カテゴリー「文化・芸術」の記事

2022年10月 2日 (日)

東京都美術館の「ボストン美術館展」

10月最初の日曜日、本日快晴。

 

9月30日に初冠雪を記録した富士山頂にはうっすら白いものが見える。
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昨日は会期が今日までとなった東京都美術館で開催中「ボストン美術館展」に家内と行っていた。

 

2020年開催予定だったのがコロナ禍で延期になっていたもの。
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週末の上野恩賜公園は大層な賑わい。
マスク姿がなければ、コロナ禍以前とほとんど変わらぬ風景。

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時間予約制で午後3時半からの入場。

 

美術館前にはかなりの人。
こんなに人気なのか・・・と思ったらさにあらず。

 

同じ会場で開催中のデンマークのインテリアデザイナー、「フィン・ユールとデンマークの椅子」展の入場整理券の配付に遭遇したのであった。

 

 

それにしてもすごい人。
このデザイナー、こんなに人気なのかなと思っていたら10月1日は都民の日で、この展示会は入場無料とのこと。(ボストン美術館展は無料ではありませんでした)

 

 

ボストン美術館は10万点を超える日本美術のコレクションで知られる。

 

かなり著名な作品があるものの、それらがいつも常設されているとは限らない。
実際知人がボストン美術館に行った時には、平治物語絵巻を見ることができなかったという。

 

今回の「ボストン美術館展」のお目当ては歴史の教科書にも出てくる鎌倉時代の「平治物語絵巻 三条殿夜討の巻」そして平安時代に書かれた「吉備大臣入唐絵巻」
いずれも国内にあれば国宝級の逸品。

 

平治物語絵巻のうち「六波羅行幸の巻」はかつて東京国立博物館で見ている。

 

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三条殿夜討の巻も保存状態も良くて炎の色も鮮やかだ。
登場人物ひとりひとりの表情が全部異なるのも凄い。

 

人物と建物、牛車や牛馬の配置も絶妙。
建物に燃え移る紅蓮の炎と血しぶきほとばしる中庭での死闘、そして混乱の中で暴走する牛車に押しつぶされる人のリアル感。

 

詞書も丁寧な漢字交じりの筆跡でなんとなく読むこともできる。

 

 

「吉備大臣入唐絵巻」は遣唐使として唐に渡った吉備真備が幽閉され、鬼となった阿倍仲麻呂の助けを得ながら皇帝からの次々と降りかかる無理難題を、空中を飛んでカンニングしたり囲碁の試合では石を飲み込んだりと、ズルしながら切り抜けていくという筋書き。
7eac067b71a8905359d277056579d4ef ここで驚いたのは奥書に書かれた吉田兼好の文字。
この奥書は寛永十三年、権大納言烏丸光広の手によるもの。

 

この絵巻の詞書は吉田兼好によって書かれた、と烏丸光広が江戸期になって鑑定したということらしい。

 

 

そして伊勢長島藩のお殿様だった増山雪斎の孔雀図。
Boston2022tmm_20220802232801 伊藤若冲にも匹敵するような鮮やかな色彩と精密な描写。
鮮明な赤も印象に残る。

 

その他展示品は日本のものだけでなく、エジプトや古代中国、ヴァン・ダイクによる肖像画などの西洋絵画の数々もあったけれど、やはり厳選された日本コレクションの質の高さが目立っていた。

 

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2022年3月14日 (月)

国立新美術館「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」

今日も晴れて気温は上昇、静岡では25度を超えて今年初めての夏日を記録。
花粉も盛大に飛散。

 

本日所用があり東京へ。
コロナで逼塞して東京へは実に2年ぶり。
オフィス近くの駐車場に車を駐めて駅へ向かう。

 

乗るはずの電車が遅延。
これは最初から幸先が良くない。

 

予定よりも遅れて東京着。
当初の予定では代々木上原の「山せみ」で昼食のつもりが、時間がないので目的地の近くで見つけたカレーうどん専門店「千吉表参道店」の牡蠣のカレー煮込みうどん。
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外は季節外れの暖かさ。

うどんは超アツアツで、急いでいる時にこんなものを頼んで後悔。

臭い消しと口の中を冷ますために、マンゴ・ラッシーを追加オーダー。

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所用を済ませ国立新美術館へ。

「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」


15世紀から20世紀までの、日本未公開作品45点を含む巨匠たちの作品を集めた展覧会。


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カラバッジョ、ラファエロ、エル・グレコ、ルーベンス、ベラスケス、フェルメールやレンブラント、ターナー、ゴッホ、モネ、マネその他

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中でもジャン・シメオン・シャルダンの「シャボン玉」の実物が見れたのが嬉しかった。


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展覧会のポスターにもなっている、ド・ラ・トゥールの「女占い師」で、青年が今まさに二人の女スリにスラれようとしているリアル感が凄い。

 

期待以上の展覧会。

 

そのままお茶の水ディスクユニオンへ。

 

実に4年ぶりの訪問

 

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2022年3月 2日 (水)

語り芝居 一葉の会による「10分で伝えるわたしの名著」

3月に入り本日最高気温は17度。

コロナ禍で忘年会や新年会などが軒並み中止となって久しい。

その代わり職場親睦会を使って昼食会。

とはいえ密になる飲食はできないので、各自が希望した仕出し弁当をソーシャルディスタンスを取りながら自席で黙食の食事会。
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自分は「みよし」のステーキ弁当をセレクト。


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日常はコンビニの御握りか、サンドウィッチに野菜ジュース。
時にはカップラーメンだけれどこの時ばかりは贅沢な昼食。

昨晩は、語り芝居 一葉の会による「10分で伝えるわたしの名著」に行っていた。
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これは8人の演者による名作の語り芝居。

仕事を終え、雨の中会場の市民文化センター小ホールへ。
開演時間のぎりぎりで間に合った。


受付で今回誘ってくれたIさんにご挨拶。

Iさんはかつて敏腕のプロモーターとして、さまざまなコンサートや演劇などの文化センターでの催し物をプロデユースしていた方。

沼津のような地方都市に、若き日のサイモン・ラトルやマリス・ヤンソンス、ベテランのネヴィル・マリナー、コシュラー、チェロのゲリンガスなどの一流の実力派演奏家たちを招いてくれ、クラシック音楽ばかりではなく、パントマイムのマルセル・マルソーなども(しかも2回!)


自分のわがままも聞いてくれて、渡辺暁雄指揮N響という珍しい組み合わせを招聘したときは、シベリウスの交響曲第2番をメインにしたプログラムを組んでいただいたのも懐かしい思い出だ。


今は第一線を退いて、今回のような凝った内容の出し物を楽しみながらプロデュースしている。

そして自らも出演。

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内容は、名作のエッセンスや見せ場の一部を一人芝居で10分程度で表現するというもの。

出演者は皆、アマチュアながら演じる内容は見事。

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良いものを見せていただきました。

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2020年8月18日 (火)

静岡県立美術館の「ミュシャ展」

8月も半ばを過ぎた。猛暑益々厳しく昨日浜松は日本記録タイの41.1度。

 

先週の備忘録。

 

静岡市美術館「ショパン 200年の肖像」展のあと、静岡県立美術館で開催中の「ミュシャ展」に行っていた。
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猛暑の中、県立美術館への階段を汗をかきながら上り館内に入る。

 

受付前の自動体温測定器のディスプレィに出た自分の体温はなんと37.0度。
何も言われずにそのまま館内へ。

 

37.5度だったら入館できなかったかもしれない。

 

Img_20200811_175550 大衆的で親しみやすさの中に、冬場に飲むホットレモンのようなぬくもりと微かに漂うユーモアのテイストがあるミュシャの絵。

 

かつて東芝EMIが出していたLPレコードに、「フランス音楽のエスプリ」というシリーズがあった。

 

そこで使われていたのがミュシャの絵。
Dsc02279 収録されていた音楽とジャケットのセンスの良さに、フランス音楽とミュシャの絵が好きになった人も多かったはず。

 

ショップでカレンダーの表紙のために製作されたといわれる、「黄道十二宮」のレプリカを購入。
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2020年8月11日 (火)

静岡市美術館「ショパン 200年の肖像」

酷暑続く。
全国各地で40度越え。

 

長雨に続いてこの猛暑。
野菜、果物が値上がり始めている。

 

家内と静岡市美術館「ショパン 200年の肖像」展に行ってきた。


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出発は昼前、静岡市までは車で2時間弱。

 

盆休み中とはいえ国道は空いていた。
毎年この時期に見かける県外ナンバーの車が極端に少ない。
コロナ禍の影響は顕著だ。

 

静岡駅前の駐車場に止めて車外にでると猛烈な暑さ。
アスファルトの照り返しもあって身の危険を感じるほど。

 

遅い昼食を静岡市の有名店で、とも思い事前に静岡市に住む娘から情報を得ていたけれども暑さで気力が失せて、近くに目に入った駅ビル前の「魚がし鮨」にすることにした。


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沼津から静岡市まで来て沼津港直送が売りの「魚がし鮨」とは気が利かないけれども、家内もここで良いと言うので決める。


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自分は「バラチラシと蕎麦のセット」。

家内は「特選まぐろ丼」。


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「蒸し牡蠣」と「大間のまぐろの漬け握り」もオーダー。


さすがにネタの鮮度は良かった。

 

 

ここから静岡市美術館までは地下道を歩いて5分ほど。

地下道でもこの暑さは異常だ。

 

 

そして「ショパン 200年の肖像」


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ここで本邦初公開のショパンの自筆譜を見ることができる。

 

展示されていたエチュード作品10-8の自筆譜は、印刷向けの出版社用のもの。


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書き直しの少ない、細やかで繊細な筆致の譜面だった。

几帳面で神経質な性格が見えるようだ。

 

ショパンのデスマスクや左手のブロンズ像では、意外なほど小柄な頭部と華奢な手。

 

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そして多くの画家が描いたショパンの肖像の数々や、ショパンの作品に触発された絵画。


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この中ではショパンと交友が深かったアリ・シェフェールによって描かれた、非常に有名な肖像画が際だった存在感。

 

もうひとつの著名な肖像画、ドラクロワの本物は来ていない。


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このドラクロワのショパンの肖像画が、もともとショパンのピアノを聴くジョルジュ・サンドの肖像とセットで描かれていて、後に切り分けられた事実をこの展示で初めて知った。

ここでは切り分けられる前の状態が再現されたものが展示されている。

 

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他にはショパン国際ピアノコンクールの歴代のポスターなど。

 

ついでにミュージーアムショップで、ホルンのイラストが入った消しゴムを購いました。
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帰りに静岡市に住む娘の家に立ち寄り、娘と一緒に帰宅は8時過ぎ。

 

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2020年1月23日 (木)

調律師、瀬川宏さんのことなど

今日は朝から一日雨。
本日休み。

最近バランスを崩してよく転ぶ母がまた転倒。
今度はダメージが大きかったので病院に連れて行った後様子を見ている。
どうも気持ちは若いままで、体が付いていかない自覚に欠けているようだ。

午前中には家の修繕の職人さんが入り作業。

 

昨年の今頃、縁あって一緒に酒席を共にした日本を代表する調律師の瀬川宏さんが昨年末に亡くなられていた、とその時同席した方から連絡があった。

 

驚いて昨年末の朝日新聞を見ると経歴とともに訃報が出ていた。享年77歳。

瀬川さんは昨年の時点で入退院を繰り返した状態だったのが、ちょうどご一緒した時は小康を得て体調が良かった時だった。

 

瀬川さんは隣町の三島市出身。

リヒテルやミケランジェリの調律師。
ヨーロッパでも活躍し、ショパン国際ピアノコンクールでの調律もおこなっていた。

ご一緒した時には、リヒテルやミケランジェリの知られざるエピソードや演奏の秘密など、驚きの内容をいろいろと話してくださった。

 

豪華客船のクルージングコンサートのために乗船していた最晩年のサンソン・フランソワに二週間同行したことや、アンドレ・ワッツ、ワイセンベルク、ゲルバー、そしてアランフェス協奏曲の初演者、デ・ラ・マーサや女流ヴァイオリニスト、イダ・ヘンデルの素顔など。

ピアニストに限らない大演奏家たちの交友の数々。

とりわけ印象深かったのは、フルトヴェングラーやメンゲルベルクとも共演したドイツのピアニスト、コンラート・ハンセンの自宅に招かれた時の話だった。

 

演奏家のことだけではなく、ピアノ調律の苦労話や環境汚染のために今は良いフェルトが入手できなくなってしまった話、ホールの響きのことなど、一言一言が驚きの連続でまさに珠玉の時間だった。

 

その後瀬川さんは体調を崩されて入院。

人づてに、また一緒に飲みながら話をしたいということや私の拙ブログも読んでいるという話を伺い、いつか再会することを楽しみにしていた・・・・

もっといろいろな話を伺いたかった。

 

演奏史の貴重な生き証人がいなくなってしまいました。

 

心よりご冥福をお祈りいたします。

Youtubeは世田谷のストリートピアノを調律する瀬川さん。
私がお目にかかった一ヶ月後のお姿です。

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2019年12月28日 (土)

「ハプスブルグ展」そしてビーチャムのメサイアのことなど

今年最後の土曜日は冷えて朝の気温は7度。

昨日で仕事納めといきたいところだけれども諸事情で今日が仕事納め。
現役の担当が経験不足のため以前関わりのあった自分が出勤してアドバイス。

 

この4月でサブリタイアとなったけれども自分の出勤場所はそのまま。
気楽な身分となった一方入ってくる情報は減った。

それでも自分の好きな分野、適度な緊張感もありそれなりに楽しめた1年だったと思う。

 

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お昼は中華。

「萬品香」の台湾ラーメンと回鍋肉丼。


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あい変わらずのカロリー多め。

 

さて明日から年始の準備をしよう。
今年はいつもと異なる来客の予定。

 

先月一橋大オケを聴くために上京したおり立ち寄った「ハプスブルク展」の備忘録。

 

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場所は上野の国立西洋美術館。

ハプスブルグ家の数あるコレクションからその栄光の歴史を辿ろうとするもの。

 

皇帝や皇妃らの肖像画が多いのは、自らの権威を示すと同時に最盛期の自分の姿を後世に残すためだろうか。

政略結婚のために嫁いだ王妃の近況を実家に知らせるための絵や、見合い写真のような役割をしたものまで。


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スペイン王フェリペ4世の娘で、神聖ローマ皇帝レオポルト1世の最初の皇后をベラスケスが描いた有名な「青いドレスの王女マルガリータ・テレサ」などはその代表的なものだ。

 

今回は同じモデルでポーズも同じブタペスト国立西洋美術館所蔵のフアン・バウティスタ・マルティネス・ デル・マーソ作の「緑のドレスの王女マルガリータ・テレサ」も並べて展示。


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サイズもほぼ同じなので遠目には同じように見えた。

だが近くで見ると芸格の差は歴然だ。

画家の大部分は自分には馴染みのない人たち。
工房作品も多かった。

 

展示の最後の部屋、ハプスブルク家の栄光の歴史が閉じようとする部分でのハプスブルク家最後の皇帝「オーストリア・ハンガリー二重帝国皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の肖像」(ヴィクトール・シュタウファー作)の老いて疲れたように見える皇帝の姿。

 

同じ部屋でのその王妃「薄い青のドレスの皇妃エリザベト」(ヨーゼフ・ホラチェク作)の現実離れした美女エリザベトの姿とは対照的。
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他にはハプスブルク家最盛期の皇帝たちの輝くような西洋甲冑の数々が目を引いた。


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マキシミリアン1世のものなどピッカピカに磨き上げられていて、今にも動き出しそうな雰囲気。


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さぞや重かろう。

 

美術館を出ると東京文化会館前に見事な銀杏の黄葉。

 

 

音楽は、年末ということでヘンデルの「メサイア」。

 

イギリスの指揮者トーマス・ビーチャム指揮ロイヤルフィルによる全曲盤から。

数種類あるビーチャムの「メサイア」録音中最後のもので、同じくイギリスの指揮者ユージン・グーセンスによる現代の巨大編成オケのための編曲。

手持ちは国内盤LP3枚組。


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ジェニファー・ヴィヴィアン(ソプラノ)
モニカ・シンクレアー(メッゾ・ソプラノ)
ジョン・ヴィッカーズ(テノール)
ジョルジョ・トゥッツイ(バス)

指揮:サー・トマス・ビーチャム

ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団&合唱団
(合唱指揮:ジョン・マッカーシー)

 

【録音】
  1959年6月9日~13日、15日~17日、20日、24日、26日、7月3日、
      17日~18日、

  ロンドン、ウォルサムストウ・アッセンブリー・ホール

 

これは金管楽器や打楽器が活躍するゴージャスなアレンジで、今となっては時代を感じさせる。

それでも今聞いてみると表面的な派手さばかりではなく、細かな部分での弦楽器と木管楽器の扱いなどが絶妙。

 

ソリストも合唱もオケに負けずにパンチのある歌唱を聞かせてくれていて、祝祭的でワクワクするような高揚感がなんとも楽しい。

 

Youtubeは大編成オケと合唱の「メサイア」

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2019年10月15日 (火)

雨の横浜、横浜美術館

日曜の暑さから一転して小雨振る10月半ばの週。

 

気温は下がり10月中旬並みの肌寒さ。

 

台風の被害は東日本の広範囲に及び、犠牲者の数も増え続けている。

 

 

こんな時だけれども、昨日は以前から予定をしていたユーリ・テミルカーノフ指揮読売日本交響楽団を聴くために横浜に行っていた。

 

 

朝、通常の出勤の時間に家を出た。

 

暑かった日曜の感覚のままだったので薄着で家を出たのが失敗の元。

 

駅のホームに立つと肌寒い。
周りを見ると皆さん長袖に上着。

 

自分は肌着の上に長袖シャツ一枚の姿だ。

 

横浜駅には10時30分の到着。

 

横浜も雨。

 

このままでは風邪をひきそうなので、軽いジャンパーでも買おうかと財布に割引券が入っていた横浜駅前の「洋服の青山」に向かうと11時開店だった。

 

直ぐ近くに「ドトール」があったのでここで暖かなカフェモカを飲みながらの時間調整。

 

青山に入って店員に尋ねると、この店はフォーマルが中心らしく、高そうなスーツばかりが並んでいる。
「2階にコートがありますが」ということなので行ってみると、どうみても本格的なコートばかり。

 

かろうじて見つけた半額値札のレインコートはサイズが合わなかった。

 

やむなく薄めのハーフコートにした。
ここで想定外の痛い出費。

 

コートを着てしばらく歩いているうちに今度は暑くなってきた。

 

みなとみらい線に乗りみなとみらい駅へ。
Img_20191014_114349-2 コンサートは2時開演なので近くの横浜美術館に行ってみる。

 

ここでは「オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」展

 

横浜美術館は初めての訪問。

 

最初に無料の「絵でたどるペリー来航」展を観る。

 

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ペリー来航時に同行した画家ヴィルヘルム・ハイネの描いた石版画などと写真家のエリファレット・ブラウン・ジュニアの撮影した写真が展示されている。

 

コンパクトながら非常によくまとまった展示。

 

当時400枚余り撮影されたというブラウン・ジュニアの写真は残念ながら現在6枚しか確認されていない。そのうち5枚は国内に有り、いずれも重要文化財に指定されている。

 

ここでは「遠藤又左衛門と従者」のレプリカが展示されていた。

 

同じブラウンが撮影した写真の現存する6枚のうちのもう一枚は函館にあって、かつて函館に旅行した時に見ている。

 

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ただこの時の函館の展示では日本最古の写真との解説があったが、ペリーの函館滞在は1854年5月17日から6月3日まで、横浜滞在は同じ年の2月13日から4月18日までなので、正確には横浜の写真の方が数か月だけ早いことになる。

 

 

そして「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」展
Orangerie_ogp パリのオランジュリー美術館の常設展示作品から、画商ポール・ギュヨームコレクション。
の展示。

 

ルノワールをはじめとしてマチス、ピカソ、ドガ、モネ、マリー・ローランサン、モジリアニなど、19世紀から20世紀初めの著名な画家13人の作品を集めたもの。

 

 

画商ポール・ギュヨーム。

 

詩人アポリネールのアドバイスを受け若きモジリアニの才能を見出したことで有名だが幅広い交友は超人的。
個人でこれだけの芸術家たちと深い交友があったことに驚く。

 

ギヨームは42歳の若さで逝っている。

 

72469653_2502101656575873_30817389444092 ここではユトリロの描いたベルリオーズの家やバレエリュッスの「牝鹿」の下絵なども観ることが出来た。

 

会場にはルノワールの「ピアノを弾く少女」に描かれているプレイエル社製ピアノが展示されていてプーランクのノヴェレッテが流れていた。

 

72321466_2502103346575704_76354238218009 長くなったのでコンサートの感想は次回。

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2019年10月 7日 (月)

ららぽーと沼津と旧御用邸での茶会、そして舘野泉のピアノのことなど

曇り夕方から雨。
10月も一週間が過ぎ夏の暑さは昨日まで。

「ららぽーと沼津」オープン。

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2日のプレオープンには周辺国道が強烈な渋滞。

連日の混雑を聞いていたので、ある程度落ち着いてから行くつもりが、昨日家内が「ららぽーと」で重たいものを買うというので荷物運びに駆り出された。

 

オープン最初の日曜なので混雑は必至と渋滞を予想していたものの駐車場にはすんなり入ることができた。
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ショッピングしているうちに次第に混み始めた。

 

ショップの店員達は新人が多くて、人数が多い割には時間がかかってどこも行列。
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昼食時には混雑のピーク。

 

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一番人気の湯河原の「飯田商店」は90分待ちのプラカードが・・・・

 

 

最初から混むところで食事するつもりはないけれども、どこも大層な人の列。

 

結局、焼肉京昌園のランチセットにした。

 

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この店はアプリで待ち時間を知らせてくれるのでその間にショッピングができるのが良い。

 

食事を済ませららぽーとを出て沼津御用邸記念公園へ向かう。

 

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沼津市芸術祭の茶席に参加

茶道3流派の競演

 

ララポートの駐車場から出るのに手間取り、旧沼津御用邸到着時はほとんど終了時間の直前。

 

こんな時間なので自分たち夫婦のみ。

本日最後の参加者らしい。


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もう片付けを始めていたけれども席を設けていただきました。

 

茶の席は全く素人なのでいくぶん緊張気味。

 

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和服姿の品の良いご婦人が丁寧にお茶を点てていただき、作法も教えてくださった。

 

ららぽーとの喧噪から別世界の落ち着いた時間を過ごすことが出来ました。

ありがとうございました。

 

 

今日は舘野泉のピアノでフィンランドの作曲家たちの作品を聴いていた。

 

タイトルは「フィンランド ピアノ名曲ベストコレクション2」

キャニオンから出ていたLPで近代フィンランドの作曲家5人の作品を収めている。

 

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01夢想op.58-1 (シベリウス)
02静かな西風op.74-2 (シベリウス)
03村の教会op.103-1 (シベリウス)
04即興曲op.5-5 (シベリウス)
05ロマンス変ニ長調op.24-9 (シベリウス)
06ロマンティックな情景op.101-5 (シベリウス)
075月の夜op.27-4 (パルムグレン)
08夕べの歌op.47-1 (パルムグレン)
09月の光op.54-3 (パルムグレン)
10とんぼop.27-3 (パルムグレン)
11海op.17-2 (パルムグレン)
12夏の夜の牧歌op.16-2 (メリカント)
13牧歌op.73-1 (メリカント)
14ゆるやかなワルツ (メリカント)
15秋の朝op.21-2 (カスキ)
16古い時計台op.48-2 (カスキ)
17夜の海辺にてop.34-1 (カスキ)
18激流op.48-1 (カスキ)
19小さなガヴォットop.3-3 (クーラ)
20結婚行進曲op.3-2 (クーラ)

 

 舘野泉(P)

 

 録音 1988年1月

 

フィンランドの作曲家としてはシベリウスの存在があまりにも大きく、他の作曲家たちは巨大な太陽に隠された惑星のような存在になってしまっていて気の毒なほど。

 

トイヴォ・クーラは酔った兵隊との口論で射殺されるという悲劇的な最期
ヘイノ・カスキなどはシベリウスと同じ日に亡くなっている。

 

巨人シベリウスの影に隠れて目立たないけれども他の4人も才能豊かな作曲家たちだ。

 

ここで聴かれる作品はいずれもロマンティックで美しい小品ばかり。

 

このように並べて聴いてみると、シベリウスの作品は身近な題材を取り上げた内容であっても密度が高く、簡単に聞き流すような作品でないことを実感する。

「村の教会」はシベリウス晩年の傑作「アンダンテ・フェスティーボ」と同じ素材からなるもの。

 

中では素朴でいて爽やかな美しいメロディ満載のメリカントの作品に一番惹かれる。

 

舘野泉のピアノは、作品への深い愛情と共感に満ちた美しい演奏を聴かせてくれる。

EQカーヴはColumbiaカーヴで聴いた。

 

Youtubeはメリカントの「牧歌」

 

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2019年10月 5日 (土)

山種美術館「大観.春草.玉堂.龍子 日本画のパイオニア」展と名曲喫茶「ライオン」のことなど

10月最初の土曜日、本日の最高気温31度。

 

朝、市街中心部を流れる狩野川堤防を歩いていた。

日差しは強いが頬に触れる川風に秋の色。

 

 

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川向こうの林立するマンションの間からの富士山。

 

ズームアップすると宝永火口もくっきり見えた。


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木曜の東京行きでは山種美術館をはじめ、渋谷の老舗名曲喫茶「ライオン」に久しぶりに寄りその他音盤購入もいくつか。

 

 

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山種美術館は広尾開館10周年記念「大観.春草.玉堂.龍子 日本画のパイオニア」展。

 

内容は当美術館が所蔵する近代日本画の四巨頭、横山大観、菱田春草、川合玉堂、川端龍子の作品を集めた展示。


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横山大観は出雲旅行の際に足立美術館でかなりの作品を見た。

 

 

今回館内で撮影を許されている唯一の作品、大観の「心神」


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大観の絵は小さなサイズの絵でも、その奥に広大な世界が無限に広がっていくのを感じさせる。

 

だが自分には時としてその巨大さに押し潰されそうな重圧を感じることがある。

 

 

今回ここに展示されている4人の作品では、菱田春草と川合玉堂の作品に最も親近感を覚えた。

 

なかでも玉堂の「渓雨紅樹」が良かった。

 

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静かな秋、山村の紅葉の向こうに霧雨に煙る山々、遠くに傘をさして歩く二人の農夫の姿

 

ミュージーアムショップで絵はがきを買い求めたほど。

 

 

昭和の狩野永徳とも呼ばれた川端龍子の大作「鳴門」は、沼津江浦の静かな海を見て真逆の荒れた鳴門の海を想像して描いた、のだそうだ。

 

よく見ると確かに右側の海岸は江浦海岸のデフォルメだ。

 

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その後は渋谷に行きレコファン渋谷店を冷やかし、道玄坂の1926年創業の老舗名曲喫茶「ライオン」でコーヒーブレイク。

 

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ここに訪れたのは30年ぶりくらい。

場所がどうしても思い出せず、迷ってしまってようやくたどり着いた店の外観は以前と変わらず中もそのまま。

 

この場所だけ時間が止まっているかのようだ。

 

 

壁の中空にはめ込まれた手作り感のあるスピーカーは、記憶ではもう少し大きかった印象があったのだが空間の広さに比べて小さく感じた。

 

お客さんは10人ほど。

 

流れていた音楽はクロイツァーのピアノでリストのメフィストワルツ。
CDのようだ。

 

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やがて現代音楽に変わった。

 

チェンバロによる刺激的な曲が大音量で鳴っている。
自分は初めて聴く曲。

 

静かにコーヒーを飲みながらクラシック音楽を聴く場が名曲喫茶とするならば、かなり異質な音楽が流れている。

 

周りを見ると読書する人、論文らしき原稿を書いている男性、ノートパソコンを叩いている人、じっと聴いている紳士、若いアベックなど、みなさん静かに聞き入っている。

 

リクエストだったのだろうか。

 

自分には正直苦痛な音楽だった。

 

流れていた曲はリゲティの「コンティヌム」。

 

続いて定例のレコードコンサート。

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内容はスタインバーグ指揮のピッツバーグ交響楽団によるウィンナワルツ特集。

 

ずいぶんとマニアックな演奏を流しているものだ。
これは同じものを持っている。

 

使用していた米Captolのレコードは盤が汚れていてノイズが大きかった。

 

レコードをかける学生アルバイトらしき男性のレコードの扱いも気になる。

 

レコードをターンテーブルに載せるときにセンターを狙わず漫然とスピンドル周辺を探りながら置いている。

 

あれでは大切なレコードがヒゲだらけだ。

 

 

 

今や希少価値となった名曲喫茶。

 

末永く続けていただきたいだけに、多くの人が訪れるように些細なことにも気を使って欲しい。

 

 

しばしここで時間調整をして御茶ノ水ディスクユニオンへ。

 

 

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