月刊「レコード芸術」休刊に思ふ
薄曇りの一日。日曜に自宅近くからの富士。
裾野が霞み空中に浮いているように見えた。
昨日はオフ、午前中にケアマネージャーさんが来て母の来月からの介護予定の打ち合わせ。
午後は畑作業など。
レコード芸術誌が今日発売の7月号で休刊となってしまった。
創刊は1952年、70年を超える歴史。
今までにもいくつかの音楽雑誌はあったけれど、内容の充実度では他誌を圧倒していた。
クラシック音楽の市場全体が縮小している中、時代の流れとはいえ値段も高くなって冊子が薄くなっていったので、相当苦しいだろうなと想像はしていた。
自分が「レコード芸術」を読み始めたのは70年代の初め。
中学生の時の自分はもっぱら立ち読み。
貧乏学生の自分が購入するレコードはほぼ廉価盤ばかりで、レコ藝も年一回恒例の特集記事だった廉価盤特集の時だけ購入していた。
80年代になり社会人になってからは毎月定期購読するように。
やがて学生時代に購入できなかった古いバックナンバーも古書店で買うようになっていった。
その後は新譜の情報誌として重宝はしていたけれど、CD時代に入りカラヤン、バーンスタインが世を去ったあたりからクラシック音楽市場の潮目が変わったと思う。
NAXOSに代表される小さなレーベル台頭すると同時に、メジャーなEMIやPHILIPSなど大きなレーベルの衰退が著しくなっていった。
自分が購入するレコードも中古盤やマイナーな輸入盤にシフト。
地方都市ではCDショップのクラシックコーナーがみるみると小さくなっていった。
自分は90年代の半ば当たりから自然発生的に定期購読は止め、購入するのは興味のある特集がある時だけになった。
ネットで基本的な情報を得ることができるようになると、そのうち購読するのも止めて近くの書店でパラパラと立ち読みする程度。
そのうちその書店はレコ藝を置かなくなってしまった。
だがネットだと、自分求めようとする情報が知っている方向にどうしても偏りがち。
久しぶりに最終号となった今月号を手に取ってみる。
この一冊に集約された記事の質と情報量、そして精度の高さをあらためて実感する。
喪失感は大きい。
今や時代はネット配信の時代となってCDも先が見えてきた。
先日、馴染みのオーディオショップの主人が店内のLPの山を見て。
「これ、結局ゴミになるのかなぁ・・・」と呟いたことを思い出す。
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