カテゴリー「コンサート感想」の記事

2008年5月11日 (日)

杉山富士男メモリアルコンサート

昨日に引き続き肌寒い一日。いよいよオケの練習も佳境に入り今日も練習。午前中は大ホールにて「オベロン」序曲に参加する。

弦分奏に引き続き11時から一時間ほどの練習。軽快にしてロマンティックなウェーバーの世界。吹いていて自然と楽しくなってくる名曲だ。さほど難しくないのが良い。ウェーバーの序曲はどれも名曲なのに、オペラ全曲となると「魔弾の射手」以外はどれもつまらないのはなぜだろう?などと考えながら吹いていた。

お昼となり休憩となった。午後はベートーヴェンの練習ということで、降り番の自分は会場を後にし職場へ向かい、昨晩家で整えた書類の確認をおこなう。

午後2時からは、昨年亡くなった沼津楽友協会の事務局長杉山富士男さんのメモリアルコンサート。

コンサート会場の東急ホテルの4階に行くと、ロビーに杉山さんの遺影の前に杉山さんが実現したコンサートのパンフが並べられていた。昭和31年のハンス・カンピアノリサイタルから始まり昨年までの五十有余年の膨大なコンサートの記録の数々。

ガッゼローニ、ラトル、ヤンソンス、リヒテル、マリナーなど自分が聴いたコンサートの他に昭和30年代の藤原義江の出演する「カルメン」全曲などのオペラ公演も多い。日本のプロオケと代表的な演奏家のほとんど全て訪れているのが驚異的だ。

1975年にはなんと、ラヴェルの弟子のペルルミュテールまでも来ていた!

P1010406 今日のコンサートは、コントラバスの黒木岩寿トリオを招いてのメモリアルコンサート。会場内では丸テーブルが10ばかり並んでいる。ごく親しい人たちの内輪のコンサートのような雰囲気で、大部分は年配の方々。

曲は、ボッテシーニの2曲に、ブルッフの「コルニドライ」、ロッシーニのチェロとコントラバスのためのデユオ、そして今年から東響の首席チェロ奏者となった西谷牧人のソロでラフマニノフの「ヴォカリーズ」というもの。ピアノは江上菜々子。

着実な技巧と美しい音色でマイナーな曲も実に楽しく聴かせてくれる。シュタルケルに学んだという西谷さんのフレッシュなヴォカリーズも見事なものだ。休憩時間にトイレで偶然西谷さんと一緒になり、ちょいと話しかけたがちょっとはにかんだ雰囲気も初々しい爽やかな好青年だった。まだ若いがこれからの注目株だろう。

黒岩さんの軽妙な語りに、湿っぽくなりがちな追悼コンサートが明るく後味の良いものになった。休憩時間に出されたケーキとコーヒーも美味、実に充実した日曜日。

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2008年5月 4日 (日)

「ラ・フォルジュルネ2008」

今年もGWは「ラ・フォルジュルネ」。今回のテーマはシューベルトで、購入したチケットは、クワメ・ライアン率いるボルドーアキテーヌ管と小菅優によるウェーバーとベートーヴェンのコンサート。

連休初日の5月3日は朝から雨。午後から止むと見て傘は持参しなかったが、東京に到着しても止む気配はない。2時45分の開演まで時間があるので、雨空をうらめしく見ながら東京駅前の地下道を通り、新丸ビル地下のハンバーガーショップで軽い食事の後丸ビルへ。

ここでは関連イベントとして假屋崎省吾がシューベルトの作品にインスパイアされた作品展をやっていた。2時から本人のトークとゲストを招いてのコンサートもあるという。開場前の受付では假屋崎氏本人が準備をしている。本物目の前にした娘たちはずいぶんと興奮の様子。だが作品を軽く一巡し開場を後にする。假屋崎氏がこちらを見ているのが気になったが、2時からでは小菅優のコンサートにかぶってしまうので仕方がない。

P1010391 エスカレーターを下っていると拍手の音が聞こえてきた。1階フロアでもコンサートをやっているらしい。手持ちのパンフレットを見てもこの時間は何も書いていない。どうやら雨天のため、別会場の野外コンサートのイベントがこちらに移ったようだ。

2階のバルコニーからちょいと覗いてみた。演奏はオカリナとピアノの珍しいコンサート。ちょうど「トゥーランドット」の「誰も寝てはならぬ」をやっている。

これが非常に良い。オカリナの重音奏法も初めて聞いた。下に降りて演奏者名を見ると大沢聡という人。最後のチャルダーシュも素晴らしいテクニック。このような隠れた名手もいるのだ。思わぬ出会いに嬉しくなって外に出ると雨はあがっていた。

P1010394 そのまま東京国際フォーラムへ急ぐ。雨のために昨年ほどの人出はないだろう。・・・と思っていたが国際フォーラムの中庭はすごい人。グラーベン広場ではJR東日本交響楽団が「未完成」を演奏していた。JR東日本の社員とその家族によるアマオケだ。速いテンポの古楽系のすっきりとした演奏だった。

P1010393 隣のブースではギター、フラウト・トラベルソ、バリトンによる三重奏によるキッズプログラム。

古楽器の素朴な音色に幼い子供達が身を乗り出して聴き入っている。曲目は偶然にも先日聴いたばかりのシューベルトのメヌエットだった。

そしてホールAで、小菅優、ボルドー・アキテーヌ管によるコンサート。指揮はクワメ・ライアン、曲はウェーバーの「オイリアンテ」序曲にベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番というもの。チケットを買うのが遅れたために席は2階中ほど。真ん中とはいえ巨大なホールのためステージは遥か下方の彼方だ。ホールはほぼ満席。

最初のウェーバーでは管楽器が突出して響くのが気になった。だがライアンの抑制された棒にしだい美しくまとまってきた。初めて聞くオケだが、なめらかで美しいトーンときっちりコントロールされたアンサンブルの良いオケだ。そして小菅優のベートーヴェンもしなやかで古典的なスタイルの好演。軽くいなせなベートーヴェン。

P1010395 終了後外に出るとミュージック・キヨスクでは海老彰子と裕子によるシューベルトの連弾曲の演奏の真っ最中。これを家族で屋台で買ったクレープを食べながら鑑賞。こちらも太い音色のがっしりとした大人の演奏だ。

これでもう音楽は十分満喫したので、銀座一丁目の「ヤマハ・銀座」へ。仮店舗のためかなり狭く、楽譜売り場は人出も多く、あまりの蒸し暑さに閉口。お目当ての譜面を見つけられない家内を置いて、比較的空いているピアノフロアへ娘達と避難。

Ginza_photo その後家内の従姉妹がお店を出しているプランタン6階へ行ってみた。

いわゆる輸入雑貨のお店だが、楽しくもユニークなデザインの実用的な日用雑貨を集め、お店はなかなかの繁盛のようす。http://www.petitcoquin.net/petit/shop/index.html#ginza

3日の予定はこれにて終了。店員に少し声をかけ、家族を連れて本日の宿に向かう。

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2008年4月12日 (土)

春、旅立ちの詩~海瀬京子ピアノリサイタル

今日は海瀬京子さんのピアノリサイタル。今秋からベルリンへ留学する彼女のために「すみや」が企画したコンサートだ。仕事を終え、家内と会場の響きの良い長泉町文化センター・ベルフォーレへと急ぐ。開演19時。

P1010366 前半はハイドンのピアノソナタ第50番とベートーヴェンの「熱情ソナタ」。休憩の後、西村朗の「三つの幻影から水」、リストの「春のおもい(シューベルト原曲)」、「愛の夢第3番」、ラフマニノフの「楽興の時」から3曲、そして「ラ・ヴァルス」というもの。席は右側三列目。

最初のハイドンの冒頭が響いた瞬間、「おや?」と驚いた。この曲の演奏は伊豆の国市での「狩野川クラシックコンサート」で先月聴いている。だが、毅然とした音の輝かしさと陰影の深さで格段に良い出来だ。全く印象が違う。演奏者近くの最良の席で聴いていることもあるがピアノが実に良く鳴っている。

そして初挑戦の「熱情ソナタ」は、「運命」と同じ時期に書かれた中期の名作に全力で真正面からぶつかっていく壮絶な演奏だった。今、沼響が悪戦苦闘している交響曲第7番で、ベートーヴェンの難しさを痛感しているが。本当にベートーヴェンは奥が深い。本場ベルリンでの研鑽で、さらに磨きぬかれたベートーヴェンを今後聴くことができるだろう。

そして後半は、彼女得意の曲を並べただけに非常に聴き応えがあった。冴えた音と切れ味鋭いテクニックで絶えず様相を変える水の変化を見事に音化している西村作品の鬼気迫る妖艶な演奏。そしてロマンティックなリストへの場面転換の妙。

続くラフマニノフも余裕の名演。楽しみながら演奏している心が自然に客席まで伝わってくるのが実に良い。フルオーケストラにも引けをとらない色彩豊かで華麗な響きがホールに拡散していく最後の「ラ・ヴァルス」も圧巻。

アンコールは「亜麻色の髪の乙女」とショパンの「ノクターン第2番」。

慌しい年度始めの週末のひととき、素晴らしい音楽と演奏を十分に堪能しました。また演奏してください。

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2008年3月 9日 (日)

狩野川クラシックコンサート2008

今日は海瀬京子さん出演の狩野川クラシックコンサート2008。会場は伊豆の国市長岡のアクシスかつらぎ大ホール。

6603 春の伊豆、河津桜もピークを過ぎたようで国道136号の混雑もさほどではないが会場近くに到着するとかなりの渋滞。どうやら全てコンサート客の車のようだ。

第2駐車場周辺では、観光帰りの車も加わりすごいことになっている。交通整理のおじさん達も罵声を浴びたりと大変な様子。ようやくサンバレーの駐車場へ車を止め会場へ急ぐ。

当日券は既に完売。チケット売り場の前でチケットを買いそびれた若い母親と小学生が泣きそうな顔で立ち尽くしている。ちょうど行けなくなった母と上の娘のチケットが手元にあったので譲り渡しホールの中へ。1007席のホールは満席状態で確保したのは一階右端かなり後ろの席。

プログラム前半は、海瀬さんのトークをはさみながらハイドンのピアノソナタ第50番から始まりシューベルト・リスト編曲の「春の想い」、有名な「愛の夢第3番」そしてラフマニノフの「楽興の時」から1,2,4番。

後半は伊豆フィルの登場で歌劇「ルスランとリュドミュラ」序曲にチャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番というもの。

最初の50番のソナタは、ハイドンらしい屈託のなさの中に潜んだコケティッシュで軽妙さをうまく引き出した演奏。第2楽章では後期のハイドンらしい深い精神性も感じられる。続くリストもロマンティックで美しい音楽の流れにうまく乗った安定感のある演奏だったと思う。この流れの中にちょっとひと呼吸の崩しがあれば、より面白い演奏となったかもしれない。

前半最後のラフマニノフは、ラフマニノフらしいメランコリーとデモーニッシュさを見事に引き出したスケールの大きな名演。海瀬さんの楽興の時第4番は何度か聴いているが、今まで聴いた中で最も感銘を受けた。

そして後半のプログラムは、金丸克己指揮伊豆フィルによるグリンカに続いてチャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番。輝かしい技巧を武器にオケを挑発しながら豪快に盛り上げていく手腕は大器の貫禄十分。フィナーレ終結部の入魂の追い上げは今まで実演で聴いた超一流のピアニストたちの演奏にも引けをとらない見事な出来。

音楽への深い愛情と聴衆への感謝の気持ちが素直に聴き手に伝わり、満員の聴衆も深い感銘を受けていた。しっかりとした自己主張が感じられるのもいつもながら素晴らしいと思う。今回はさらに熱いパッションと即興性も感じられた。聴くたびに大きく成長しているのがなんとも嬉しい。

アンコールは有名なショパンの「夜想曲第2番」。曲名を失念し一緒に聴いていた隣席の下の娘に曲名を尋ねて、あきれた顔をされてしまった。どうやら疲れがまだ取れていないようだ。

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2008年2月10日 (日)

金聖響とシエナ・ウインド・オーケストラ

昨日の雨も早朝には上がり爽やかな日曜日。午後から二人の娘を引き連れ金聖響の指揮するシエナ・ウィンドオーケストラのコンサートに聴きに行った。上の娘はホルン持参。

20080210 吹奏楽は自分の学生時代から盛んだったが、今やテレビのドキュメンタリー番組も頻繁に放送されるほどになっている。

今回は市主催の「ブラスの祭典 フェスタ イン沼津」のイベントの一環としてのコンサートで、最初に地元の中高校生選抜バンドのプレコンサートがあった。曲は「オペラ座の怪人」、「アーセナル」の2曲。編成は80名ほど。指揮は地元の高校の先生。臨時編成とはいえ個々の水準は高い。シエナのメンバー数人が加わった「アーセナル」が良かった。

休憩の後、金聖響指揮のシエナ・ウィンド・オーケストラの登場。金聖響は昨年東京フィルで「展覧会の絵」その他を聴いている。生きの良いスタイリッシュな指揮ぶりが印象に残っている。

本日の曲は第一部:オリンピックファンファーレ(J.ウイリアムス)、「エル・カミール・ノアル」、「アルメニアン・ダンスパートⅡ」(リード)

第二部は今年の吹奏楽コンクールの課題曲から二曲と今年生誕100年のルロイ・アンダーソンの「タイプライター」、童謡「ハトポッポ」をモティーフとした「音楽のおもちゃ箱」。そして最後は「ローマの松」全曲というもの。

B000ewbs6y01_aa240_sclzzzzzzz_ オリンピックファンファーレはかつてイギリスの「コールドストリームガーズ」の実演に圧倒された曲だが、今日のシエナは比較的音量を押さえじっくり聴かせるタイプ。リードの2曲は同じコンビのCD同様、作曲者への熱い共感の感じられる出来。

最後のレスピーギは巧みなアレンジで、「ジャニコロの松」の色彩感、「カタコンブの松」のバスの底力、ひた押しに押してくる「アッピア街道の松」の雄大な演奏ともども弦楽器のない違和感もなく楽しめた。

最も印象に残ったのは、「ハトポッポ」をモチーフにした「音楽のおもちゃ箱」。アルメニアンダンスに始まりトゥーランドット、ドヴォルザークの交響曲第8番、ショスタコーヴィッチの交響曲第5番フィナーレ、森の歌、イン・ザ・ムード、ホルスト、エトセトラ・・・吹奏楽のオリジナルからクラシック、ジャズからポピュラーまでの名曲をかなり凝った内容で接続曲風にした、いわゆる吹奏楽版「オーケストラスイッチ」。

シエナ恒例のアンコール「星条旗よ永遠なれ」では、楽器持参の聴衆がステージ上に集まり盛大に盛り上げていた。うちの娘もホルンで参加。沼響メンバーの顔も見えました。

かなり盛り沢山なプログラムで、演奏内容によっては疲労だけが残るものになりがちな吹奏楽のコンサートだが、柔らかにブレンドされたまろやかな響きと引き締まったアンサンブルのウィンドオーケストラの魅力を堪能。やはり聴衆を幸福な気持ちにさせるプロの演奏だ。

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2007年12月23日 (日)

年末の第九、伊豆新世紀創造祭合唱団

朝まで残った昨晩からの雨は10時過ぎには上がり、良い天気となった。気温も上昇過ごしやすい休日。

20071126_405340 今日は沼響と第九で共演したこともある「伊豆新世紀創造祭合唱団」の第8回定期演奏会、第九公演。

会場の三島には比較的早くに着いたのだが、同行の家内がペットショップに入りたいと言い出し、ホール近くのペットショップでチンチラを見てたりしたためにホールに入ったのは開演10分前となってしまった。座席は大部分埋まってしまっていて、なんとか確保したのは左側最前席。目の前に見上げるようにファーストヴァイオリンが並んでいる。

プログラムの前半は信長貴富編曲による「ヴィヴァルディが見た日本の四季」。「四季」に日本の代表的な歌曲、「花」(春)、「城ケ崎の雨」(夏)、村祭り(秋)、ペチカ(冬)を挿入した編曲。「四季」と同じ規模の室内オーケストラの伴奏で歌われる。

日本歌曲とヴィヴァルディのコラボレーションは比較的うまくいっているが、ここでのヴィヴァルディはあくまでも脇役だ。今日は編曲者が会場に来ていて演奏の終了後に舞台上で紹介されていた。まだ若い気鋭の作曲家という印象。

合唱団は総勢二百数十人の大所帯。大部分は女声で男声は40人ほど。日本歌曲では良いが「第九」となるとバランスが難しかろう。

休憩の後、いよいよ「第九」が始まる。指揮は栗田博文さん、ソリストは先月明電舎ファミリーコンサートで沼響と共演したばかりのソプラノの家田紀子さん。アルトはこれまたおなじみの山下牧子さんにテノールの岡本泰寛さん、バリトンの北川辰彦さんという面々。

オケは熊川哲也バレエ団専属オケのメンバーが中心で、12型対向配置にベーレンライター版使用。ただし第4楽章のホルンの経過句はブライトコップ版の音型で吹いていた。安全策を採ったのだろうか。

オケのメンバーは非常に若い。栗田さんのキビキビとした指揮に乗り速いテンポで小気味良く演奏していく。ティンパニの強打や内声部のホルンの強奏も見事に決まっていて聴いていて気持ちが良い。ただし最前列左側に座ったために対向配置の妙味は視覚で補わざるをえない。独唱者も全然見えない。かろうじてオケのメンバーの合間からバリトンが見えるだけ。このバリトンの北川さんが張りのある声でなかなか良かった。山下さんは昨年の都響の「メサイア」以来だが、ずいぶんと貫禄が着いた。幸いホルンセクションも良く見えていたので、第三楽章での4番ホルンのソロの手際の良い分業も良く見える。

アマチュア合唱団の常として「第九」はスタミナのペース配分が難しく、心意気だけでなんとかなるものでもないが、臨時編成の合唱団と違い既に10年近いキャリアのある合唱団であるだけに大きな破綻もなく進んでいく。

第四楽章で熱き思いを込めてベートーヴェンを歌い上げていく合唱団のメンバーの表情を見ているうちに感動してきました。やはり第九は名曲です。

今日はいろいろあった今年一年のコンサート聴き収め。

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2007年12月18日 (火)

若林顕「たった一人の第九」

いよいよ大きなプロジェクト始動。新聞にも出ちまったしもう後戻りはできない。本日の説明会はまずまずの内容。

P1010318 今日は沼津楽友協会の12月例会、ピアニスト若林顕による「たった一人の第九」コンサート。沼津だと思っていた会場がチケットを良く見ると三島となっていた。このところこの手の勘違いが実に多い。

プログラムの中心はリスト編によるベートーヴェンの交響曲第9番。

てっきり一曲プロだと思っていたが、前プロに映画音楽があり、「ロメオとジュリエット」、「サウンド・オブ・ミュージック」やら5曲ほど並んでいる。おそらく地方公演のため主催者側が要請したのだろう。他の都市の公演では「第九」の前プロはシューマンの「幻想小曲集」なのに・・・・

美しいが平板な映画音楽に不覚にも寝入ってしまった。途中咳き込み、目覚めたところ隣の見知らぬおばさんがノド飴を差し出してくれた。感謝。

後半はリスト編による「第九」全曲。録音はいくつか聴いたことがあるが、実演に接するのは初めてだ。さすがに楽譜を見ながらの演奏だが、100人を超えるオケと独唱、合唱のための音楽をたった一人で果敢に挑戦していく。

しっかりとしたテクニックで豪快にして緻密に弾き切った一時間余。途中汗を拭きながらの熱演だった。アンコールはショパンの「夜想曲第20番」。澄みきった美しい音で実に丁寧に弾いてくれた名演。

P1010319 P1010320 帰宅後に家内の持っていたリスト編の「第九」の譜面を覗いてみた。家内に「これ弾けるの?」と聞いたところ「見るだけ・・・」との返事。

リストは2台のピアノのための編曲も残している。手持ちはコンティグリア兄弟によるコニサーソサエティ原盤の日本フォノグラム盤。

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2007年10月 7日 (日)

テーオバルト・ベームのグランドポロネーズ

3連休中日とはいえ来年度予算の組み立てのために本日出勤。今月半ばから連続する大きな会議のために関係機関にメールを送る。さらにISOの監査資料に目を通したりと多忙の一日。

P1010280 そんなことをしているうちに日が暮れてきた。今日は高校時代の先輩の織田茂伸さんのフルートリサイタルの日。慌てて帰り仕度をして会場の千本プラザへバイクを飛ばす。体に当たる風が冷たい。もう10月なのだ。

会場に着くとプログラム後半のシャミナードが始まっていた。ホールの扉の外でそっと聞き耳を立てると織田さんののびやかで暖かなフルートの音が聞こえてきた。
織田さんは独学でフルートを学び35年。今日は30歳の時から暖めていた念願のフルートリサイタル。会場に入ると200席のホールは一杯で立ち見も出ていた。

前半のフォーレとドビュッシーは聴き逃したが、後半聴けたのはシャミナードの小協奏曲、フォーレの「幻想曲」、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」、そしてベームの「グランドポロネーズ」。ベームの難曲は破綻もなく吹き抜けていくのはさすが。
独学とはいえ国内のコンクールの入賞歴もある織田さんの面目躍如たる演奏だ。

アンコールはゴールウェイがよく取り上げる「タンブーラン」と、作曲者の名は忘れてしまったが「ロマンス」という曲。

織田さんの飾り気のない暖かな人柄を慕って集まった人たちと織田さんのフルートに寄せる熱い思いが作り上げた手造りのアットホームな演奏会だった。また吹いてください。

P1010279 帰宅後にベームの「グランド・ポロネーズ」を聴いた。ロイヤルフィルやロンドン響で吹いていたウイリアム・ベネットの吹くOefeo盤CD。

1981年11月27日、ベネットの他ニコレ、デボスト、アドリアン、グラフェナウアーら錚々たるフルーティストたちが一同に会したベーム没後100年メモリアルコンサートのライヴ録音。
ベームの玄孫、ルードウィヒ・ベームが一文を寄せている。

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2007年10月 1日 (月)

チェコフィル八重奏団

今日から10月。午前2時過ぎに突然の大きな地震。突き上げるような激しい縦揺れに思わず飛び起きる。震源地は箱根で震度5強とのこと。
P2100764 P2100759_2 自然と今でも火山性の亜硫酸ガスを吹き上げている箱根大涌谷の光景が頭に浮かんだ。大涌谷名物の黒ゆで卵に思いは流れ朝食はゆで卵を食べた。

20071001a 職場で今月の会議の資料を整えた後、夜はチェコフィル八重奏団の演奏会に行く。
毎年ウィーンフィルやベルリンフィルのメンバーを招いている沼津法人会青年部が主催のチャリティコンサートで、今年はチェコフィル。

曲は、ベルワルドの大七重奏曲から始まり、ドヴォルザークの伝説曲第3番、スラブ舞曲から2曲と最後にシューベルトの八重奏曲というもの。

スウェーデンの作曲家ベルワルドの曲を実演で聴くのは初めてだ。弦楽器各一人にホルン、クラリネット、ファゴットの編成。
ドイツ的なロマンティックな曲想に微かに漂うローカルなティスト。ヴィヴラートたっぷりのチェコフィル独特のクラリネットソロが第2楽章で仄かな哀愁を感じさせてなかなか良い。

次のドヴォルザークはアンコールの「ユモレスク」も含め、彼らの音楽という強みを感じさせるものだが、意外とすっきり速いテンポで仕上げていた。現代風のインターナショナルなドヴォルザーク。
緊密なアンサンブルで聴かせるシューベルトも見事なものだが、後半ではさすがにホルンは疲れた様子。

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2007年9月15日 (土)

中丸三千繪ソプラノ・リサイタル

雨のち晴れ。巷は三連休だが職場にテレビ局の取材が入ることになり出勤。日テレ系全国ネットのニュース番組ということで、二時間ほどの取材とのことだったが、インタビューその他で結局午前中すべてつぶれてしまった。

P1010247 夜は沼津楽友協会秋のコンサート、中丸三千繪ソプラノ・リサイタルに行く。さすがに著名人だけあって、小ホールはほぼ満席。

曲目はヘンデルの「リナルド」から始まり、「アヴェマリア(カッチーニ)」、ドヴォルザーク、ドニゼッティ、シャルパンティエ、中田喜直と越谷達之助の歌曲をはさんで、ヴェルディ、カタラーニ、ベルリーニのオペラアリアの数々。

最初のヘンデル、カッチーニあたりは手探り状態だったのが「アンナ・ボレーナ」あたりからしだいに興に乗り始めた様子。ダイナミックレンジの広い太めの声でたっぷりと歌い上げていく。
中でも得意の「ルィーズ、その日から」は圧巻。後半の「椿姫」、「ワリー」、「ノルマ」からのおなじみのアリアも貫禄の歌唱。

ピアノは菊池真美さん。美しい音色と最上の形で歌を引き立てていく実に見事な伴奏で、まさにプロ中のプロのお仕事。

パヴァロッティに教えを受けた中丸さんが、最後にパヴァロッティの思い出を披露しながら歌い上げたアンコールは実に4曲。
パヴァロッティからレパートリーに入れるように強く勧められたというプッチーニの「燕から、ドレッタ」、映画「ニューシネマパラダイス」、「カヴァレリア・ルスティカーナからアヴェ・マリア」、最後は「ジャンニ=スキッキから私のお父さん」。
久しぶりに聴き応えのあるオペラアリアをたっぷり堪能した一夜。

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2007年8月12日 (日)

ホルヴァートのバルトーク

休み二日目の今日は、娘が出場する吹奏楽コンクール県大会を聴きに隣町の富士市ロゼシアターへ。とても出場23校全部を聴き通す気力はないので、途中何回か会場を抜け出しながらの観戦。

多彩な自由曲が面白い。アーノルドの交響曲やグリエールのバレー曲、シャルパンティェの「イタリアの印象」など、管弦楽作品のアレンジとはいえ、普通実演で聴けそうもない曲が聴けるのがありがたい。
しかも1曲入魂、その曲だけを何ヶ月も練習しているので、レベルも一定の水準以上でなかなか聞き応えのある演奏が続く。

上位校ともなると演奏水準が拮抗しているので、自由曲の選択が審査結果に大きな影響を及ぼすようだ。正直なところ吹奏楽のオリジナル曲よりもオケの編曲物を選んだ学校により大きな感銘を受けた。

圧巻はバルトークの「中国の不思議な役人」を演奏した浜松海の星高校。一糸乱れぬアンサンブル、個人の技術も確かなものだ。「春の祭典」にも似た変拍子も苦もなくクリアしている。これは凄かった。

吹奏楽のオリジナル曲では、カレル・フサの「プラハのための音楽1968」が印象に残った。スメタナの「我が祖国」でも使われていたフス軍団のコラールが全曲に渡って鳴り響く。後にオーケストラ版も作られ、ジョージ・セルも演奏したという名作だ。

P1010148 今日はミラン・ホルヴァート指揮オーストリア放送響による組曲「中国の不思議な役人」を聴いた。駅売りCDの類のポイントクラシックス中の一枚。「管弦楽のための協奏曲」とのカップリング。
この曲独特のオドロオドロしさとバーバリスティックな側面を見事に描き出した名演だ。

P1010149 この「オケコン」は、同じく怪しげな駅売りCDでパンタリ指揮フィルハーモニアスラヴォニカという名で出ている演奏と同一。こちらのCDはなんとカレル・フサ指揮の組曲「中国の不思議な役人」とのカップリング。


P1010150 もうひとつフサの「プラハのための音楽1968」も聴いた。B.コールマン指揮のスロヴァキア放送響によるマルコポーロ盤CD。
オーケストラ版による演奏だが緊張感に欠けるダルな演奏で、数多い吹奏楽版の他の録音に遠く及ばない。セルの指揮した録音は残っていないのだろうか。

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2007年8月 4日 (土)

静岡県吹奏楽コンクール予選高校の部

今日は静岡県吹奏楽コンクール東部大会高校の部本番。
県予選の全ての参加校と出演者を網羅したプログラムを見ると、参加校は実に150を超えている。まさに文系部活動の甲子園だ。

曲目も実に多彩でリードやネルベルなど自分が参加した当時のお馴染みの吹奏楽オリジナル曲は少数派で、バルトーク、コダーイ、グリエール、シャミナード。アマオケでもなかなか手を出さないオケの編曲が並ぶ。オペラの接続曲が多いのも目に付く。

娘の出番を楽しみにしていたが仕事上で大きなトラブル発生。今回は相手があるので抜け出すわけにもいかず。ようやく目途が立ち急ぎ会場に駆けつけたが、ちょうど娘の高校の自由曲の最後の和音が鳴り響いていた瞬間でがっくり。これでは演奏の出来は判断ができない。

しばらく放心状態で他校の演奏を聴くが意外とたいしたことはない。自分の母校の演奏では思わず身を乗り出すが、3年生が抜けているのでちょっと苦しい。
中では「トゥーランドット」を演奏した星稜高校が傑出。コールアングレも入りなかなかの演奏だった。
来年統合され消滅してしまう長泉高校が最後に演奏した。部員わずかに3名。その真摯な演奏に会場はシーンとなり、暖かな拍手がいつまでも続いていた。

そして娘の学校は金賞。東部地区代表となり県大会に進むことになった。正直意外な結果だが朝早くからの練習の成果がひとまず報われた。

P1010140 沼響のHP「ブラームスの4番を聴く」に、フルトヴェングラーの1943年録音の感想をアップしました。

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2007年7月14日 (土)

沼響友の会サロンコンサート

大型台風の接近する中、本日沼響友の会会員のためのサロンコンサート。これは3年前に発足した沼響を応援して下さる友の会の方たちへの日頃の御礼のために計画したコンサートなのだが、またもや朝から強い雨になってしまった。

P0112_01 P0112_06 場所は千本海岸近くの「千本プラザ」音楽ホール(席数230席)。
早めに会場に着いたのだが駐車場は既に満車、近くの千本海岸の堤防下に車を止めたが、松林を抜け会場へ歩くうちにズボンがビチョビチョになってしまった。

館内で顔なじみの館長さんに御挨拶したところ、今日は連休初日ということで会議室やホールは全て一杯とのこと。さらに音楽ホール隣の多目的ホールでは、親子連れを集めてのオカリナ教室が始まりピーピーと賑やかな音が鳴っている。音楽ホールに音が漏れないのだろうか。
さらにここは多世代交流施設ということで大浴場もあり、ホール2階の畳の大広間では、アルコールが入った人たちのカラオケ大会が始まっていて騒々しいことこのうえなし。

今回自分は出番も役割もないので聴衆として参加。見るとこんな天気にもかかわらず半分以上は席が埋まっている。ありがたいことだ。

前半はオケのメンバーによるアンサンブルで、金管セクションによるハワースのファンファーレ。木管によるモーツァルトのセレナード第11番、そして弦楽セクションによるグリーグの「ホルベルク時代から」が続く。
聴いているうちにホルベルクは実演では初めてだということに気がついた。バッハやラモーらの古典的な舞曲を集めた、組曲の形式のアルカイックな雰囲気と民族的な気分が漂う素敵な曲だ。終曲のリゴードンなどノルウェーの民族舞曲そのもの。

後半は、沼津在住で札幌交響楽団のヴァイオリン奏者だった鍋倉郁子さんによるヴァイオリンリサイタル。自分の札幌在住時代とは時期が微妙にズレているので、鍋倉さん在団時の札響は聴いていない。

曲は「望郷のバラード(ポルムベスク)」から始まり、シャンソン「ばら色の人生」、ピアソラから「忘却」「鮫」、「タイスの瞑想曲」、「ショパンのノクターン」からクライスラー。そしてフランクのヴァイオリンソナタから第4楽章、最後に「ツィゴィネルワイゼン」という極めて多彩なプログラム。合間に鍋倉さんによる曲目紹介によるトークも入り、ピアノ伴奏は沼響定期の共演経験のある石川晴恵さん。

前半の沼響の演奏と比べるのも野暮な話だが、やはりプロの演奏だ。演奏技術の差というよりもお客さんを楽しませ、幸福な気分にしてくれるツボを充分に心得ている。
お客さん達にこんな天気でも来て良かったと思わせてくれる選曲であり、演奏であったと思う。アンコールのエルガーの「朝の曲」も良かった。鍋倉さん、ありがとうございました。

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2007年6月29日 (金)

黒木岩寿と仲間たち

今日は沼津楽友協会夏の例会、三島市民文化センター小ホール「黒木岩寿と仲間たち」。
神奈川フィルの首席コントラバス奏者で、サイトウキネンオーケストラや水戸室内管のメンバーでもある実力者黒木岩寿を中心とする弦楽オーケストラのコンサート。

P1010112_1 天気が良ければ職場からバイクで飛ばすところだが、あいにくの梅雨空のため車で三島まで向かう。夕食を食べている時間はとてもない。途中渋滞に巻き込まれ、6時45分開演ぎりぎりのすべりこみセーフ。
会場は協会の会員を中心とした年配の人たちばかり。客の入りは8割ほど。

曲目は、「アイネクライネ」に始まり、ボッテシーニのヴァイオリンとコントラバスのためのグランデユオコンチェルタント。休憩を挟んでバーバーの「アダージョ」、チャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」というもの。

ステージに登場した演奏者達を見て、思わず「おっ!」となった。
出演は、黒木岩寿の所属するトウキョウ・モーツァルトプレーヤーズのメンバーを中心とする若手奏者たち10人。
完全にビジュアル系「のだめオーケストラ」Sオケの世界だ。実際に「のだめ」に出演していたメンバーもいるらしい。
正直あまり期待はしていなかったので、この線でチケットを売り出せば満席になったのに、などと私はバカなことを考えていました。

ところが、演奏が始まって吃驚、フレッシュでダイナミックな朗々とした響き、音楽が生き生き流れていて実に気持ちが良い。ボッテシーニの曲など、黒木の愉快な解説もありなかなか楽しく聴けた。

後半最初のバーバーはピッチの不安定さが気になった。やはりこの手の曲は難しい。この曲が終わった時点で奏者が引っ込んだ舞台袖からチューニングの音が聞こえて来た。

最後のチャイコフスキーは一転、コンマスの江口有香(日本音楽コンクール一位)とコントラバスの黒木岩寿がきっしりとアンサンブルを固め、現役芸大生を含む若手奏者たちとともに伸び伸びとした音楽を創り上げていく。
皆実に楽しそうで聴いているこちらも気持ちが良い。アンコールは弦セレのワルツ。

会場で、長い間沼津楽友協会を支えていた事務局長の杉山さんが亡くなられたことを知った。

制約の多い中で孤軍奮闘、リヒテルやフェドセーエフ、若き日のサイモン・ラトルやヤンソンス、チェロのゲリンガスなど、一生の思い出となる名演奏家の公演の多くを沼津で実現してくれ、沼津・三島のクラシック音楽界を陰で支えてきた方だった。
私のわがままな希望を聞いてくれ実現してくれた、東京でも聴くことができない渡邊暁雄指揮N響によるシベリウス・プロのコンサートは、今でも忘れられない思い出だ。

演奏会場のロビーで、いつも暖かな笑顔で聴衆の表情を見つめていた杉山さんの姿がもう見られないと思うと悲しい。ご冥福を祈ります。

P1010113_1 今日聴いたのは、ケルン放送響コントラバス奏者河原泰則の弾くボッテシーニの数々。Largo盤CD。

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2007年6月10日 (日)

海瀬京子のラフマニノフ

本日朝から沼津は雨。昨年共演した海瀬京子さんがラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を弾くというので上京。
早めに出て国立博物館で「ダ・ヴィンチ展」を見るつもりが、出発が遅れて中途半端な11時に東京着。やむなく予定を変更して、先日オープンしたばかりの千代田区立図書館へ行く。

Facilities_pic_08 新築なった千代田区役所9階フロアの真新しい図書館。コンシェルジュと呼ばれる若い案内嬢が丁寧に説明をしてくれる。NHKで大きく取り上げられたこともあり、多い時で一日3千人の入館者があるという。

新書本の検索システムをいじったり、ネットを借りたりした後、外の景色を眺めていると猛烈な雨が降ってきた。大雨洪水警報発令中というアナウンスも聞こえている。路上の下水道のマンホールの蓋が物凄い勢いで吹き上げられ、目の前のお城の堀にも凄まじい量の濁水が流れ込んでいる。

「こりゃ、台風直撃だった沼響20回定演の再来だな」などと思いながら、しばらく様子を見る。幸いにして小止みとなり今日の目的地「めぐろバーシモンホール」へ向かう。

Photo_mphb2 このホールは初めてだが、木目調の柔らかでシックな良いホールだ。ふわっとした椅子が実に座りやすく、座席を折りたたんだ時に荷物が置ける造りなのが良い。

Midori39 今日のコンサートは、横浜のアマオケ緑交響楽団第39回定演。団の沿革を読むと沼響と同じ1984年から活動を始めている。

曲目は、序曲「レオノーレ第3番」、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、そしてベートーヴェンの「田園」というなかなかの難曲。
指揮は、ここ数年沼響も振っていただいている横島先生。

最初の「レオノーレ」は弦楽器の健闘が光っていた。後半の難しいパッセージも無難にこなしている。横島先生の指揮はいつもとは異なるきっちり型。

そして次は海瀬さんのラフマニノフ。真紅のドレスで堂々とステージに登場する姿は、昨年よりもひとまわり大きくなったような印象だ(体格ではありません、念のため)。

そしてピアノによる神秘的な冒頭が始まる。切れ味鋭いスーパーテクニックにさらに磨きがかかり、洗練された輝かしい音でラフマニノフ独特の幻想的な美しさを見事に描ききっている名演だ。
幼い頃からこの曲を弾くのが夢だったという彼女の曲への深い共感がストレートに伝わってくる。オケも海瀬さんの演奏に触発されて熱い響きを出し始めた。

周囲の客も魅せられたようにステージ上の海瀬さんの姿を見つめ、中には涙を浮かべている人もいる。昨年よりもさらにスケールアップした彼女の演奏を聴いているうちに、自分もジーンとしてきた。

そしてアンコールはプロコフィエフのトッカータ作品11。ラフマニノフを弾いた後にこの難曲を弾くという、なんという余裕。テクニックの切れはますます冴えわたり。客席もステージ上の楽団員たちも完全に圧倒されていた。

後半の「田園」では木管楽器、特にオーボエが良い響きを出していた。第一ファゴットがフランスタイプのバソンを使っていて仰天。これは全く独特の音だ。

終演は4時ちょっと過ぎ、外へ出てみると爽やかな青空が広がっていた。

渋谷で一緒に聴いていた沼響の仲間と別れ、東急ハンズその他でちょいと買い物の後、9時ちょっと前に帰宅。
すると私の顔を見た娘が、「お父さん、今日ちょっとテンション高いね。」といきなりのひとこと。どうやらコンサートの興奮が未だ冷めていなかったらしい。

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2007年6月 2日 (土)

渡邊一正、川畠成道、東京フィル

爽やかなる休日の朝。今日は午後から東京フィル沼津公演を聴く。当初沼津出身の大賀典雄さんを招いてのお祭り気分的なコンサートだった東京フィルの沼津公演も回を重ねるうちに定着してきた。前回は金聖響を招いての演奏会だった。

Disccontentscd1 今日は渡邊一正指揮と川畠成道のヴァイオリン。曲目は「悲劇的序曲」、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲にチャイコフスキーの交響曲第4番というもの。
著名な大家ばかりでなく、このようなフレッシュな実力派若手演奏家を招いてのコンサートも良いものだ。

先日自分も演奏したばかりの「悲劇的序曲」が冒頭にあり、これは興味深々といったところ。渡邊一正の指揮は横島先生の一心不乱没入型とは正反対のきっちり型。安全運転に終始して楽しめない。

続いて川畠成道の登場、記憶に定かではないが彼の演奏を聴いたのは2度目のはず。
甘く美しい音色でロマンティックに歌い上げるのが彼の美点と見た。これがメンデルスゾーンのような曲だとベストマッチだ。第一楽章のカデンツの個性的な節回しも印象的。アンコールはバルトークの無伴奏ヴァイオリンソナタから(たぶん)。これがピシッと張り詰めた緊張感に満ちた名演。

チャイコフスキーの交響曲第4番は、ロシア的な重量感よりも端正に進めた純音楽的な演奏。一緒に聴いていた隣席の沼響メンバーの「弦が少ないな」という指摘で初めて気がついたが、12型が珍しくないチャイコフスキーで今日は10型通常配置でコントラバス6本。

ただし厚みの不足はさほど感じない。第一楽章の中間部で少しずつテンポを上げ、大きなクライマックスを築く部分などオケが精一杯鳴りきり爽快さも感じられる。第3楽章初めの遠近感を持ったピチカートのアンサンブルも立派なものだ。

アンコールはブラームスの「ハンガリー舞曲第一番」。ブラームスで始まり、ブラームスに終わるコンサート。

終演は5時を回っていた。夕食の買い物を済ませた帰宅。職場の飲み会だという家内を町まで送り、携帯をふと見ると職場からの着信記録有り。
不吉な予感がし留守電メッセージを再生したら、やはりトラブル発生、現在対応中とのこと、急ぎ返電するも応答無し。とにかく職場に駅から直行する。

だが職場に到着したら守衛しかいない。事情を聞いてみるとたった今職員は帰ったとのこと。その後ようやく連絡が取れ、なんとか対応はできたとのこと。
とにかく明日出勤して事情を確認しよう。

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2007年5月 5日 (土)

ラ・フォル・ジュルネ「熱狂の日」音楽祭

P1010016_1 昨日からの貴重な連休は家族と東京。お目当ては、昨年のモーツァルトイヤーには70万人動員したという「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」(熱狂の日)音楽祭。この二日の東京は真夏並みの暑さとなった。

お昼過ぎに東京駅に到着。さっそく新丸ビルに向かうが、たいへんな人の波で、エレベーター前には東京ディズニーランドなみの長蛇の列。あきらめの良い私たちはさっそく行き先を丸ビルに変更。

P1010009 だがここも大混雑、なんとかエレベーターに滑り込み、35階でおこなわれている久元祐子さんのサロンコンサートを聴く。曲目は「展覧会の絵」全曲。
骨太で重量感のある豪快な演奏だ。壮大な「キエフの大門」ではブラヴォーの声が自然に湧き上がる。機会を見てご挨拶を、とも思ったが物凄い人でそれどころではなかった。

P1010010_2 続いてメイン会場である東京国際フォーラムへ。広場のキオスクの中でTAMAブラスアンサンブルが、またまた「展覧会の絵」を演奏している。 今年のテーマは「民族のハーモニー」ということで、ロシア、東欧、フランスの作曲家が中心に取り上げられているらしい。

とにかく、あちらこちらで演奏会が開かれていて、サービスプログラムは購入したチケットを見せれば全て無料。展示ホールで、「売られた花嫁」序曲や「スラヴ舞曲」のオケ演奏を聴いたり、「のだめカンタービレ」の「着ぐるみ」と記念写真を撮ったりとなかなか忙しい。

夕食は屋台のケバブ を食し、休憩も兼ねて音楽映画「ネオ・ファンタジア」を見たが。これが大失敗。作品の質はともかく、音が割れ耳を聾する大音響。出るに出られず苦行の90分となってしまった。

16_1 そして本日のメインデッィッシュのフランス女流、アンヌ・ケフェレックのピアノリサイタル。当初アラン・プラネスが弾く予定だったのが、ケフェレックに変更になってしまった。
プラネスは是非聴きたかったのだが、ケフェレックも好きなピアニストなのでよしとしよう。

それにしても、夜10時開演のコンサート。しかも「ネオ・ファンタジア」の余波で耳は疲労気味。娘達の目も完全に虚ろとなっている。
曲目はケフェレック得意のオールフランスプロ。ドビュッシーの「水の反映」から始まり、「沈める寺」や「イマージュ」などの名曲の数々11曲をインターバルも入れずに淡々と弾いていくが、どうも集中して聴くことができない。

サティの「ジムノペディ」が始まったところでようやくリラックス。なんと心地よい音楽だろう。
ケフェレックはテンポを揺らし表情豊かに弾いていく。続いて「ピカデリー」「グノシエンヌ」。最後はラヴェルの大作「鏡」から3曲。繊細で趣味の良いフランスのエスプリ漂う演奏が続く。アンコールはヘンデル(ケンプ編)の「メヌエット」を静かに心をこめて弾いてくれた。

P1010015 終演は11時。そのまま東京に宿を取ったが、さすがに今日は音楽を聴く気になれず、江戸東京博物館へ行き「ロシア皇帝の至宝」展を見ることにした。
両国は「春の両国祭り」とかで、フリーマーケットやら踊りとやらで、ここもかなり賑やかだ。
展示では、贅を尽くしたイコンや杯の数々に圧倒されたものの、ロシア皇帝の血塗られた歴史を思えば複雑な気分。
常設展示部門の江戸時代から昭和30年代までの、簡素でいて庶民的な温もりのある品々の方がよほど好ましい。

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2006年12月15日 (金)

デプリースト・都響のメサイア

ジェイムズ・デプリースト指揮する東京都響の「メサイア」公演に行ってきた。
昼から上京するつもりが職場で突然のトラブル発生、結局14時45分三島発の新幹線となってしまった。東京で所用を済ませ、御茶ノ水ユニオンをちょいと冷やかし東京文化会館へ急ぐ。席は3階右席、19時開演。

3019_l 指揮は、「のだめ」13巻に実名でも登場するジェイムズ・デプリースト。デプリーストの近年の録音には駄作というものが全くない。オレゴン響の指揮者時代から注目してきた名指揮者だが、幸い都響の常任指揮者となり実演に接しやすくなった。

シェリング&ゾルタン校訂のペータース版使用、オケは10型通常配置にオルガンとチェンバロが加わる。独唱者のアルトは先日の「第九」で沼響と共演したばかりの山下牧子さん。合唱は晋友会総勢80名余。第九とならび年末の風物詩とも言える「メサイア」に会場も満席となった。

合唱団、オケメンバーに続いて山下さんをはじめとするソリスト、そしてデプリ-ストが電動車椅子に乗って登場し、特別仕様のスロープ付きの指揮台に車ごと載りモーター仕掛けで一回転。ここまであたかも宗教的な儀式を見ているようだ。
今までの経験上、マルケヴィッチ、クライバー、バーンスタイン、カラヤン、チェリビダッケなど大指揮者の実演では、ステージに登場した瞬間から指揮者のオーラが会場を包み込む独特の雰囲気があるものだがデプリーストにもそれがある。

そして長い指揮棒が一閃、荘厳な序曲が始まった。端正にして敬虔な祈り、ヒューマンな暖かさに満ちた素晴らしい音楽が会場を満たしていく。
名だたる歌手達に伍して山下さんのソロも素晴らしい。沼響の最初の第九の時に比べて格段に成長している。(正直なところ第九のソロではあまりよくわからなかった)
良く訓練された合唱も良い。ソリストではソプラノの天羽明恵さんが傑出、アルトとソプラノのアリア"Come unto Him"では周辺からすすり泣きの声が聞こえてきた。このあたりから会場の雰囲気が変わってきた。

第一部の後休憩、そして第二部、第三部、有名なハレルヤコーラスを経て終曲の壮麗なアーメンコーラス。淡々と棒を振っているデプリーストがあたかも大鷲が翼を広げるように大きく両手を広げると巨大で暖かな音楽が会場を包み込んでいく2時間余。私の前の席の老夫婦は涙をぬぐいながら聴きいっている。隣でスコアを眺めながら聴いていた音大生とおぼしき女子大生も完全に固まっている。

デプリーストの暖かな人柄と宗教的な祈りが自然と伝わってくる感動的なコンサートだった。生のコンサートで涙が出てきたのは久しぶりのことだ。第九公演も行こうかな。

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2006年11月 1日 (水)

久元祐子&池内紀、対談コンサート

今日は、旅と酒を愛した牧水ゆかりの千本松原近くにある若山牧水記念館主催のコンサート。客席30名あまり、ライトアップされた松林を背景に行われる雰囲気満点のサロンコンサートだ。

今回はモーツァルトの演奏で定評のある久元祐子さんのモーツァルトを中心に、ドイツ文学者池内紀さんとの対談を交えるという豪華なもの。

Pb010626 曲は幻想曲ニ短調K.397、「ロンドンの音楽帳」からト短調 K.15b,「キラキラ星変奏曲」、J.C.バッハのソナタOp.5-3、休憩をはさんで池内先生と久元さんの対談、最後はK.333の変ロ長調のソナタ。アンコールはチャイコフスキーの「秋の歌」と「トルコ行進曲」というもの。

モーツァルト未完の幻想曲を未完の部分と他の人の補筆部分の聴き比べ。晩年の作品にも共通する部分が見出せるモーツァルト8才の時のト短調のピアノ曲。
そして幼いモーツァルトに大きな影響を与えたJ.C.バッハのロココ趣味の溢れるソナタなど、実に考え抜かれたプログラムと久元さんの深い解説。

自分の隣の席に座っていた男性が、突然前に出て対談を始めたのには驚いた。池内紀さんだったのだ。
モーツァルトとゲーテの書簡についての興味深い話。モーツァルトの生きた時代とベートーヴェンの時代では当時のヨーロッパ社会が大きく管理社会に変貌していった時であったこと、そして老後のために堅実に貯金していたハイドンが、極端なインフレのために預金が大きく目減りしてしまったことなど、ユーモアあふれる柔らかで飄々とした池内さんの語り口に時の経つのも忘れる。

Pb010627 Pb010628 一流の音楽と一流の人たちの会話。贅沢で至福のひと時を過ごさせていただいた。
池内さんの著書「みなかみ紀行」(岩波文庫)に、すてきなイラストとサインもいただいてしまった。

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2006年10月13日 (金)

ベルリンフィル木管五重奏団

20061013今日は、毎年恒例の沼津法人会青年部主催によるチャリティコンサート。
例の如く往復はがきによる申し込み制だが、今年は油断して遅くに出したら既に満席でアウト。
まぁそのうちどこかから回って来るだろうと思っていたら、昨日のオケの練習で団員から譲り受けることができた。感謝。

曲は、ディヴェルティメントK.270、ダンツィの作品56-3の木管五重奏曲、ヒンデミットの小室内楽曲作品24-2から。後半になって、「コシファントゥッテ」のハルモニームジークとフランセの五重奏曲第一番というもの。アンコールは「荒城の月」。

彼らとしては、必ずしもベストフォームな状態ではなかったようだ。最初のモーツァルトでは冒頭で大きくつまづき、特にオーボエが絶不調。アンサンブルもガタガタでアレ!どうしたの?という感じ。
次のダンツィでさすがに持ち直したが、ヒンデミットでは楽章の合間にオーボエがリード交換。よほど調子が悪かったようだ。

このヒンデミットは良かった、今のベルリンフィルはインターナショナルなオケだが、しばしベルリンフィルの指揮台にも立ったヒンデミットは、やはり彼らの音楽だ。この日最大の収穫。
最後のフランセも名人芸を十二分に堪能させてくれた。もう少し洒落た味わいが欲しいと思うのは贅沢か。

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2006年9月 9日 (土)

ジョン・健・ヌッツォ テノールリサイタル

昨日に続き湿度の高い暑い日が続く。
仕事を済ませた後、沼津楽友協会秋の例会「ジョン・健・ヌッツォ テノールリサイタル」に行く。沼津市民文化センター小ホール。

沼津楽友協会は労音時代からの歴史を持つ地元のクラシック音楽鑑賞団体だが、最近は会員も減り、リヒテルやフェドセーエフらを招聘した全盛期に比べるとアーティストもだいぶ小粒になってしまった。
かつてのような魅力はかなり薄れてしまい脱会も考えたこともあるが、地方都市にクラシック音楽の愛好家を育てようとする事務局の方々の心意気になんとか応えたいとも思い会員を続けている。

今日は、NHK大河ドラマ「新撰組」のテーマ音楽を歌ったことで知られる「ジョン・健・ヌッツォ」のリサイタル。お客の8割ほどは女性で、しかも年齢層がかなり高いのに驚いた。

曲は、お馴染みの「新撰組」のテーマや「ウエストサイドストーリー」から始まる。あまり期待してなかったのだが、次に歌ったベートーヴェンの「アデライーデ」、シューベルトの「美しき水車小屋の娘」のドイツリートがなかなか良い。正統派のリリックテノールの歌唱だ。
あらためて経歴を見たら、ウィーン国立歌劇場やメトで歌っている実力派だと初めて知った。

P9090562本人のトークでプログラムは進行、その中で名テノールのフリッツ・ヴィンダーリッヒを非常に尊敬していることを知り、大いに納得。
続くモーツァルトのオペラアリアも含め、プログラム前半の曲目はヴィンダーリッヒの得意としていた曲ばかりが並んでいる。
写真はヴィンダーリッヒの1965年ザルツブルク・リサイタルのPILZ盤。

後半