東京都美術館開館百周年「大英博物館 日本美術コレクション」展
ニイニイゼミは通常ほかのセミに先駆けて夏の初めに鳴き始めるけれど、今年は声を聞いた記憶がない。
一時間経ってもそのままの姿だった。
鳴いていない。メスかな・・・
先週土曜日、インキネン指揮紀尾井ホール室内管のコンサートに行く前に東京都美術館開館百周年「大英博物館 日本美術コレクション」展に行っていた。
この展覧会は、大英博物館所蔵の4万点にもおよぶ日本コレクションから、江戸時代の作品を中心に展示するもの。
比較的早い時間に入館したけれどかなりの混雑。
明治維新の混乱期には多数の国宝級の美術品が海外に流出している。
大英博物館所蔵の日本コレクションもその一部。
今回の展示物の多くは、明治初期の日本政府御雇外国人のウイリアム・アンダーソンとウイリアム・ガーランドらが購入した美術品を当時の大英博物館が買い上げたものが中心。
流出した美術品の中には個人蔵となってしまって、日の目を見ない逸品も多くある中で、このような形で見ることができるのはありがたいことかもしれない。
北斎、写楽、広重らビッグネームの浮世絵や肉筆絵、応挙や谷文晁、河鍋暁齋などの膨大な数の展示。
浮世絵は日本国内にも多くの所蔵があり目新しいものは少ない。
そのような中で、昭和24年の修復中に全焼してしまった、法隆寺金堂壁画部分の焼失前の実物大模写は圧巻だった。
この模写は2007年に発見されたもので、幕末・明治期のイギリス人外交官アーネスト・サトウの依頼により、桜井香雲が模写したもの。
そして今回の目玉のひとつとして、150年ぶりに再会となった江戸時代初期に狩野派の画家が描いた襖絵。
明治維新期に京都の古刹の建物が解体され、襖絵がバラバラにされて売り出された。
一部は青森の旧家が買い取り、残りは海外へ流出。
海外へ流出した部分は、最初大英博物館が購入しその後その一部をシアトル美術館が購入。
結果として3つに分かれた形で所蔵されることになった。
今回その全てが一か所に集められている。
今年の初めにNHKからそのドキュメンタリーが放送されている。
実物を見ていて驚いたのは、描かれた襖絵のひとつに隣町の三島の様子が描かれていたことで、江戸初期の三島の宿場を描いたものは非常に珍しいと思う。
もう一つは東海道五十三次の浮世絵で知られる歌川広重が書いた下絵のスケッチ帖。
まるで鉛筆で描いたようなスケッチの数々。
多少デフォルメされて漫画チックになっているけれど、そこに書かれた人物の内面が伝わってくるようなリアル感が凄い。
幼子を背負っている子守りの女性など、今にも動きそうだった。
大名行列の姿を昆虫の行列に模して描いたもので、江戸時代の大名行列の人々の動作を、一匹一匹の虫が真似て歩いている様子を、非常に巧みにユーモラスに描いている絵。
これら美術品を蒐集した外国人の一人、ウイリアム・アンダーソンは確かな審美眼の持ち主で、自分が良いと思った作品は、たとえ無名の作家の手になるものでも内容が良ければ入手するというポリシーを貫いている。
その結果、日本でほとんど知られていないような画家や、研究もされていない画家の作品も出てくる。
質、量ともに圧巻でとても一日では見切れない。
ミュージアムショップでは、この展示の全貌を網羅した分厚い図録を迷った末に購入した。
その重さと値段に躊躇したけれど、帰宅してページをめくってみると一枚一枚の作品への詳細な解説や、発見のいきさつの豊富なコラム。
面白い読み物満載だった。
長く読み返すことに耐えうる内容で、これで3,400円は安いと思った。
展示を見た後の昼食はミュージアム内のレストラン、上野精養軒でミックスフライ定食。
午後は東京オペラシティコンサートホールで、ピエタリ・インキネン指揮紀尾井ホール室内管のコンサートでシベリウスとマーラーを堪能。
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