカーニ
・歌劇「道化師」間奏曲  :レオンァヴァッロ
・歌劇「フェドーラ」間奏曲 :ジョルダーノ
・歌劇「マノン・レスコー」間奏曲 :プッチーニ
・歌劇「運命の力」序曲  :ヴェルディ

・コンテンプラツィオーネ:カタラーニ
・交響詩「ローマの松」  :レスピーギ

  リッカルド・ムーティ(指揮)
  東京春祭オーケストラ
  コンサートマスター:郷古 廉

 

イタリアオペラの巨匠の作品がずらりと並ぶオール・イタリア・プログラム。

 

オケはこの音楽祭のために集められた人たち。

 

毎年の常連もいるらしいけれど、客席から見るとメンバーは皆若い。
持参したオペラグラスで見ると知っているのはN響第一コンマスの郷古廉さんくらい。

 

一見、音大オケのような若者ばかりなので、最初大丈夫かいな・・・
と思ったけれど、演奏が始まると杞憂であることがわかった。

沢山出てくる管楽器のソロはうまいし弦楽器も後ろのプルトまでよく鳴っている。

ムーティはとても83歳とは見えない若々しさ。

 

きびきびと進める指揮棒からはオーラが出ていて、ムーティの曲への共感が自然とオケに伝わっていく。
真剣なまなざしで一糸乱れず食い下がっていくオケ。

2曲目の歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲の美しさには涙が出そうになった。
充実した前半が終わり満席の会場は興奮状態。

 

後半はカタラーニとレスピーギ。

カタラーニの曲は初めて聴く。
ほとんどオペラ「ワリー」1曲で知られるカタラーニ。
美しいヴァイオリンの流れが続く、ちょっぴりワーグナーのティストが感じられる佳曲だった。

 

そしてレスピーギの「ローマの松」。
ムーティはフィラデルフィア管を指揮して名演の録音を残している。

開演前からバンダ(別動隊)の場所が気になっていた。
客席を見渡してもその気配はなく、ステージに目を移すと前半にはなかった椅子がステージの左右の両脇と後方の3か所にずらりと並べてあった。
各6脚ずつ合計18脚。

実際並んだのは正面にトランペット2にフリコルノ4。
両脇はそれぞれトランペット3にトロンボーン3、合計18人。

「ローマの松」は実演で何度か聴いているけれど、バンダがこんなに多いのは初めてだ。

東京文化会館にはパイプオルガンがないので、その分の補強なんだろうか、と勝手に想像していた。(電子オルガンは入っていたけれど、ほとんど聞こえませんでした)

 

第1曲の「ジャニコロの松」のフォルティシモでのヴァイオリン群のピッタリそろったボーイング、「カタコンブの松」の緊張感あふれるピアニシモから爆発的なフォルティシモでのホルンはベルアップ。
「ボルゲーゼ荘の松」でのクラリネットその他の管楽器のソロもお見事。

そして満を持してひた押しに押してくる終曲の「アッピア街道の松」。

遠近感を保ちながらピアニシモから始まるベース群の響き、コールアングレのソロに引き続き次第に加わる管楽器群、ズシンと響く大太鼓。
バンダ18人の威力もあったけれど、けっしてうるさくはならず、終盤に向けて大きなカーヴを描きながら巨大なクライマックスを築いていたのが圧巻。


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終演後、団員たちが去っても、ステージ前に押し寄せた観客の歓呼に応え、ムーティは何度もステージまで出てきてくれた。
手にはイタリア国旗。

オール・イタリア・プログラムだったからかな。

このクラスの指揮者になると、さすがに音楽の深さと表現の幅の次元が違う。

ムーティはやはり凄かった。

 

Youtubeはムーティ指揮シカゴ響の「ローマの松」

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2025年4月 9日 (水)

スヴェトラーノフのカリンニコフ、交響曲第1番

良く晴れた暖かな1日。

本日の最高気温23℃最低気温は11℃。

裏山の山桜が散り始めて花吹雪となっていた。


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本日出勤.

この4月あらたに配属された職員に昨年の中途採用者を加え、基本的な仕事内容のレクチャーを2時間ほど。

 

スヴェトラーノフ(1928-2002)のカリンニコフを聴いていた。


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・歌劇「イーゴリ公」~だったん人の踊り  :ボロディン
・交響曲第1番    ト短調       :カリンニコフ*

 エフゲニー:スヴェトラーノフ(指揮)
 NHK交響楽団

 録音 1999年2月26-27日  1993年2月3日*
 
結核のため35歳の短い生涯を終えたカリンニコフの交響曲。
ほとんどこの1曲で知られるカリンニコフ。

カリンニコフの交響曲第1番は、親しみやすいメロディと優等生的なわかりやすい構成のシンフォニーで、90年代ころからブームとなり最近は沼響の選曲候補にも挙がるほど。

 

手元にはトスカニーニの録音があるし、こちらのサイトによると、アーベントロートやゴロヴァーノフの録音もあるらしい。

1920年代には近衛秀麿が国内で何度も取り上げていたし、近衛はベルリンフィルを指揮して演奏もしている。

 

聴いたのはスヴェトラーノフのN響初登場時のライヴ。
初顔合わせのオケに、あまり日本では知られていなかった曲をぶつけてくるとは、よほど自信のある曲だったのだろう。

 

先日、同じ曲をコンドラシンの演奏で聞いたばかり。

コンドラシンが、青春の息吹が感じられるような幾分軽く瑞々しい演奏だったのに対し、スヴェトラーノフは重量級の恰幅の良い演奏。

N響も見事に応えていて、ロシアのオケのような重心の低い響きではなく、透明な音の重なりが見事なバランスで響いている。
それでいて冷たくならず熱い情熱のようなものも感じられる。

曲の魅力を十分に引き出した驚きの演奏。

このスヴェトラーノフの来演時の名演によって、カリンニコフの名が有名になったと言われるほどで、この曲を代表する名演と言ってよい。

ライヴながら音も良い。

 

Youtubeはそのスヴェトラーノフ指揮NHK交響楽団のカリンニコフ

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2025年4月 7日 (月)

本日の練習、土日の集中練習

晴れのち曇り、大気の状態が不安定で夕方から一時雨。


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裏山に野生のオオシマザクラが咲いている。


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伊豆諸島や伊豆半島、房総半島南端に自生するサクラ属の基本種。

道路の反対側の真向かいには、オオシマザクラから生まれたソメイヨシノが満開だった。


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昨日は定演に向けての集中練習。


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コロナ禍でお楽しみのオケ合宿が中止になってしまって以来、未だ合宿は復活していない。

その代わりにここ数年は、本番の前月に土日の集中練習が入っている。


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今回は松川先生の指揮でドビュッシーの「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」、ストラヴィンスキーの組曲「火の鳥」(1919年版)そしてシベリウスの交響曲第5番。

 

全て20世紀の音楽だ。
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ストラヴィンスキーはドビュッシーに「火の鳥」の総譜を贈呈している。


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シベリウスの曲は、今回演奏する「火の鳥」の1919年版と同じ1919年改訂版。

先生はシベリウスの1915年初稿の総譜を用意して、1919年版へ至るシベリウスの改訂の過程も説明してくださった。

 

Youtuユッカ=ペッカ・サラステのシベリウス、交響曲第5番

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2025年4月 3日 (木)

岡田博美のドビュッシーとピエルネ

今日の朝は雨、今週晴れ間の見えない日が続く。

花粉症は収まる気配はなく、外出時はマスクを手放せない。

日曜の午後に孫たちを連れて函南町の柏谷公園に行っていた。


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ここは国指定遺跡の、柏谷横穴古墳群を中心に整備された公園

この地は通称柏谷百穴とよばれ、古代の横穴古墳が300基ほど発見されている。


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広大な公園の一角に立つと、古代人の息吹きが微かに感じられるような気がする。

これは数年前に三内丸山遺跡に行った時に感じられたと同じ感覚だ。

崖には整備された横穴古墳が見えていて、自由に入ることができる。

子供たちが遊んでいた。


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広い芝生の広場と子ども向けの遊具もあり、日曜の午後、幼い家族連れの人たちでにぎわっていた。

 

岡田博美のピアノでピエルネ、デュカス、ドビュッシーの作品。


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・ パッサカリア 作品52     G.ピエルネ:
・ラモーの主題による変奏曲、間奏曲と終曲   P.デュカス:
・12の練習曲             ドビュッシー
 
  岡田博美(ピアノ)
   録音1997年5月/東京(ライヴ録音)

フランスの作曲家たちによる硬派の作品が並ぶ。

ピエルネとデュカスは珍しい曲で、かつてジャン・ドワイアンの演奏がクロヴ・ドゥ・フランスのLPであり、国内でも日本コロンビアの廉価盤で出ていた。

 

ピエルネはがっちりと構築された聴きごたえある素晴らしい曲。

岡田博美のピアノも煌びやかな音に素晴らしいテクニックで、バッハの作品にも似た巨大な音響の伽藍を再現していた。

ドワイアンの演奏で聞いた時の印象は薄いけれど、こんな良い曲だとは思わなかった。

 

2曲とも岡田博美がリサイタルで度々取り上げている曲。

得意としているのだろう。

 

ドビュッシーも機械的にバリバリと弾いていて、一見素っ気ないようにも聞こえるけれど、エチュードの性格からしてこれはありだと思う。

 

いすれの曲もライヴでありながら完成度は非常に高い。

 

Youtubeはピエルネのパッサカリア

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2025年4月 1日 (火)

バルビローリのシベリウス、交響曲第5番のティンパニの扱いについて

今日から4月。
朝から雨、山間部では雪の予報。


土曜からの寒さはそのまま続き昨日の最高気温は11℃。

 

先週末は孫達が来ていて土日はほとんど孫の世話だった。


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日曜日、散歩の途中に孫がツクシを見つけた。

そして源平桃の花。


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先週は夏日を記録してもう春だと思っていたら、今週はこの寒さ。

今日は再び冬のコートを着て出勤。

年度が変わりニューフェイスが5人ほど。

 

昨日はオフで沼響の後援組織である、友の会へ送るチケットに御招待のゴム印を押したり、
会報の折り込みなどをしていた。

 

 

先日、今回の定演のメイン曲のシベリウスの交響曲第5番をバルビローリの演奏で聴いて、以前の印象とあまりにも異なっていたので戸惑っている。
そもそもバルビローリで交響曲第5番を知り、曲が好きになった思い出の演奏なのに。

 

実際に練習を始めてみて、譜面の細かな部分をあらためて読み直すうちに、自分のこの曲に対するアプローチが劇的に変わったのを実感する。

 

最近、練習の参考としてYoutubeにアップされている映像付きの新しい演奏をよく聴く。
いずれも曖昧さのない緻密なアンサンブルで聴かせる高水準な演奏ばかり。

 

バルビローリの、曲への深い共感から来るロマンティックな演奏も良いけれど、粘着気味で細部の彫琢に多少の甘さの残るシベリウス解釈が、今の自分の趣味に合わなくなっているようだ。

 

このことは、実際に演奏したシベリウスの交響曲第2番の時には感じなかったこと。

 

バルビローリの交響曲第5番の中で特に気になるのはティンパニの扱い。
気になってスコア片手に聴いてみた。

先日聴いたのは、自分が中学時代に買ったティチクの国内盤LP。
音がぼやけ気味なので、今度は同じ演奏をダットンラボラトリーのCDで聴く。


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このCDではリマスターの結果、音がすっきりしてティンパニも多少聞えるようにはなっている。

だが、聴いているうちに何カ所かでティンパニパートが落ちているのに気がついた。

 

シベリウスの交響曲第5番の練習をしていて、楽譜にいろいろ不自然な部分があるのは気がついてはいた。

 

シベリウスの楽譜について、以前交響曲第2番を演奏した時にも気がついていたけれど、5番は2番以上。

 

中でもバルビローリの演奏で驚いたのは第3楽章で、コントラバスの動機に続いてティンパニが8分音符で叩く練習番号D(104-105小節め)の5つの音がすっぽり抜け落ちている。

バルビローリ録音では、EMI録音とBBCライヴも同じようにこの部分のティンパニは入っていない。

 

この部分の、特に105小節めのティンパニのミ♭は、ホルンの最初の音に重なる重要な音。

スコア上ではmfだけれど、最近の演奏ではこのティンパニをフォルテで叩かせている指揮者もいるほど。

沼響の練習では、このティンパニの連打のテンポに合わせてホルンは入るようにしている。

 

ここで気になって、手持ちのいくつかの演奏の第3楽章のこの部分のみを聴いてみた。

その結果、バルビローリの録音と同時代以前の指揮者の録音には、この部分のティンパニは入っていないことが判った。

エールリンク、ハンニカイネン、バーンスタイン、カラヤンなど。

 

他にいくつか聴いてみると、サロネンはこのティンパニをかなり強く強打させていた。
作曲家でもあるサロネンの見識だと思う。

 

改めて凄いと思ったのは、シベリウスの楽譜の校訂もおこなっているベルグルンドの演奏

ベルグルンドには3種類のシベリウスの交響曲全集があるけれど、ヘルシンキフィルの演奏では104小節めの連符を強打させながらも、105小節のホルンと重なる音のみ小さく叩かせていた。

シベリウスの楽譜の校訂もおこなっているベルグルンド。

さすがである。

 

結局いくつかの校訂を経て、今はバルビローリ時代の楽譜とは別物になっているのだろう。
ブライトコップ社の新全集版を入手してみたくなってきた。

 

 

Youtubeはラトル指揮ベルリンフィルのシベリウス、交響曲第5番第3楽章。ティンパニ入っています。

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