カテゴリー「音盤視聴記録」の記事

2023年3月22日 (水)

ケンペのベートーヴェン、交響曲第1番

本日快晴、気温は上がりまるで夏のよう。

今年に入って最高気温を記録。

灯油が切れたのでGSにスタンドで車の給油のついでに購入。

2缶にするつもりだったけれど1缶にしておいた。

数日風邪で臥せって昨日久しぶりに畑に行ってみたら悲惨なことになっていた。

ここ数日の気温の上昇で爆発的に作物の成長が進み、ブロッコリーは黄色い花を盛んに咲かしてしまっている。


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良い感じに育っていた小松菜はひょろひょろ伸びてアブラナのような花を咲かせ全く別の野菜と化していた。

周りは盛大に雑草が繁茂。

たまたま落ちこぼれたダイコンの種の一粒が順調に育って、ちょうどよい具合に育っていたのはご愛敬。

 

いつものように定演のプログラム原稿を書くことになったので、いろいろと資料を集めたり聴き直したりしている。


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今回の定演の中プロはベートーヴェンの交響曲第1番。

自分は降り番なのでこの曲はほとんど吹いていない。

ブルックナーは実際に吹いているのでイメージは自然に沸いてくるけれど、ベートーヴェンはそうはいかず、手持ちの何種かを聴き始めている。

 

今日はケンペの演奏を聴いた。

ミュンヘンフィルを振った交響曲全集中の1枚。


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交響曲 第1番 ハ長調 作品21

ルドルフ・ケンペ(指揮)
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 1972年6月

 

この全集は1975年のレコードアカデミー賞を受賞している。

その頃高校生だった自分は高価な新譜はとても購入することができず、だいぶあとになってFMで聴いた。

 

ケンペはその頃から好きな指揮者だけれど、正直なところレコードアカデミー賞を取るほどの演奏なのかなぁ・・

「エロイカ」など廉価盤で出ていたベルリンフィルとの演奏の方がよほど良いと思ったことをのを今でも覚えている。

手持ちは東芝EMIの初期の頃のCD

スコアを見ながら聴いた。

 

久しぶりに聴いてみたけれど、こんな良い演奏だとは思わなかった。

記憶では質実剛健なケンペの芸風が地味な録音でなおさら目立っていたような気がしていた。

 

実際はピシリと決まった厳しさを感じさせながらオケを十分に鳴らし切った堂々たる名演。

録音もエッジの立った鋭さはないけれど、暖かさを感じさせる響きがケンペの芸風にも合っていると思う。

 

第一楽章序奏でヘ長調からハ長調へ揺れ動く音の動きも意味深く、第二楽章の落ち着いた歩みも秀逸。後のスケルツォを予見させる第三楽章メヌエットのリズムの冴え、堂々たる第四楽章など。

 

まさに真実のベートーヴェンの音楽が鳴っている。

 

Youtubeはケンペ指揮バンベルク響のブラームス、交響曲第2番

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2023年3月21日 (火)

アンドレ・ラルドロのオーボエ

お彼岸の中日。天気は下り坂。

ようやく咳も収まってきた。長かった・・・・

 

WBC準決勝は手に汗握る逆転サヨナラ勝ち。

そして大相撲三月場所は静岡県出身の翠富士が全勝で単独トップ。

彼は焼津市出身だけれど高校は沼津で弟の教え子だ。

静岡県出身の関取がここまで活躍するのは初めて観た。

 

夜テレビを付けたらテレビの人気番組「芸能人格付けチェック」をやっていた。

ゲストの中に磯村勇斗
彼は沼津生まれ沼津育ちの俳優。

なんとなく親近感を感じながら見ていたら、恒例の一流楽器を使った弦楽四重奏の聴き比べチェックが始まった。

今回は弦をそれそれ2本ずつ減らした状態の弦楽器と正常な弦楽器との聴き比べというもの。

こちらは聴いていて正解はすぐにわかったけれど、芸能人の回答者で正解はなんと一人。

 

それよりも登場したカルテットのファーストヴァイオリンの女性奏者はなんと山田香子さんだった。

彼女も沼津生まれで6年前に沼響の定演でチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲で共演している。

 

なんとなく気分の良い春分の日。

 

フランスのオーボエ奏者アンドレ・ラルドロのオーボエを聴く。

TRIOから出ていたLPで、オーストリアのレーベルAMADEOのロゴが入っているけれども原盤は米Vangurdだと思う。


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・オーボエ協奏曲 イ短調 P.42 :ヴィヴァルディ      
・オーボエ協奏曲 第2番 変ホ長調:フィッシャー
・オーボエ協奏曲 ハ長調     :ルクレール
・オーボエ協奏曲 イ長調 作品9-2 :アルビノーニ

 アンドレ・ラルドロ(オーボエ)
 ウイルフレード・ベッチャー(指揮)
 ウィーンソリステン

 録音 1960年頃

 

フランス、ドイツ、イタリアの作曲家の作品を集めている。
ルクレールの作品の原曲はヴァイオリン協奏曲。

ラルドロはジュネーヴ国際コンクール1位、ミュンヘン国際コンクール第2位(この時の1位はホリガー)の実力派。

ザルツブルク・モーツァルテウムの教授や同オケの首席、チューリッヒの放送オケの首席奏者だったことは知っていたけれど、このLPのライナーノートの解説で1961年から名指揮者フリッチャイに請われて1961年からベルリン放送交響楽団(現ベルリン・ドイツ響)の首席奏者だったことを初めて知った。

 

ラルドロはフランスの奏者とはいえ、ピーエル・ピエルロのような明るく軽いオーボエではなくて、むしろしっとり重い湿り気を帯びた音色が特色。


これがフランスのオケよりもドイツのオケに相性が良かった理由だろう。

 

このアルバムでは自分の好みもあるけれど、アルビノーニの曲に最も魅かれる。

 

Youtubeはアルビノーニのオーボエ協奏曲

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2023年3月19日 (日)

レコードコンサートのことなど

彼岸の入りの土曜は朝から一日雨。

気温は上がらず家の中で逼塞。

夕食は家内と「から好」でタルタル南蛮定食。


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風邪をひいて以来味覚がおかしくなって何を食べても塩辛く感じる。

 

金曜の夜は前日のオケの練習に引き続き二日連続の文化センター。

市民文化センター主催のクラシックレコードコンサートの解説だった。

隔月開催のこの行事も40年目。


先月は新聞記事に取り上げられてネットニュースにもなったので、東京やさいたま市からも来てくださっていた。


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今回も新しい方が増えていたけれど、あいかわらず平均年齢は高い。

 

風邪は未だ完治せず。

咳止めの薬を飲んで、のど飴持参。

ペットボトルのお茶を飲み飲みの咳をこらえながらの解説。

さすがに常連さんにはバレいて休憩時間にのど飴をいただいた。

ありがとうございます。

 

今回は「春」がテーマ。

どうもこの時期はワンパターンになりがちで昨年も同じようなプログラムになっていた。

今回はメンデルスゾーンの「無言歌集」から春の歌やチャイコフスキーの「四季」からなど、そして定番のヴィヴァルディの「四季」。


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どうも面白みに欠けるので「四季」はナイジェル・ケネディの3種あるうちの最初の録音を使用。

当時としては斬新な解釈をお話させていただいた。

初出当時非常に評判になった演奏で、売り上げ枚数でギネスブックにも登録された演奏。


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そしてメインは「春の祭典」を大音量で。

70代の方も多かったので途中で帰ってしまいそうで心配だったけれど、しっかり最後まで聞いていただけた。
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途中数名の方から質問やご意見も飛び出して、これがかなり嬉しい時間。

 

前回から始めて参加されたという富士市の方からは、ケネディのエネルギッシュな演奏に感銘をうけたとのこと。

 

 

終了時には沼響の定演をアピール。

 

何人かの方から買いましたとの声が有り。
嬉しかった。

 

「今チケット持ってますか」とも聞かれたけれど持ってくるつもりが忘れてしまった。Orz

 

Youtubeはナイジェル・ケネディのバッハ

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2023年3月14日 (火)

クリュイタンスのドビュッシー、映像

本日快晴。
3月も半ば、近所の河津櫻はすっかり散ってもう春。

東京では本日ソメイヨシノが開花

先週月曜に内科のクリニックで処方された薬を飲み切ったにもかかわらず、週が変わっても強い咳込みと体の怠さは未だ収まらない。

昨日は家の至近距離にある耳鼻咽喉科のクリニックに行ってみることにした。

3年前に花粉症の治療に行ったところ。

外は激しい雨。

花粉症の季節でもあり混んでいる。

電話予約をして院内の駐車場で待機。

待ちの合間に、風呂場のシャワーの交換用ゴムホースをホームセンターに買いに行ったりしていた。

 

診察は耳鼻咽喉科だけに鼻と喉が中心。
処方された薬は3種。

そのうち1種は内科で処方された薬と同じもの。

その他に咳がひどい時にと漢方の「五虎湯」を出してくれた。

 

結局この「五虎湯」が効いた。

 

寝る前に飲んだら途中で咳で起きることもなく朝まで熟睡。

寝る時にもつけているスマートウォッチには、睡眠時間と深い眠りと浅い眠りの睡眠分布が表示される。

いつもは睡眠時間4~5時間なのが今日は7時間。

そのうち深い眠りがトータルで2時間1分。

まだ完全復調ではないけれど、なんとなく快方の兆しが見えてきた。

 

今日もクリュイタンスを聴く。

クリュイタンスはラヴェルの録音は多いのにドビュッシーの正規録音は何故か少ない。

LP3枚分の「聖セバスチャンの殉教」という大物はあるけれど、「海」「夜想曲」といった有名曲の正規録音はない。

聴いたのは管弦楽のための「映像」。

CD64枚組からでなく最初にこの演奏を聴いた東芝EMIのLPで聴く。

購入記録を見ると1983年1月21日数寄屋橋ハンター。

購入金額は800円。

もう40年も前のことだ。

今聴いても実に良い音で聴かせてくれる。


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・管弦楽のための『映像』
 

 パリ音楽院管弦楽団
 アンドレ・クリュイタンス(指揮)

 録音時期:1963年9月11,12,14日
      :パリ、サル・ワグラム

 

パリ音楽院管独特の色気のある管楽器の響きはそのままだけれど、レコードジャケットそのものの清潔なブルーを思わせる透明で品のある演奏が良い。

 

Youtubeは指揮者無しのオーケストラ「デ・ディソナンス」のドビュッシー、「映像」からイベリア。ホルンはピストンホルン

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2023年3月12日 (日)

クリュイタンスのフォーレとラヴェル

薄曇りの日曜日。

風邪を発症して一週間経つのに回復の兆しは見えない。

咳がひどくて花粉症と連動しているかのよう。

 

育児休暇のため一か月ほど帰省していた娘と孫が昨日帰った。

家の中が急に静かになり何とも言えない喪失感。

 

クリュイタンスの記念BOX65CDからランダムに取り出して聴いている。
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最初に取り出したのはフォーレのレクイエム。

クリュイタンスの2種ある同曲の録音のうち2回目のもの。

 

・レクイエム op.48
 
 ヴィクトリア・デ・ロス・アンへレス(ソプラノ)
 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
 エリザベト・ブラッスール合唱団
 
  アンドレ・クリュイタンス(指揮)
  パリ音楽院管弦楽団
  アンリエット・ピウィグ・ロジェ(オルガン)
 
    録音:1962-2,5

 

ロス・アンヘレスにフィッシャー・ディースカウといった当時のEMIの最強コンビによる。

LPでも架蔵しているけれど演奏は良いのだけれど過度にモワモワした音が気に入らず、
クリュイタンスのフォーレではいつもモノラルの旧録音を聴いていた。

 

CDになってもさほど印象は変わらない。
二人のソロは完璧だし、合唱の多少の危うさがかえってフォーレの雰囲気を良く出していたとも思える。

 

もう一枚もクリュイタンス。


サンソン・フランソワのピアノソロでラヴェルの二つのピアノ協奏曲。

・ピアノ協奏曲ト長調  
・左の手のための協奏曲

 サンソン・フランソワ(ピアノ)
 アンドレ・クリュイタンス(指揮)
 パリ音楽院管弦楽団

こちらもこの2曲の代表的な名盤として知られるもの。
まさに熟しすぎてポタリと落ちる寸前の果実の味わい。


フランソワのもう天才的としか思えないテンポの崩し方がなんとも粋だ。

聴いているうちにフランソワの調律もおこなった調律師の瀬川宏さんの顔が浮かんできた。

 

Youtubeは、フランソワのラヴェル、ピアノ協奏曲ト短調第2楽章。クレジットにはクリュイタンス指揮と出てるけれど違いますね。
イギリスの指揮者、ジョン・プリッチャードのようです。

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2023年3月10日 (金)

ペーター・マークのモーツァルト

曇りのち晴れ。連日最高気温20度を超える暖かな日々。

先週の金曜あたりから咳がひどく喉が痛い。
熱はない。

月曜日にいきつけのクリニックで診てもらい咳止めとアレルギーの薬を処方してもらった。

ついでにコロナの検査もしていただいた。

陰性。

 

火曜日以降仕事には出ていたけれどひどくなるばかり。

木曜のオケは休んでしまって今日は仕事を休むことに。

 

実は今日東京フィルの定期演奏会に行く予定だった。

この体調ではコンサートの最中に咳き込むことになり、周りに迷惑をかけることになりかねない。

急なことで譲る人も見つからず高価なチケットを無駄にしてしまった。

 

音楽はスイスの名指揮者ペーター・マークのモーツァルト。

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手持ちは米VOX原盤日本コロンビアから出ていた廉価盤LP.3枚。

フェルメールの名画をあしらったレコードジャケット。

同じシリーズと番号だけれど再プレス盤は黒っぽい素朴な体裁に変わってしまった。

 

モーツァルトを得意としたマークには交響曲録音はDECCAにロンドン響を指揮した数曲があり、米VOXへはフィルハーモニア・フンガリカとの35番以降の後期交響曲集。


そして晩年にヴェネト管を振った後期交響曲集。

 

他には来日時の分裂前の日本フィルとの録音(リハーサル付き)や、都響とのライヴ録音が残されている。
全て架蔵済み。

 

ペーター・マークは都響とのモーツァルトで実演を聴くことができた。
曲は交響曲第38番「プラハ」とレクイエム。

ほどよくブレンドされた穏やかなオケの響きと鮮やかなリズムの処理。

デモーニッシュな凄みとは感じられなかったけれど暖かな雰囲気があって、聴いていて肩の力がふっと抜けるような心地よさを感じたことも覚えている。

 

マークはスタジオ録音と実演ではさほど変わりがなかったように思う。

聴いたのはこの中でも忘れられたかの感のあるフィルハーモア・フンガリカとの録音。

このオケとはマークはシューベルトの交響曲全集とロザムンデの音楽の録音も残している。

 

フィルハーモニア・フンガリカといえばドラティ指揮のハイドンの交響曲全集という偉業を残しているけれど、2001年に財政難のために解散している。

爽やかで颯爽とした若い頃のロンドン響の録音と、晩年のパドヴァ管との熟成した高級ワインのような録音との狭間の録音。

 

いずれの録音にも共通した聞き手を暖かな響きで幸福にさせるマークの芸風は、このVOX盤でもそのまま聴くことができる。

一昔前のフルオーケストラによる演奏。

高い次元でオケが鳴りきっている堂々たるモーツァルト。

特に弦楽器が美しく、最上の音が聴ける。

 

第39番フィナーレ冒頭の 一瞬戸惑うような動きから主部に入ると颯爽としたテンポへのギアチェンジ、そして 木管楽器が 順に加わり華やかさを増しながらの充実した終結部も見事。

この中ではロンドン響とでも名演を残している「プラハ」が最も印象に残った。

音楽が生き生きと躍動していて第一楽章主部に入る直前のヴィオラの生かし方は名人の域。

 

第40番と「ジュピター」だけ録音が鈍くマークの芸風を十分に捕えていないようだ。

この盤のみ逆相ではなかろうか。

 

Youtubeはモーツァルトのピアノ協奏曲第20番、マリア・ティーポのピアノ、ペーター・マークのピアノ

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2023年3月 5日 (日)

モラルトのワーグナー

3月最初の日曜日。

まさに三寒四温、昨日までは暖かな良い天気だったけれど今朝は冷えた。

午後からは雨。

2番目の孫の初節句で娘たちの家族が泊まりに来ている。


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里帰り中の娘と孫に加えて土曜にはその夫、もう一人の娘家族も早い時間に来てくれた。

孫のひな人形に加えて娘たちの頃の7段飾りの人形も出してみた。

フルセットで飾るのは20年ぶり。


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毎回組み立てと終わった後の収納には苦労していたけれど。
今回は婿たちが手伝ってくれた。

夜には弟夫婦も来てくれて賑やかな一日。


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この日近所の河津櫻が満開だった。

ルドルフ・モラルトのワーグナーを聴く

蘭フィリップス盤LP.


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・歌劇「タンホイザー」序曲(ドレスデン版)
・楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲
・歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
・楽劇「トリスタンとイゾルデ」第1幕前奏曲

 ルドルフ・モラルト(指揮)
 ウィーン交響楽団

 録音:1950年代 後半

モラルト一家は18世紀初頭まで遡る音楽一族。

 

ルドルフ・モラルト(1902-1958)はミュンヘン生まれ。

地方のオペラハウスを転々としながら着実にキャリアを積み上げていった典型的なドイツの指揮者。

作曲家リヒャルト・シュトラウスの甥で1940年代にウィーン国立歌劇場の首席指揮者。

50代半ばで逝ってしまっているけれど録音は比較的残されている。

ただその内容はほとんどオペラに特化していて、器楽曲ではオペラの序曲集のほかグリュミオーをソリストとしたモーツァルトのヴァイオリン協奏曲などの伴奏録音。


オケはいずれもウィーン交響楽団。

1952年のザルツブルク音楽祭では、急病に倒れたフルトヴェングラーの代役としてモーツァルトのオペラを振っている。

いわば人出が足りないピンチの時にも手際よく無難な結果を残す、職人気質の便利な指揮者といった印象。

残された録音ではワーグナーが多くて、同じウィーン交響楽団を振った「ニーベルングの指輪」全曲という大物録音がある(1949年録音)。

これはヨーロッパにおける初のリング全曲録音。

他には「パルシファル」全曲。

このワーグナーの序曲、前奏曲集はかろうじてステレオ録音に間に合った演奏。

日常のオペラハウスでの序曲の演奏といった趣だけれど、最初の「タンホイザー」序曲が、音の響きやテンポの動きがクナッパーツブッシュがミュンヘンフィルを振った有名なWESTMINSTERへの録音と非常に似ているのには驚いた。

モラルトはバイエルン国立歌劇場時代にクナッパーツブッシュのアシンタントを務めている。

 

表面をなぞっただけでは、いくら似ていてもクナッパーツブッシュのような巨大な音楽はならない。

このなかでは「さまよえるオランダ人」序曲が無難な出来。

 

Youtubeはモラルトのブラームス、ハンガリー舞曲第6番

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2023年3月 2日 (木)

ヨーゼフ・メスナーのメサイア

曇りのち晴れ、昨晩遅くから明け方にかけて激しい雨と風。

3月になった。

雨が降る毎に暖かになってきた。


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庭の白、紅、桃色の花が一本の木に咲く梅、「思いのまま」が今年も咲いている。


今年は紅と白の枝がはっきりと別れてしまった。

それぞれが混在すると美しいのだけれど・・・・.

思いのままにはいかないもの。

ヘンデルのメサイアを聴く。


REMINTON原盤のCONCERTEUMのLP3枚組

 

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・オラトリオ「メサイア」 全曲:ヘンデル

 

         (ドイツ語歌唱 モーツァルト編曲版)

  アンネリーズ・クッパー(ソプラノ)
  ロゼット・アンデイ(コントラルト)
  ロレンツ・フェーエンベルガー(テノール)
  ヨーゼフ・グラインドル(バス)

   ヨーゼフ・メスナー(指揮)
   ザルツブルクモーツァルテウム管弦楽団
   ザルツブルク大聖堂合唱団

        録音 1950年8月20日   Aula academica, Salzburg

ドイツ語による歌唱でモーツァルト編曲版。

第三部のバスのアリア、有名な「ラッパは鳴りて」ではトランペットとホルンが交互に聞こえてくる。

 

演奏はザルツブルク・モーツアルテウムのオケと合唱団。

指揮者のメスナーは始めて聴く。
ザルツブルク大聖堂のオルガニストで司祭、作曲家としてもいくつかの作品があるらしい。

聴衆の咳払いなどが古い録音の中から聞こえてくるのでライヴ録音のようだ。

ザルツブルク音楽祭でのライヴかもしれない。

 

ソリストはバスのグラインドル以外は馴染みのない人たち。

ソプラノのクッパーはバイロイトで「マイスタージンガー」のエヴァや「ローエングリン」のエルザを歌っている。


ロゼット・アンデイは第二次世界大戦前にウィーン国立歌劇場で活躍。
ロレンツ・フェーエンベルガーはドレスデンとミュンヘンの歌劇場。

そしてバイロイトの重鎮だったグラインドル。

いずれも力のある人たちなのはず。

 

演奏は遅いテンポでドロドロとした異様な雰囲気のメサイアだった。

オケも合唱もアンサンブルが甘く特に合唱はかなりヒドイ。

 

正直なところLP3枚を聴くのは苦痛だったけれど、ハレルヤが終わって第三部に入ったころから合唱にまとまりが出てきた。

これならば普通の出来。

ソロはソプラノが良い。

 

録音はモノラルライヴながらチェンバロの音などは良く聞こえてくる。

1枚目のA面が終わってB面に裏返したらいきなり第3部のソプラノのアリアが聞こえてきてびっくり。

初期のレコードによくあるオートチェンジャー対応のLPだった。

1枚目のA面のウラが6面。

 

EQはffrrで聴いた。

 

YoutubeはメサイアからGlory to God

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2023年2月28日 (火)

マルサリスとグルベローヴァ、バロックトランペットの響き、そしてトマジのトランペット協奏曲のことなど

2月も今日で終わり。

今日も晴れて春の気配。

通勤時、ビルの谷間の富士山。


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昨日オフで午前中はいきつけの内科のクリニックで定期検診。

血糖値、血圧も良い値。
先生からは「いいですね」のお墨付き。

良い気分になってその足で洋画家の叔父の個展へ。

場所は沼津駅近くのギャラリー。

今回はアイスランドでスケッチした作品が中心。

 

平日の月曜なのにつぎつぎと人が入ってくる。

叔父とは少ししか話はできなかったけれど、未知の国アイスランドの実情を聞くことができた。

アイスランドは人口40万弱で首都レイキャビク以外はほとんど人がいない。

とにかく温泉がいたるところで湧いていて本栖湖ぐらいの大きさの温泉があったなど。


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それにしても80過ぎても冒険心は相変わらず。

個人単独で初めての国アイスランドまで行ったとのこと。

風貌も60代の頃とほとんど変わってない。

叔父の作品は三島の音楽ホール、ゆうゆうホールのロビーにもある。

 

もともと抽象画が中心だったのが喜寿を境に作風が変わってきた。

年上の従兄弟も来ていて休憩室でお茶を飲みながら親戚たちと小一時間ほど近況報告。

 

音楽はジャズトランペッターのウインストン・マルサリスのクラシカルな作品を集めた2枚。ソニークラシカルのCD。

最初は20世紀の著名なトランペット協奏曲集。


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・トランペット協奏曲  :トマジ
・トランペットと弦楽、ピアノのための小協奏曲 :ジョリヴェ
・トランペット協奏曲第2番           :ジョリヴェ

 ウイスントン・マルサリス(トランペット)
 エサ=ペッカ・サロネン(指揮)
フィルハーモニア管弦楽団

                                    録音:1985年6月

明るく輝かしい音色と唖然とするようなテクニック、それでいてメカニカルな風でもなくマルサリスは一流オケのトランペット首席としても十分通用する腕前。

サロネンのバックも見事なもの。

 

そしてもう1枚は「バロック・トランペットの響き」


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・トランペット,2つのオーボエと弦のための協奏曲ニ長調  :ファッシュ
・輝けるセラフィムたちを*               :ヘンデル
・トランペットと弦楽のためのソナタ           :トレルリ
・トランペットを,吹きならせ
・シャコンヌ
・間奏曲
・トランペットの調べ
・トランペット・テューン
・トランペット序曲                   :以上パーセル
・トランペットと弦楽のためのソナタ**           :トレルリ
・神の光の永遠の泉*                   :ヘンデル
・トランペットと弦楽のための協奏曲           モルター

  ウィントン・マルサリス(tp)
  エディタ・グルベローヴァ(S)*
  チャールズ・タンネル(vc)**
  レイモンド・レッパード(指揮)
 イギリス室内管弦楽団

                  録音 1984年4月

名歌手グルベローヴァとの意表を突いた組み合わせながら、ここでもマルサリスの明るい音色と全盛期のグルベローヴァの張りのある声が見事にマッチしている。

ライナノートの黒田恭一氏の解説にもあるとおり、豪華な舞踏会に招かれたようなリッチな気分に浸れる一枚。

レッパードの指揮も手慣れたものだ。

1984年のグラミー賞受賞盤。

 

マルサリスは父や兄弟たちもジャズの音楽家、ジャズ畑とはいえジュリアード音楽院ではクラシック音楽を学びクラシック系のCDも何枚も出している。

弟のサクソフォーン奏者のブランフォード・マルサリスにもドビュッシーやサティ、ラヴェルの作品を集めた素敵なCDもあり、ラフマニノフのヴォカリーズ、ストラヴィンスキーのパストラーレなどの選曲も良くこちらもお気に入り。


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Youtubeはマルサリスとキャサリーン・バトルのヘンデル、輝けるセラフィムたち

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2023年2月25日 (土)

セルのドヴォルザーク、交響曲第8番ライヴ

曇りのち晴れ、金曜に尋ねた「テユッティ・カフェ」の近くの枝垂れ梅。


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2月も終わりに近づいて花粉症は悲惨な状態に。

自分は薬は目薬のみで飲み薬はなし。
今日のように前日雨だった日が特に酷い。

先月生まれたばかりの帰省中の孫が生活の中心になっている。

県内他市に住む別の孫家族もやってきて賑やかな週末。

 

名指揮者ジョージ・セルのドヴォルザークとシベリウスを聴く。

MEMORIESから出ているライヴCD。

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・交響曲第8番ト長調 Op.88    :ドヴォルザーク
・交響曲第4番イ短調 Op.63    :シベリウス

 ジョージ・セル(指揮)
 クリーヴランド管弦楽団
 
 録音:1966年2月16日 1月11日*
    クリーヴランド、セヴェランス・ホール(ライヴ)

 

セルのドヴォルザークの交響曲録音は第7番以降の3曲が残されている。

中でも第8番には3種のスタジオ録音がある。
どこかで読んだ気がするけれどもセルはこの第8番には特別な愛着があったらしい。

 

EMIへのスタジオ再録音は非常な名演だけれども、このライヴはその演奏をも凌ぐ。

セルの曲への憧憬がストレートに出ていて、第3楽章の絶妙なテンポの揺れや第1楽章第2楽章のクライマックスでは全てが開放されて雄大なボヘミアの大地が目の前に広がるかのよう。

輝かしいトランペットのファンファーレで始まる第4楽章も熱く燃えた感動的な出来だ。

曲の最後の音が鳴り終わらないうちに爆発するかのような盛大な拍手。

 

シベリウスの交響曲第4番の演奏の孤高の厳しさには身の引き締まるような思い。

セルのシベリウスの交響曲第4番はライヴのみしか残されていない。

 

両曲ともステレオ録音なのがありがたい。

 

Youtubeはそのセルのドヴォルザーク、交響曲第8番の1966年ライヴ。

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