カテゴリー「書籍・雑誌」の記事

2017年8月 5日 (土)

紀田順一郎「蔵書一代」

本日快晴、迷走台風は九州に接近中。

立秋を迎えて来週は雨模様。

 

昨晩は部門責任者を集めた暑気払い。

場所は駅前ホテル内の和ダイニング

 

肉料理はなかなか良かった。

 

二次会を誘われたものの、一次会が終わりホテルの出口で他部門の長と話し込んでいるうちに行きそびれてそのまま帰宅。

今日は仕事絡みのイベントで挨拶しなければならず普通に出勤。

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紀田順一郎氏の新刊「蔵書一代」を斜め読み。


この書は3万冊にも及ぶ蔵書を手放さなければならなくなった苦渋の選択の経緯と記録。

氏は4トントラック2台に積まれた蔵書に別れを告げたときに、思わず前のめりに倒れ込んでしまったという。

ちょうど今蔵書を含む家の家財その他の断捨離に入っているので氏の気持ちはよくわかる。

類書でこんな本も図書館で借りてきた。

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本で床は抜けるのか


いつもならばAmazonでポチッと買ってしまうところだが、
今まさに蔵書の整理中で多少理性が働いている模様。

そのまま「本」を「レコード」に置き換わりができそうで恐ろしい。

音楽は湯山昭の「日曜日のソナチネ」


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キングレコードが出していたLPで、小林仁のピアノ。

序曲の「音のデッサン」に始まり、月曜日から日曜日までの8曲を集めたモダーンでお洒落な小品の数々。
序曲以外の7曲は3楽章形式。

子供の学習者向けの軽い小曲集だが、清涼飲料がスルリと喉を通過するような爽やかさが夏向きで良い。

演奏が立派だからなのだろう。

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2015年11月30日 (月)

水木しげるさん逝く

11月も今日で終わりの月曜日。

よく晴れて自宅近くからは富士山が良く見える。

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昨日の日曜は休みだったものの土曜出勤の疲れが充分に取れず、
今日は起きた直後から体が重いことを自覚。



漫画家の水木しげるさんが亡くなった。

幼い時からのファンだっただけに大往生とはいえ非常に寂しい。


最近読んだ水木さんの自伝「ほんまにオレはアホやろか

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他に比べようがない型破りの生き方には、ただただ驚きと畏敬の気持ちのみであります。

この本は本当に面白かった。








昨日は「全国子守歌フェスタ」の開会式に紀州根来の鉄砲隊研究会の演武があるというので市民文化センター横の香陵グラウンドへ行ってみた。

宣伝が充分でなかったためかギャラリーは50人ほど。

僧兵の装いの鉄砲隊の方々は6名。

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戦国時代に雑賀衆とならび鉄砲傭兵集団として勇名を馳せた根来衆。

火縄銃の一斉射撃の轟音はなかなかの迫力だった。

夜にEテレで、リントウ指揮フィンランド放送響の演奏を放送していた。

自分が聴いた翌日の11月4日、サントリーホールでのライヴ。

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プログラムはアンコール以外は同一。

実演ではよくわからなかったリントウの表情がよく見えて面白い。
オケのやる気がテレビ画面を通じてよく伝わってくる。

演奏全体の印象は実演とあまり変わらぬものの、諏訪内晶子のヴァイオリンは、3日の静岡よりもサントリーホールでの演奏の方が良かったようだ。





先日まとめて購入したフィリップスのオーディオクリニックシリーズから何枚か聴いてみた。

1枚目はコロンビア出身のラファエル・プヤーナのチェンバロでクープランの楽曲。

プヤーナの演奏は典雅というよりも豪快に弾く古いスタイル。
実演ではこれほど大きな音ではチェンバロは聞こえない。

生々しい響きを見事に捉えた録音が良い。

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オリジナルは、マーキュリーのリビング・プレゼンスシリーズ。



そして同じシリーズでもう一枚は、ハイティンクの指揮でマーラーの歌曲。

交響曲第4番の第4楽章(天上の音楽)と「さすらう若人の歌」のカップリング。 アメリンクとヘルマン・プライの歌。

交響曲第4番の演奏は国内盤で全曲を所有済。

通常盤の国内盤も良い音だが、オーディオクリニックシリーズの音はコンセルトヘボウのホールの空気感がそのまま部屋の中に充満するような錯覚に陥るほどの音。

演奏もハイティンクの旧全集中でも出色の1枚だ。

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2015年8月13日 (木)

音楽書、爆買い

曇り時々雨。久しぶりの雨。

今日と明日は夏休みをいただいた。
わが社の夏休みは仕事の具合を見ながら各自が取得することになっている。
お盆とはいえ部署によってはとても休めない場合もあり、この時期に2日連続して休んだことは入社以来初めてかもしれない。


娘たちも揃いお坊さんを迎え親戚の訪問もありそれなりに忙しい。

お盆中は町内の二つのお寺のお坊さんがお経を上げに来る。
そのひとつのお寺、いつもは午前中に来るはずが今日に限って3時過ぎ。

檀家400件を抱え汗をかきながら来る32歳の若いお坊さん。
お寺の経営の話など四方山話、お寺もいろいろと大変なようだ。


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上の娘と家内は仕事で、夜は娘二人とも高校時代の友人と食事会ということで送り迎えも忙しい。


娘を沼津駅に送りながら合間にブックオフに寄ってみた。


家の近くのブックオフが先月閉店して、最寄りのブックオフが遠くなってしまった。
自宅からおよそ4キロの距離。


この期間中本全品20パーセントオフということで駐車場は満車だった。

しばらく待って店内に入り、100~200円の音楽本コーナーに行ってみたら、コアな音楽書がずらり。


思わず見とれてその場に立ち尽くす。

ピアノ関係が多いのはピアノの先生だったのかな。
それにしてもオケ関係も多い。


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一般価格の音楽書コーナーもすごい充実ぶりだ。


ブラームスの関係書が何冊もあり、あたかも自分が最近始めた聴き比べコラム「ブラームスの一番を聴く」を待っていたかのよう。


楽譜コーナーに行ってみたら、ブラームス自身の編曲による「交響曲第1番」の連弾譜があってさらにビックリ。


すっかりハイテンションになって5千円ほどの爆買い。




この夏は、先月初めにハードオフでまとまった量のCDを入手したことも有り、イギリス音楽を集中して聴いている。



ヴォーン・ウイリアムスとホルストは王立音楽院の学生時代に、イギリスの地方を伴に旅してイギリス民謡の蒐集を積極的におこなったことで知られる。


この二人が蒐集したイギリス民謡とパートソングを集めたCDを聴いていた。


「Bushes and Briars (Folksongs & Partsongs by British Composers)」 と題されたCD2枚組



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ヴォーン・ウイリアムスとホルストの作品を中心に他にエルガーやウォーロック、 ブリテン、ディーリアス他の作品を少々。


演奏はクリストファー・ビショップ指揮のロンドンマドリガルシンガーズとBaccholian Singers of London



多くは無伴奏のアカペラで演奏されている合計48曲。


民衆の間に歌い継がれた素朴な旋律の数々が芸術的な姿に昇華されている。


ホルストのミリタリーバンドのための第2組曲に使われた素材も、オリジナルの形で聴くことができるのが嬉しい。


このCDには、この二人のほかにエルガーやウォーロック、バタワースらの民謡のアレンジとパートソングも収められている。


沼響のHPの聴き比べコラム、「ブラームスの1番を聴く」に録音史をアップしました。




Youtubeはホルストの「鍛冶屋の歌」、吹奏楽のための組曲第2番のオリジナル曲

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2015年7月25日 (土)

花火を観ながら又吉直樹の「火花」

7月最終の土日は沼津夏祭り。

心配された台風の影響もなく本日快晴。

午前中は娘と家内を駅に送ったついでに、ポイントの溜まっていた家電量販店にブラリと寄ったりしていた。
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我が家の家電はこれといった不満もなく使えているので、しばらくこの手の店には寄ってない。



4Kテレビ、掃除ロボットその他、各種最新家電の進化に感心していると、浴衣を着た店員が寄ってきた。



サイクロン型の掃除機の説明などを聞いたりしていたが、結局溜まったポイントでDVDが300枚ほど入るケースを買って店を出た。


夕方、娘と家内を迎えに駅に向かうと狩野川花火大会直前の歩行者天国が始まるところ。



今年はいつもより人出が少ないようだ。

帰宅すると地元のケーブルテレビで花火大会の生中継をやっている。


窓の外から入る遠くの花火の音が、テレビの音とかなりの時間差で聞こえてきた。

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写真は数年前に狩野川に打ち上がった花火を撮った写真。

手先がぶれて岡本太郎の作品のようになってしまった。


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芥川賞をとった又吉直樹のピースが沼津に来ることを通勤の車中のコミュニティFMで知った。








家内がどうしても行きたいというので、ネットで「よしもと」公演日程を見てみるとこの26日の日曜だという。 




受賞後の多忙な時期に、沼津の様な地方都市に来るはずがないので、夏祭りに合わせて芥川賞受賞の前から公演は決まっていたのだろう。



当然売り切れかと思ったら簡単にチケットが獲れて意外だった。

沼津の皆さん、公演の事を知らないのではなかろうか。


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受賞作「火花」は増刷中で、いつ入荷になるかわからないという近所の書店の店員の話だったが、どうしても読みたいという家内は、函南のTSUTAYAにあるという情報をキャッチして買ってきた。
 



音楽は夜になってワルター・ゲルヴィッヒの弾くリュートをしみじみと聴く。


学生時代に購入したLPで、バッハ、ブクステフーデ、パッヘルベルのリュートの作品。

ドイツのCANTATE原盤の日本コロンビアのLP。
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・組曲 ト短調 BWV.995       :バッハ


・組曲 ハ短調             :ブクステフーデ


・組曲 嬰ヘ短調             :パッヘルベル


  リュート)ワルター・ゲルヴィッヒ

バッハは無伴奏チェロ組曲第5番と同じ曲。

繰り返しの部分で微妙に音色の変化を付けている。

1964年録音、ゲルヴィッヒ晩年の名演だ。

youtubeはゲルヴィッヒのリュート

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2014年11月19日 (水)

市河彦太郎「文化と外交」

本日晴れて穏やかな一日。

先週から来月初めまで厳しい毎日が続く。

市河彦太郎の「文化と外交」(岡倉書房 昭和14年)をオークションで入手。 この本の実物は地元の図書館で中身を見ていたが、ようやく入手できた。
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市河彦太郎は昭和初期の外交官。フィンランド公使の時に、住居がシベリウスの次女の隣だったこともあり、おそらくシベリウス本人と最も深い関係のあった日本人。

市河彦太郎は旧制沼津中学校、東京大学法学部卒業。 外交官として上海、マカオ、ニューヨーク、カルカッタ、フィンランドへ赴任。 外務省文化事業部第三課長、同第二課長の後イラン特命全権大使。
昭和21年4月、森田豊寿の衆議院議員選挙の応援演説中に倒れ急逝。享年50歳。


日本の文学書を「たんぽぽ文庫」と称して赴任先の海外の図書館に寄贈。 妻は後藤新平の孫。 エスペラント語にも堪能、音楽にも詳しくエッチングやペン画もたしなむ大変な教養人だった。

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市河彦太郎のフィンランド公使はスゥエーデン大使館の出先のような存在で、フィンランド在住の日本人は、市河夫妻以外はほとんどいない状態だったらしい。
この「文化と外交」にはシベリウスと初めて会った時のエピソードが書かれている。


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今日聴いた音楽はバッハの「ゴールドベルク変奏曲」
ピヒト・アクセンフェルトのハープシコードによるエラート原盤の国内盤LP.

アニー・フィッシャーにも似た端正にして格調の高いバッハ。
多彩な音色で楽しませてくれる名演だ。

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2014年11月17日 (月)

森銑三「伝記文学 初雁 」

新たな週は曇り空。
今週はいろいろと難題が待ち受けていて自分の気分も曇り空。
昨日夜から部屋に暖房を入れている。

最近娘は友人とバンドを結成。
何故か家内もメンバーに加わり、昨日は朝から練習に出かけて行った。

自分は家に残り、部屋の片づけやら物置に放置していた古い自転車を直しているうちに、あっという間に正午過ぎ。
休日は時間が経つのが早いもの。

書棚から処分する本を抜き出しているうちに、「伝記文学 初雁 」森銑三著が目に入った。購入したのは1990年。20年以上前に買ったまま読まずに放置していた本。

文庫本としては高価な講談社学術文庫で、当時何故この本を買ったのかも記憶にない。 パラパラとめくっているうちにもう夢中。

文庫本の説明には


「堀部安兵衛、渡辺崋山、南方熊楠ら著名の人物から、名もない武家娘や流刑の咎人まで。読む人たれの心にも、懐しさが沁み入るように満ちてきて感銘が深い。 どの一編も拠るべき確実な史料にのみ基いて叙述されており、世に名高き森史学の人物研究中、白眉の名編である。」


とある。

江戸時代の、あまり知られていない断片的な歴史的史料を発掘して紹介したもの。

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無名の江戸の庶民や市井の人々の姿が生き生きと見事に現代に蘇っている名品だ。


島流しとなった流人の体験譚や、川路 聖謨の日記に書かれた四歳になる家来の娘のエピソードなど、読んでいて思わず癒される。


赤穂浪士の討ち入りの前日に秋田から上京し、たまたま泉岳寺に逗留していた19歳の若い僧の見た、討ち入り直後の義士たちや大石内蔵助の様子など、あたかも数日前に起こったかのような生々しくも一流のレポートになっている。


14歳の時に、乞食をしながら江戸から伊勢まで旅をした勝海舟の父、勝小吉の放浪譚は、勝小吉の著名な自叙伝「夢酔独言」にだぶる部分もあるけれど、コンパクトにまとめられて読みやすい。


全編、江戸の人々たちが貧しい中でも心を通わせながら互いに助け合い精いっぱい生きている様子が見事に伝わっている。

今の日本人が失ってしまったものはあまりにも大きい。


今年生誕百年のハンガリーの女流ピアニスト、アニー・フィッシャーの弾くモーツァルトを聴いていた。
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曲はピアノ協奏曲第24番と27番の2曲。1966年録音。
伴奏はエフレム・クルツ指揮のニューフィルハーモニア管による英EMIのCD。

一点の曇りのない蒼い空を仰ぎ見るような爽やかさと、格調の高さを兼ね備えたフィッシャーのピアノ。
張りつめた緊張感とドラマティックさの中に、悲劇的な美しさの感じられるクルツの伴奏が非常に良く、24番序奏部分のヴァイオリンなど息を呑むような素晴らしさだ。

24番のカデンツァは初めて聴くもの。 フィッシャーのオリジナルなんだろうか?
Youtubeはアニー・フィッシャーの弾くベートーヴェンの3番のコンチェルト。来日時の演奏。

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2014年10月14日 (火)

源田の剣

2週連続の上陸となった大型台風は、本日未明に通り過ぎて行った。

我が家付近の風雨は予想されたほどでなく、18号の時のように近くの道路が水没することもなく、朝は爽やかな蒼い空が広がっていた。富士山も良く見えた。



 
「源田の剣~米軍から見た紫電改戦闘機隊」(高木晃治、ヘンリー境田共著 双葉社) 増補改訂版読了。 
   
太平洋戦争末期に新鋭戦闘機「紫電改」で編成された343海軍航空隊の戦闘の模様を、米軍に残る記録や、存命の米軍パイロットからの証言を中心に、日本側の記録や証言と照合しながら詳細な戦闘の模様を浮かび上がらせた、凡百の戦記ものとは一線を画す画期的な書。  
 
今年出た増補版は2003年に出版された同著の増補改訂版で、その後判明した誤りや事実が反映され、図版や巻末資料も増えている。
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戦没したアメリカ側、日本側双方のパイロット一人ひとりの戦闘の模様と最期の様子を、可能な限り発掘しているのが驚きだ。
 
坂井三郎と並ぶ撃墜王、武藤金義や、人格と技量が卓越し誰からも慕われていた飛行隊長鴛淵孝大尉の最期の様子が、アメリカ側の資料と証言によって初めて明らかになっている。
 
本書を基にして、今年NHKが「撃墜、3人のパイロット」というドラマを製作している。 
 
太平洋戦争末期の昭和20年1月に松山で編成された343航空隊は、当時生き残りのベテラン搭乗員を集め、新鋭戦闘機「紫電改」を揃えた日本最強の戦闘機隊と言われている。
 
特に昭和20年3月19日に呉空襲のために来襲した数百機の米軍機を迎え撃った空中戦では、日本機の損害15機に対して、50機以上もの米軍戦闘機を撃墜したとされていた。
ところが、実際の米軍側の記録では、この日空中戦で撃墜された米軍戦闘機は僅かに14機。
その中の4機は母艦まで辿りつき8名のパイロットは救出されていたという。
 
アメリカ側の記録から、その後終戦までのおよそ30回の343空がかかわった空戦のうち、撃墜数で米軍を上回った戦いは僅か1回という厳しい現実が明らかになっている。 
しかもP47サンダーボルトやP51ムスタングなどの高性能戦闘機を投入してきた7月以降は、「紫電改」でも歯が立たずパイロットの質の低下もあり、ほとんどワンサイドゲームになっているのが読んでいて辛い。
 
だが読んでいて浮き彫りにされていくのは、日本のパイロットの技量が決して劣っているのではなく、アメリカとの圧倒的な国力差。
 
打たれ強いアメリカ機に比べ、当たれば簡単に火を吹く日本機の脆さ、機銃の故障や機銃弾の不良で翼が爆発してしまったりと、あたらベテランパイロットたちが本来の力が発揮できないまま次々と未帰還となっていく。
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ここでは日米パイロットたちの人柄もできるかぎり紹介されていた。

読んでいて感じられるのは、著者の若くして逝った戦士たちへの深い愛情。


多くの若く有能な人材を無為に失ったあの戦争は一体何だったのだろうか。


沼響の聴きくらべコラム「巨人を聴く」に、スタインバーグ指揮ピッツバーグ響のスタジオ録音の感想をアップしました。

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2014年6月 7日 (土)

バイオリニストは目が赤い

今日も雨、週初めの夏の様な暑さが信じられないほど気温が下がり、しまいかけた長袖の上着で過ごした休日。

家内は昨日から下の娘の様子見に横浜に行っている。
横浜も一日雨で、娘の部屋の片づけで一日過ごしたとのこと。

こんな日は引きこもりがちだが、最寄のブックオフに行き、文庫本コーナーで見つけたN響のヴァイオリン奏者だった鶴我裕子さんの「バイオリニストは目が赤い」(新潮文庫)を購入。

41g251n2shl_sl500_aa300_ 音楽関係の本も雑誌も、最近は買ってなかったが、久しぶりに面白く、一日で全部読み終えた。

文章のうまさもさることながら、N響に客演した名匠たちのエピソードや団員たちの本音が実に面白い。

さらには弦楽器奏者のプロの眼から見た巨匠のテクニックを、さりげなく紹介するところなど眼からウロコ。

かのハイフェッツが弾く「スケルツォ・タランテラ」のレコードを回転を遅くして再生したら、あの速いパッセージのひとつひとつの音にヴィヴラートがかかっていたという話には仰天しました。

この中で、非常に印象深い教えられた一節。

「完璧だけど、人間味がない」と言ってけなされる双璧は、ハイフェッツとフィッシャー=ディースカウであろう。
あなたもそう思いますか?では訊くが、彼らの演奏を「聴く能力」を、あなたはもっているだろうか?
・・・・・・・・・・・中略・・・・・

私がバイオリンを続けていてよかった、と思うのは、自分よりもうまい人たちの演奏を、すみずみまで、具体的に味わえるからである。
その曲を、自分で追及してみた者にしかわからない、こまかい、しかし偉大な仕事の数々が、一枚のレコードにはぎっしり詰まっているのだ
・・・・・後略

頭をガーンと殴られたような衝撃。
プロの音楽家の方々の仕事に対して、ノンキに聴き比べなどを書いている自分が恥ずかしくなってきた。私はまだまだ未熟です。

今日はリヒテルの弾くブラームスのピアノ協奏曲第2番を聴いていた。
伴奏はラインスドルフ指揮のシカゴ交響楽団。 手元に有るのは新星堂が出していたCDで、1960年のRCAへの録音。

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録音当時シカゴ響の音楽監督だったフリッツ・ライナーとリヒテルの意見が合わず、代わりにボストン響の音楽監督だったラインスドルフが起用されたという曰くつきの録音。

第3楽章のチェロソロは、直前まで首席だったシュタルケルではなく、16歳でNBC響に入団したロベルト・ラマルキーナだが、このソロが品格があって非常に良い。

リヒテルの鋼鉄のようなタッチとテクニックのキレは相変わらずのすごさだが、ラインスドルフの職人技に徹したバックも見事。

鶴我さんの著書を読んだ後だけに、さりげなく凄いことをやっているラインスドルフの実力をあらためて見直しました。


Youtubeはそのリヒテルのブラームス、ピアノ協奏曲第2番の録音風景

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2014年5月 9日 (金)

朗読  高野聖

連休交じりの変則的な週は密度が濃く、実働3日にして一週間フル稼働の感覚。
仕事を終え帰りに図書館に寄り旧知の図書館長さんと話し込み帰宅は8時近く。

通勤の車中で聴いている「朗読近代日本文学大系」CDから泉鏡花の「高野聖」。
朗読は佐藤慶。

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この名作に接するのは初めてだが、幻想的な語り口と描写のリアルさに惹きつけられた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・

旅の老僧が汽車の中で知り合った若者と同宿し、寝付けない若者に布団の中から語りかける若き日の不思議な体験談。

飛騨から信州へ抜ける荒れた山道に次々に現れる蛇。道を塞ぐかのように横たわっている蛇の前に観念して念仏を唱えると。ゴウという風とともに叢に消えていく蛇。
道は風の向こうに見えた深い森に続く。
その中に分け入ると昼なお暗い木立の頭上から次々から振ってくる大量の山蛭。

4041010020092 蛇と山蛭の描写がぞっとするほどのリアルさだ。
日が暮れて途方に暮れて若き僧侶が見つけた一軒家はとんでもない家だった。

その一軒家に住む妖艶な女性と白痴の主人。
ほとんど会話も成り立たないような主人が突然歌いだす木曽節の見事な歌に、若い僧は感動してポロポロ涙を流す。

その場面で朗読に被り正調の木曽節が流れてくるところなど実に効果的。

耽美的でミステリアスな泉鏡花の世界を見事に描き出した朗読だ。

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2014年5月 2日 (金)

朗読 日本文学大系

5月に入りクールビズ。爽やかな風に良い天気、明日からの4連休を控えて職場内はなんとなくウキウキした気分が漂っていた。

ところが昼前に突然冷水を浴びせかけられるようなトラブル発生。好事魔多し。

 昨日は前の部門の歓送迎会だった。

場所は現所属の歓迎会と同じホテルの宴会場で4月以来この会場の宴会は3回目。

いろいろ参加者の日程の調整しているうちに5月になってしまったとのこと。幹事さんご苦労さまです。

 仕事が長引き、会場到着は宴会開始予定時刻の数分後。

事前に遅れる可能性を幹事に伝えておいたのだが、自分の到着まで待っていてくれた。

申し訳なさと気恥ずかしい気持ちで、一同の視線を感じながら空いているテーブルに着く。お決まりの挨拶の後は今まで一緒に仕事をしてきた勝手知ったる仲間達。

すぐに席次はバラケ無礼講。二次会は出ずにそのまま健全に帰宅。

 このところ通勤の行き帰りに平凡社の「朗読日本文学大系 近代文学編」を聞いている。

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全10巻CD50枚組。1巻あたり4枚の朗読CDにプラス紅野敏郎氏の解説CD1枚付き。

 昨年ブックオフで未開封1巻あたり500円で購入したもの。

 第1巻「森鴎外、幸田露伴」に始まり、第10巻「太宰治」に終わる17人の30作品を仲代達也、日下武史、江守徹ら名優たちが朗読している。

全て著名な名作ばかりで既読のものもあり未読のものもあり。なじみの名作も名優の朗読で聞くとまた趣が変わってくる。

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 最初はわかりやすい芥川、井伏鱒二あたりから聞きはじめて、太宰、夏目漱石を経て今は初期の鴎外、露伴に樋口一葉といったところ。

 文言一致以前の露伴、一葉あたりは、活字を目にしないと言葉の意味が判然としない恐れもあり敬遠していた。

鴎外の馴染みの「舞姫」はさほど苦にはならなかったものの、露伴の「五重塔」は最初の部分に予想通りの苦戦。

amazon kindleから無料ダウンロードして文字を確認したりしていた。

 だが聞き進んでいくうちにしだいに苦にならなくなってきた。

 樋口一葉の「たけくらべ」も今ではほとんど使われない言葉の連続。

活字を見て初めて意味がわかる言葉が多いものの、美しい日本語と流れるような見事な朗読でさながら名曲を聴くような趣。

朗読は幸田弘子。

 

 

 

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