カテゴリー「音盤視聴記録」の記事

2025年7月 8日 (火)

アントニン・キューネルと武蔵野音楽大学ウィンドアンサンブル

今日の沼津の最高気温は33℃、北海道でも35℃越えの猛暑日。

今日、懐かしい人に会った。

子供の小学校時代に一緒にPTAの役員をやっていた方.

 

我が家に近い場所にクリニックを営む歯科医師で、老母がだいぶお世話になっていた。
ところが5月の末に突然クリニックを閉じてしまい体調でも崩したのかなどと、なんとなく気になっていた。

聞くと辞めた理由は病気などではなく、以前から60を過ぎたあたりから辞めるつもりだったとのこと。

 

しばらくして同じ職場のOBに久しぶりに会った。

同じ部署になったことはないけれど、いくつかのプロジェクトでご一緒した先輩。
今や悠々自適の様子。 少しやせたかな?

どうやら今日は古い知り合いに会う日らしい。

 

今日は吹奏楽。
CBSソニーから出ていたLPで「武蔵野音楽大学ウィンドアンサンブル79」というアルバム。


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・異教徒イベリア人の讃歌と舞曲   :C.サリナック
・アルメニアン・ダンス パート1  
・アルメニアン・ダンス パート2  :以上A.リード
・吹奏楽のための序曲op.24     :メンデルスゾーン)

   アントニン・キューネル(指揮)
   武蔵野音楽大学ウィンドアンサンブル 

 

指揮のキューネルは恐ろしく耳の良い人で、練習の時にタムタムの音程についてかなり厳しい要求を出したということを、直接教わった人に聞いたことがある。

タムタムの音程などコントロールができるのだろうか・・・

 

この録音は1979年当時の在学生によるアンサンブル。

入間キャンパスの1-2年生と江古田キャンパスの3-4年生による二つの団体の演奏が収録されている。

メンデルスゾーンの曲は15歳の時の作品。

オリジナルは11人編成の管楽合奏のために作曲された。
ここでは現代の編成による編曲版を使用。

 

サリナック(スリナッハ)はスペインの作曲家。
アルベニスのピアノ曲、「イベリア」の管弦楽編曲が一番有名かもしれない。

「異教徒イベリア人の讃歌と舞曲」はかなり特異な楽器編成。

リヒャルト・シュトラウスの管楽器のためのセレナードやストラヴィンスキーの詩編交響曲のオケ部分に共通するような音楽性の高いクラシカルな作品。

 

アルフレッド・リードの2曲は有名な曲。

中でもパート1はこの分野での古典作品としてよく演奏されている。

 

この中では強烈なリズムが支配するバーバリスティックなサリナックの作品に一番感銘を受けた。
演奏も見事。

他の3曲と異なる緊張感に満ちた演奏も良い。

 

「アルメニアン・ダンス パート1」は入間キャンパスの1-2年生徒による演奏。
演奏での出来は3-4年の演奏とは格段の差があった。

メンバー表を見ていたら全日本吹奏楽コンクール全国大会へ延べ32回出場、21回金賞の吹奏楽界のレジェンド、佐藤正人氏の名前を見つけた。

 

Youtubeはサリナックの「シンフォニア・フラメンカ」

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2025年7月 2日 (水)

小菅優の「ファンタジー」

晴れのちくもり、一時雨。

今日から7月、蝉の鳴く声を今年初めて聞いた。

東日本の梅雨が明けぬまま本格的な夏に突入か。

諸物価値上がりの夏。


小さな畑があるので、自宅で消費する分の野菜類はできるだけ作るようにしている。


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ナスにピーマン、モロヘイヤ、片手間の素人百姓でその年によって出来不出来が大きいけれど、今年の夏野菜は順調。

昨年不作だったトマトと胡瓜がたくさん取れている。

 

小菅優のピアノを聴く。


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01幻想曲ハ短調BWV919 (J.S.バッハ)
02幻想曲イ短調BWV922 (J.S.バッハ)
03幻想曲ニ短調K.397 (モーツァルト)
04幻想曲ハ長調Hob.17-4 (ハイドン)
05幻想曲ト短調op.77 (ベートーヴェン)
06幻想曲ハ長調D.605A (グラーツの幻想曲) (シューベルト)
07幻想曲ヘ短調op.49 (ショパン)
08幻想的小品第1番ト短調 (ラフマニノフ)
09フーガ ニ短調 (ラフマニノフ)
10ベティカ幻想曲 (アンダルシア幻想曲) (ファリャ

小菅優(ピアノ)

  録音 2006年 4月

 

「ファンタジー」と題されたアルバムで、バッハからファリャまでの「幻想曲」を集めたアルバム。

2007年にはこの曲目とほぼ同じ内容で国内のリサイタルを開いている。

 

ブレンデルと同じバッハの曲が全く別の曲の様に聞こえてくる。

モーツァルトのK.397はグルダの演奏を聴いて好きになった曲。

ブレンデルやグルダで聞かれる深い陰影のようなものは希薄だが、暴れ馬のような若々しいエネルギーに満ちた演奏の数々がよい。

 

後半のラフマニノフとファリャが特に秀逸。

 

Youtubeは小菅優のアルバム「小菅 優/Four Elements Vol.2: Fire」からストラヴィンスキ-、チャイコフスキー、ファリャなど

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2025年6月30日 (月)

スピヴァコフスキーのチャイコフスキー

猛暑続きの6月も終わり。

米の値段は備蓄米放出にもかかわらず高値のまま。

短い梅雨による水不足が今年の米作に影響を与えなければよいのだが。

 

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先日法事のあとに佐野美術館庭園内で見かけたアオサギ。


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近くに寄ってもしばし不動の姿

 

スピヴァコフスキーのチャイコフスキー


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・ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35    :チャイコフスキー
・メロディ          Op.42-3   :チャイコフスキー

 トッシー・スピヴァコフスキー(ヴァイオリン)
 ワルター・ゲール(指揮)
 ロンドン交響楽団

 

オリジナルは米EVERESTのステレオ録音。

CDでは有名なシベリウスのヴァイオリン協奏曲とのカップリングで現役。
手持ちは英World Record ClubのLPでモノラル。

 

ウクライナのオデッサ生まれのスピヴァコフスキーは、18歳の時にフルトヴェングラーに見出されベルリンフィルのコンサートマスター。

ユダヤ系のため渡米、アメリカではクリーヴランド管のコンサートマスターの後ソリストとして活動。米EVERESTなどのマイナーレーベルにいくつかの録音がある。

 

このチャイコフスキーもシベリウスの録音に劣らぬ名演。

多少古めかしいロマンティックな歌い回しもあるけれど、冴えたテクニックで毅然とした格調の高さが感じられる演奏。

 

レコードジャケットにはカップリングされている「メロディ Op42-3」の表記はない。

華やかな第3楽章が終わり、針をあげようとしたら暖かなメロディが流れてきてびっくり。

こちらも優しく語りかけるようでコンチェルトに劣らぬ演奏だ。

 

Youtubeはスピヴァコフスキーのバッハ、無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番

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2025年6月29日 (日)

ランパル、ORIONへのバッハ

酷暑続き西日本はいつのまにかの梅雨明け。

いろいろあってブログの更新進まず。

 

木曜夜は年に一度のオケの定時総会だった。

事業報告と会計報告に加え、役員改選と次年度の予定など。

沼響40数年の歩みの中で、創立当初からのメンバーは自分ひとりのみ。

手探り状態だった草創期の頃は、運営の大部分を一部の団員が切り盛りをしていた。
幾星霜を経て今は組織として役割分担がきちんと出来ている。

活発な意見が出る中で議事は滞りなく進む。

自分は後援組織である友の会の担当がここで終わりとなり、次のメンバーへ引き継ぎ。

 

昨日土曜は先月92歳で逝った岳父の四十九日の法事。

午後から三島の妙行寺にて。この日は故人の誕生日だった。

孫たち(故人にはひまご)も集まり、悲愴な雰囲気もなく和やかな法事。


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妙行寺本堂内には孫文の書が飾ってある。

石橋湛山首相とともに日中国交正常化に力を注いだ妙行寺の先々代のご住職が、孫文の奥様から直接いただいたものだという。

 

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本堂の前には1対の巨大な石獅子像。


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これは中国政府から送られたもので、3対作られたもののひとつ。

他のひとつは現在北京の天安門の前に鎮座している有名なもの。

法事のあとは佐野美術館内の「松籟」で見事な庭園を見ながらの会食。

ここでは3人の孫たちが走り回って大暴れ。

引き続き夜は婿たちとの酒宴。

 

ランパルとケネス・ギルバートのバッハを聴いた。

カナダORIONから出ていたLP。


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・管弦楽組曲第2番 ロ短調 BWV.1067
 ジャン・ピエール・ランパル(フルートと指揮)
 パリ・フェスティバル・ストリングス

・協奏曲 ニ短調 BWV.974 (アルビノーニの原曲による)
・イタリア協奏曲 
 ケネス・ギルバート(チェンバロ)

      初出 1972年

1枚のアルバムに弦楽オケとチェンバロ独奏曲を配した珍な一枚。

ORIONレーベルは米EVERESTの役員だったGiveon Cornfieldが1968年に設立。

バロック音楽を中心にレパートリーを広げていたが商売としてはふるわず、CDの登場とともに1988年に会社をたたんでいる。

チェンバロのケネス・ギルバートとクラリネットのリチャード・ストルツマンがメジャーレーベルへ巣立っている。

 

古楽器奏者として名高いギルバートだがこの録音ではモダンチェンバロを使用している。
バリバリと豪快に弾き切ったバッハ。

 

一方の組曲はランパルの吹き振り。

ランパルの同曲にはいくつかの録音があり、手元にはこの録音のほかミュンヒンガーやヤニグロのものもある。

この演奏は鮮やかなテクニックの中にも哀愁漂うロマンティックなティストがなんとも素敵で、手持ちのランパルの3種類の録音では最も好きな1枚。

 

Youtubeはランパルの吹くバッハ、組曲第2番からポロネーズとバディヌリ

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2025年6月24日 (火)

ベームとベルリンフィルのモーツァルトの交響曲全曲録音のことなど

曇り時々雨。再び梅雨の曇り空。

湿度が高く、朝に立ち寄ったコンビニの玄関正面ガラスが水滴で白く曇っていた。

 

先月から通勤の車中でベームのモーツァルトを聴いている。

ベルリンフィルを指揮した独逸グラモフォンに残した交響曲全集録音。

 

独グラモフォンのBOXセットCD10枚組で、番号無しの交響曲を含む全47曲を収録。


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これを8歳の時の交響曲第1番 K.16から順番に聴いている。

今はようやく第39番から41番までの最終10枚目。

 

初期の作品は、編成も規模も小型ながらいずれも若き日の天才作曲家の息吹が感じられる佳曲ばかり。

第1番第2楽章のドレファミの旋律が、最後の交響曲第41番「ジュピター」フィナーレに堂々たる威容で現われるのは有名な話。

 

10番台までの曲は、同時代の作曲家たちの影響が色濃く出ていて、演奏旅行の度に数多くの作曲家の技術とその地のスタイルを吸収しつつ成長していったのを実感する。


なかでも15歳の時に作曲した第12番には、それ以前の作品と一線を画す進歩が如実に感じられる。

それまでの曲では第1楽章の小節数が100小節に満たないものが多かったのが、第12番は157小節。

 

以後150小節を超える曲が続き、第20番を過ぎるあたりからもうお馴染みのモーツァルトの交響曲の世界。

 

次の飛躍は第25番と第31番「パリ」あたりで、第25番になるとさらにランクアップして第1楽章の小節数は200小節を超え、第33番に至っては370小節。


自然と演奏時間も長くなり音楽の充実度も格段に上がっていく。

 

第33番を聴いているうちに、実演で聴いたカルロス・クライバーの軽やかにしてデモーニッシュな指揮ぶりを思い出した。

 

ベームの演奏は最初期の交響曲から無骨なほど誠実に仕上げていて、それでいて重くもならず50曲近い交響曲全てが高水準なのが驚異的。

録音は1959年から1968年までのものだが、古楽器演奏隆盛の今でも古さは感じられない。

 

Youtubeはベーム指揮ウィーンフィルの「ハフナー」

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2025年6月22日 (日)

クリストバル・デ・モラーレスのモテトゥスのことなど

連日の夏日に高温多湿で元気なのは雑草ばかり。

昨日は畑の草取りにオクラとモロヘイヤの定植。


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遅い昼食は自宅近くの「小松屋五代 ひものや」のランチ。

この店は昨年オープンしたばかり。

気にはなっていたものの、沼津ではさほど珍しくない干物専門店ということで、すぐに足を運ぶことがなかった。

屋外にはテラス席、店に入ると10席ほどのカウンターのみ。

庶民的な干物のイメージとは異なるお洒落なカフェバーといった雰囲気。

 

天気が良ければカウンター席の真正面から富士山が見えるようになっていた。
ランチメニューは1800円と2500円の二つのコース。

それぞれ前菜と茶碗蒸し、メインは焼いた干物でデザート付きのシンプルなもの。
1800円のコースをセレクト。

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干物は鰺または鯖で塩焼きと醤油焼きを選ぶことができる。

2500円だと選択肢にキンメダイなどが入り刺し身も付く。

食材は干物のみならず地元産にこだわったもの。

茶碗蒸しは具はなしでかなりダシにこだわった味。
赤だしのみそ汁も具は小葱のみ。


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かなり凝っていて良く考えられたメニュー。
一品一品が丁寧に手をかけてあってなかなか旨い。

鯖の醤油干しは天野醤油と砂糖、純米酒のみで味付けしたもの。

 

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ふっくらと焼き上げてあって家で食べるのとは全然違う味だった。

ご飯は御殿場産コシヒカリのご飯とみそ汁はおかわり自由。

デザートはプリンとゼリー。


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珈琲は抹茶茶碗でいただくユニークなもの。
沼津の名店チャトラコーヒーによるこの店のための独自のブレンドだそう。

 

若い店主の接客もよくて繁盛しそうな予感。

 

 

16世紀ルネサンス期のスペインの作曲家クリストバル・デ・モラーレス(Cristóbal de Morales 1500?~1558)の宗教作品から。

 

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・マニフィカト
・モテトゥス「よりよき生活のうちに」
・モテトゥス「キリストのしもべアンドレア」
・モテトゥス「すべての国々よ、主に向かいて歓呼せよ」
・モテトゥス「ヤコブは嘆きぬ」
・モテトゥス「羊飼いたちよ、語れ」

 ブルーノ・ターナー指揮
 プロ・カンツィオーネ・アンティカ(PCA)

 

手持ちはルネサンス期の作品の多くの録音を残しているプロ・カンツィオーネ・アンティカによるアルヒ-ヴの国内盤LP.
ブルーノ・ターナーはPCAを指揮して60年代後半から90年代にかけて、中世・ルネサンス期の重要な作曲家たちの名曲の録音を数多く残している。特にスペインのルネッサンス期の作曲家の紹介に力を入れていた。

このアルバムは70年代に出た「The Flowering of Renaissance Choral Music」LP6枚セットに含まれたもの。CDでは7枚組で出ていた。

 

モラーレスはセヴィーリャ生まれ、スペイン最初の大作曲家とされる。

ここで紹介されている作品は、いずれも染み入るような静けさに満ちた作品の数々。

 

演奏も素晴らしく、モテトゥス「羊飼いたちよ、語れ」の四重唱の美しさには心洗われる思い。

 

Youtubeはモラーレスのモテトゥス「主よ、私を憐れみたまえ」、ソプラノサクソフォンのオブリガード付き

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2025年6月18日 (水)

ブレンデルのバッハ

連日の猛暑。火曜は静岡市で37度を超えた。

早くも梅雨明けかな・・・


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朝の散歩で見かけた黄色い百合。

そして鮮やかな紫のアジサイ。


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名ピアニストのアルフレッド・ブレンデルの訃報が入ってきた、94歳。

ちょうど前日のブログに、ベートーヴェンのピアノ曲全集について取り上げたばかり。

 

ブレンデルは若い頃から比較的録音が多く、曲によっては何度も再録音をしていた。

 

早い時期の録音はアメリカのマイナーレーベルのVOXへの録音が中心で、国内盤では千円盤の廉価盤でいくつか出たりした。

そのためだろうか、ブレンデルがいわゆる巨匠扱いされ始めたのは70年代末あたりだったと思う。

 

高度な技巧をさりげなく示しながらも、虚飾を排し淡々と曲の本質に迫っていくスタイルは若い頃から晩年まで一貫していた。

 

今日はブレンデルのバッハ。


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・イタリア協奏曲 BWV.971
・主イエス・キリストよ、われ汝に呼ばわる BWV.639
・前奏曲(幻想曲)イ短調 BWV.922
・半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV.903
・来たれ、異教徒の救い主よ BWV.659
・幻想曲とフーガ BWV.904
 
  アルフレート・ブレンデル(ピアノ)

  録音:1976年5月 ロンドン
 
フィリップスへのアナログ録音。

自分はCDで初めて聴いた。

手持ちはCD初期に発売されたCDで、購入記録では1985年11月27日3200円で購入とある。

その頃のCDは高かった。

音盤購入が中古LPが中心の中で、レギュラー価格のCDを発売と同時に買うのは異例のこと。

これは今でも続けている文化センターでのクラシックレコードコンサートで、バッハの鍵盤音楽を紹介するために購入したのを思い出した。

確かFMで聴いて、録音も良いし演奏が良かったのでセレクトしたのだと思う。

 

ブレンデルのバッハは珍しく、まとまったアルバムとしてはこのアルバムが唯一のもの。

 

「イタリア協奏曲」に始まり「幻想曲」と名のつくクロマティックな3曲の間に静かなブゾーニ編のコラールを配した、チェンバロ曲をピアノで演奏するにあたって、入念な考えが感じられる選曲と配列。

 

16歳の頃、名ピアニストエドウィン・フィッシャーに師事したブレンデル。

フィッシャーは平均律クラヴィアー曲集全曲をはじめてとして、バッハの偉大な録音の数々を残している。
この師のバッハのスタイルに支配されて、ブレンデルはなかなかバッハの録音に踏み切れなかったらしい。

 

ブレンデルはデビューしたての17歳の時のリサイタルで、バッハのコラールプレリュードを取り上げるなどバッハは特別な愛着があったようだ。

 

そして満を持してのこの録音。

柔らかなピアノの音だけれども、暖かさよりも孤高の厳しさを感じさせるバッハ。

 

「幻想曲」で聴かせる鮮やかなテクニックとは裏腹に、華麗さとは対極にある端正にして幾分寂しさの漂うようなバッハ。

若い頃に聞いた時には気がつかなかったけれど、いままでの人生や周囲のことなど、いろいろなことが聴いているうちに頭に浮かんでくるような深く重い演奏だった。

 

Youtubeはブレンデルのバッハ、前奏曲(幻想曲)イ短調 BWV.922

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2025年6月 6日 (金)

オランダ王立海軍軍楽隊のアルメニアン・ダンス

本日快晴、昨日に引き続き夏日の金曜日。

長かった家の修繕もようやく先が見えてきた。

雨漏りから始まり雨樋、テラスの修繕。
エアコンの移設に風呂場の給水栓の交換(初老の水道屋さんが見たことがないほど古いものだった)

今日は網戸の張り替え職人が来た。

意外と時間がかかっていたので尋ねると、どうやら以前自分が網戸を張り替えた時に使ったゴムが小さかったようで、窓枠が歪んでしまっていたらしい。

 

そんな合間に畑作業。

数日前のこと。

畑にいたらビニールハウスの鉄筋に二羽の野鳥が停まっていた。

手を休めてしばらく様子を見ていた。

二羽は交互に囀っていて、明らかに会話をしているように見えた。

情報交換なんだろうか・・・

内容によって、首をかしげたり表情も変えているようにも見える。
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そのうち自分が観察されているような気分になってきた。

鳥は人間並みの知能を持っているのではなかろうか・・・

とも思えてきた。

 

音楽はオランダ王立音楽隊の演奏を国内盤CDで。

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・アメリカン・サリュート  :M.グールド
・ロウ・カントリーズ幻想曲 :ラインスコーテン
・アメリカン・ページェント
・讃歌           :ボス
・マンボ・ティンバル
・行進曲「海を越えた握手」 :スーザ
・アルメニアン・ダンス パート1 :リード
・ウィルヘルミナ・ファンファーレ :ラインスコーテン
・アメリカ物語
・不朽の国オランダ      :アンドリーセン

 ヤープ・J.コープス(指揮)
 オランダ王立海軍軍楽隊

同吹奏楽団の1982年アメリカ楽旅の際に製作されアルバム。

国内盤のLPは製作されずCDが国内初出

200年の歴史を誇るオランダ王立海軍軍楽隊。

かつてラインスコーテンの指揮で、團伊玖磨の祝典行進曲その他邦人作品を集めたLPがフィリップスから発売されていた。

練れたまろやかなサウンドに精度の高いアンサンブル。

格調高い解釈と相まって、未だに時々取りだすことのある名アルバム。

 

そしてこのCDはアメリカに関係した作品を中心に集めたアルバム。

期待に違わぬ素晴らしい名演揃い。

特にリードの名曲「アルメニアン・ダンス」は、この曲の代表的な名演に数えられるほどの演奏だ。

ただ独特の版を使っているようで普段聴き慣れない音が鳴っている。

同じオランダの名門オケ、コンセルトヘボウ管にも似たメロウな響きにラインスコーテン時代とは異なる、より輝かしく高度な高みにまで達した演奏の数々。

 

Youtubeはヤマハ吹奏楽団の「アルメニアン・ダンス パート1」

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2025年6月 3日 (火)

ジャン・ラングレーのミサ曲のことなど

今日は朝から雨。太平洋上にある梅雨前線が上がったり下がったり。
雨の日と晴れの日が交互にやってくる。

上空の寒気が下りてくることもあり、朝夕と日中の温度差が大きい日が続く。

 

畑のトマトが実を結び始めている。

昨年は雨にやられトマトは不作。今年は?


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フランスの盲目のオルガニストにして作曲家、ジャン・ラングレー(1907-1991)の宗教作品を聴く。
Disques Du Solsticeから出ていたLP。


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・ミサ曲「幸いなるかな女王」
・トランペットとオルガンのためのコラールから1.3,4番*
・詩編第3番

パトリック・ジラール(指揮)
聖マリー・アンソニー聖歌隊、レザレクション聖歌隊
ロジェ・デルモット金管アンサンブル
パリ・トロンボーン四重奏団
ロジェ・デルモット(トランペット)*
ピエール・コシュロー
ジョルジュ・バゾネット
ジャック・マルシャル(オルガン)*

録音 1979年12月10,11日
   1980年2月3日*
   パリ、ノートルダム大聖堂

焼け落ちる以前のパリ、ノートルダム寺院でラングレー立ち合いの下での収録。

ミサ曲の方はラングレー自身が加わったカイヤール合唱団によるエラート盤LPも架蔵済みで10年前に聴いている

同じ曲ながら印象は全く異なり、こちらの盤はずいぶん派手な曲に聞こえた。
なおカイヤール盤では女声合唱だったがこちらは少年少女合唱。

ラングレーの作品は宗教作品やオルガン曲が多いけれども、同輩のメシアンと比べるとかなり華麗にして豪快な作風。

残響豊かな広大な大聖堂に、華やかなブラスとオルガンそして合唱の響きが広がって行く。

奔放な私生活を送り、73歳にして子を儲けたラングレーの人柄を感じさせるもの。

 

Youtubeはラングレーの「フレスコバルディに捧ぐ」

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2025年6月 2日 (月)

クラシック・レコードコンサートは絵画と音楽

6月、晴れのち曇り夜から雨の月曜日。

昨日は孫の運動会で静岡のこども園。


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5時に起床、東名高速を使って1時間ほどで静岡市に到着。

前日の雨も上がり涼しい運動場には風が流れていた。

いつまでも幼いと思っていた孫が、障害物競走で逆上がりを鮮やかに決めてびっくり。
どうやら運動神経は自分に似なかったようだ。よかった。

 

金曜の夜は、隔月で開催している文化センター主催のクラシックレコードコンサートの解説だった。

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今回のテーマは「絵画と音楽」。
絵画からインスピレーションを得た音楽、そしてその逆に音楽の印象によって書かれた絵などを集めてみた。


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最初に加古隆の自作自演で「いにしえの響き~パウル・クレーの絵に寄せて」
奇しくも静岡市美術館で来月からパウル・クレー展が開催される。


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加古隆に馴染みのない方もいると思ったので、最初にNHKの「映像の世紀」のサウンドトラック「パリは燃えているか」と併せて紹介。

 

続いてラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」をラヴェルと同年生まれのピエール・モントゥーの指揮で。

この曲はベラスケスの「マルガリータ王女の肖像画にインスピレーションを得たともいわれている。


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続いてモーツァルトのピアノ協奏曲第23番。

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東山魁夷の名作「緑響く」はこの曲がヒントになったと氏自らが述べている。

白馬はピアノ、背後の深い森はオーケストラなのだそう。

 

続いて葛飾北斎の「富嶽三十六景」から有名な神奈川沖浪裏。

この絵に関係してドビュッシーとラヴェルがそれぞれ曲を書いている。

ラヴェルは組曲「鏡」から海原の小舟を、ドビュッシーは有名な「海」


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同じ絵でもラヴェルは絵の中で波に翻弄される舟に注目し、ドビュッシーは海全体をテーマとしている。

「海原の小舟」は、この曲の本邦初演を沼津でおこなった安川加寿子による演奏。

 

最後は組曲「展覧会の絵」。

最初に音大出の文化センターの女子職員にお願いをして、ピアノ版との比較のために会場にあるアップライトピアノで「プロムナード」を弾いてもらった。

取り上げたラヴェル編オーケストラバージョンの演奏は、自分が生演奏を聴いて感銘を受けたチェリビダッケによるもの。


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以上を実際に画集にある絵画を示しながらの解説してみた。

新しい試みは好評だったけれども、6冊ほどのぶ厚い画集は非常に重い。

本を運ぶだけで疲れて、しゃべり疲れて帰宅後ビールを飲んですぐに就寝。

 

Youtubeはチェリビダッケの「展覧会の絵」

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